光軸を調整する -ドラムからディスクの改造車検-

改造車検合格祝いのオムライス

改造申請のライン検査でヘッドライトの光軸が不合格だった話の続き。

ラインの最後にある検査員マスターの小屋で、どれだけズレているのか教えてもらった。

「右に40センチずれてる」

「よっ 40センチですか!?」

40センチって、ライトあさってのほう向いてるじゃん。一瞬意味がわからなかったが、はたと思いつく。ヘッドライトの光軸は10メートル先の照射ポイントが決められている。道路運送車両の保安基準の細目を定める告示【2009.10.24】〈第一節〉第 42 条(前照灯等)

「10メートル先で40センチってことですよね?」

「そう」

「分かりました。ありがとうございます」

そう言って検査ラインのある建物を出る。

さあどうしよう 以前お世話になったヨビケンはここから少し離れている。近くにも予備検査場はあるようだが、あまりよくわかっていない。いや、まったく知らない。

もたもたしていたら、検査時間が終わってしまう。自分でやろう。WをD棟のさらに奥の建物の外壁に正対させセンタースタンドをかける。冬の始め(8ヶ月近く前の話で申し訳ない)、4ラウンドの終わり近い時間ともなれば、天気が良くても日陰側の外壁ならヘッドライトがどこを照らしているかはっきりわかる。

壁まで何メートルか歩測する。歩測は得意だ。気負わず歩いた歩数の3分の2がメートルだ。

7.5歩。ということは、ちょうど5メートル。10メートルで40センチだから5メートルで20センチ。これは多分算数。いや、初期の数学か?

いやしかし、これ、ヘッドライトのボルトを緩めたら、ハンドルの向き変わるよな。

ベイツタイプのライトだから、光軸調整用のビスなど存在しない。やっていることのあまりの儚さに、気持ちがふわふわっとなり、光軸の移動の目標点を定めぬままにボルトを緩めようとする。

いかん!

気を取り直し、前輪に舵角がついてないことを確認して光軸の移動の目標点を定める。ボルトを緩め、ヘッドライトの明かりの一番明るい点を目標点へ移動する。ボルトを締め付けて終わり。


もはや閉店を思わせる誰もいない検査ラインにWをそろそろと進入させると、物陰から検査員さん。ヘッドライトの再検査を告げると、われわれをラインの先へ促す。

すべての検査機器をぶっちぎって光軸検査場所に到着。前輪をはさまれて動けなくなったWの前にテスターが出てきて、何かを探すように上下左右にカクカク動く。

電光掲示板に〇の文字。

「誰が直したんですか?」

と検査員さん。自分ですよと答えると、

「バッチリですよ 上手いですねー」

とのこと。いやー、よかったよかった。

このあと隣の計測ラインで車体寸法や重量を計測。 前回より10キロ多い190キロだった。これはリアタイヤが太くなっただけでなく、リムが鉄になったことが大きい。

しかし、スイングアームは軽くなっているだろうし、リア周りだけで10キロ増とは考えにくい。おそらく前回の車検の時はガソリンが満タンでなかったのではないだろうか。今日はちゃんと満タンにしてきた。

写真撮影を終えて、ラインでの作業は終了。返してもらった書類を持ってC棟へ戻る。

もう手続きしてくれないのではないかと思わせるほどの業務終了感を漂わせた窓口を三つほど渡り歩き、新しいナンバープレートをゲットできた。

新しいナンバーがついた

ナンバーをつけ終えた時は、もう12月の夕暮れ。いやぁ、長い一日だった。

もうすっかり夕暮れの湘南自動車検査事務所

だった? 仮ナンバー返しに行かなくちゃ!

仮ナンバーを返して自宅に帰ると、かみさんが改造車検合格祝いのオムライスでサプライズ。

改造車検合格祝いのオムライス

 

ありがとう!

書類から検査ラインへ -ドラムからディスクの改造車検-

手数料納付書

検査事務所に到着。検査時間の最後のコマなので、もはや閑散としている。D棟に入って書類をもらい、印紙を買う。改造車検だし、いろいろなサイズが変わっている(このフレームの元車から)から、構造変更検査になりそうだが、中古新規になるそうだ。車体寸法や重量は今日の検査で確定するとのこと。

書類に必要事項を記入して窓口に提出すると、収入印紙の貼る位置が違うと直される。収入印紙を剥がすのに濡れたスポンジで申請書がびしょびしょだ。D棟にあった見本の通りに貼ったつもりなのに、どういうことだ?

手数料納付書

後々のためにそんな申請書たちを写真に撮っておく。メーターの調整のことを調べようかなとも思ったが、時間もないので検査ラインへ向かうことにした。

自動車検査票1

検査ラインの一番左端二輪用のレーンの入り口にWを進める。誰もいなかったが、すぐに奥から検査員のお兄さんがやってきた。検査員さんに書類を渡す。心の中で「改造申請ですよ」と言う。まずは灯火類のチェック。言われた通りにブレーキをかけたり、ウインカーを出したりする。Eマークを確認しているのか検査員さんはリアウインカーに顔を近づけている。俺には老眼で見えなかった。

「ライン、一人でいけますかぁ?」

と検査員さん。

「排ガスないから大丈夫かなぁ・・・」

と、ややグレーな反応に

「はい、では一緒に行きましょう。ゆっくり前に進んでください。」

決断早いのね Wをそろそろと前へ進める。

「スピードの検出はどっちですか?」

「後輪です」

「では、前輪をこのローラーにのせてください」

前輪のブレーキ、後輪のブレーキを合格し、続いて問題のスピードメーターだ。(ちょっとこの順番があっているかは微妙。前回の車検の記事を読むと、前輪ブレーキ・スピードメーター・後輪ブレーキとなっていた)

ローラーが回って後輪が回され、スピードメーターの数字が徐々に上がっていく。目指すは44キロだ。(目標が44キロの理由がわからない方は、前記事をどうぞ)

ところが、まだ30キロに到達したばかりなのに、ローラーの回転音が随分と大きくなってきた。傍らにいる検査員さんの気配からも、違和感がひしひしと伝わってくる。40キロを指したところで我慢できずにフットスイッチを離す。ほどなく前方の掲示板に×が表示された。

「あれぇ 不合格ですねぇ もう一度やってみましょう スピードはここに表示されるんですね」

検査員さんがベローナのスピード表示部を見る。 やばい 表示と違う位置でフットスイッチを解放するのを見られてしまうではないか・・・

それにしても、さっきのローラーの回転音は、絶対40キロを超えていた。過去3回の(2回だったかなぁ?)のここでの車検の記憶では、こんなにローラーは回転していなかった。ということは、スピードメーターは、高めに表示されているのではなく、低めに表示されているということか?

頭の中でぐるぐる思考している間に、2回目のスピードメーター検査が始まった。だんだんだんだんローラーの回転が高まっていく。

メーターの表示が35キロを超えたあたりで、検査員さんの

いや、これは書かないでおこう。スピードメーターの検査は合格。

次はヘッドライトの光軸検査。これは時間があったら予備検査場に行こうと思っていたのに、朝からのドタバタで(前記事参照)そんな時間はまったくなかった。

前輪を挟まれて動けなくなったWの前にアナライザーが出てくる。右に左に上に下に。動き回って出た答えが× おいおい 一難去ってまた一難かい

「あそこでどれだけ違ったか訊いて直したらまたきてください」

とラインのエンドにある小屋を指さす検査員さん。

ラインを出たところにWをとめ、小屋に向かう。

「すいません 光軸検査だめでした」

「ああ 40センチ違ったね」

「よっ 40センチですか?」Σ(・□・;)

つづく

検査ライン

ウィンカーとメーターの罠 -ドラムからディスクの改造車検-

メーターはデイトナのベローナ

デカすぎる仮ナンバーをビニールテープで止めて、結局最終チェックもできないまま、湘南自動車検査事務所へ向けてWを発進させた。

でかすぎる仮ナンバー

134号線に出る。後に他のバイクがつく。「仮ナンバーでかっ!」とか思ってんだろうなぁ

今回初めてつけた、バーエンドミラー。後ろがほとんど見えない。交換しないとダメかな。

茅ヶ崎に着いた辺りでふと、リアウインカーがついているのか気になった。信号待ちで振り返ってみる。見えない。ウインカーの後に手をかざしてみる。ついてない。

思い出した。リアウインカー周りの最後の仕上げをやった日、突然雨が降り出してきて、ギボシ端子を繋げないまま作業を終了したことを。路地に入ってWを止め、シートを外して確認すると、やはりギボシ端子は全て外れていた。

ヒューズが飛んでいないことを祈りながらギボシ端子をつなげてイグニッションスイッチをオンにしてみるもテールランプはつかない。もしかしてと思ったがウインカーも、やはりつかなかった。

あぁ 終わった・・・ 今日の車検は終わった

朝から色んなことがあったが、これはもうさすがに無理だろう。ヒューズボックスを開けて、それらしい回路のヒューズを見てみると、やはり切れていた。

あれ? 予備あるじゃん( ^ω^ )

そりゃそうか。ヒューズを差し替えて復活! 134号に戻る。

134号に戻ってすぐ、また、ふと思いついた。

やばい、スピードメーターの調整してない!

今回の大改造で、トランスミッションは1,2速がW400、3,4,5がW650のものとした。リアタイヤは18インチから17インチに変わっている。これらを踏まえた上でベストな減速比となるよう、前後のスプロケットを選んでいる。

ご存知の通り、Wのスピードメーターは電気式で、速度パルスはフロントスプロケットから得ている。二次減速比やタイヤ径が変わればスピードメーターが指す値も変わってくる。スピードメーターはデイトナのベローナに換えているから、変更に合わせて調整できるのだが、それをやり忘れていたのだ。

メーターはデイトナのベローナ

いや、これは完全に致命的(* >ω<)

この調整をするのに、二次減速比とタイヤ直径とメーターを操作する複雑なコマンドが必要なのだ。今すぐわかるのは二次減速比の35/16だけだ。もうすでに押し押しの工程で、この調整は不可能の一択。

さあ、どうしよう?

走らせながら考える。二次減速比が42/17から35/16へと変わって、タイヤ直径が18インチから17インチへと変わると、メーター指示値はどう変わるんだ? 

いや わかんない

落ち着いて考えれば、もしかしたら分かるかもしれないけれども、押し進行で焦ってるところに、バイクを運転しながらそんな問題に解答は出ない。

そうだ 自分が40キロだと思う速度で走って、その時のスピードメーターの値を見てみよう。

やってみる

こんなもんだろ

44キロ 

なるほど、高く出るのね。

自賠責と仮ナンバー -ドラムからディスクの改造車検-

でかすぎる仮ナンバー

改造自動車届出書を郵送してから2週間ほど経ったある日、関東検査部から電話がきた。届出が受理されたから書類を取りに来いとのことだった。郵送してくれないか尋ねたところ、返信用のレターパックとかを申請書類と同封しておかなければダメだということだ。仕方がないので取りに行くことにする。

関東検査部は自宅からは遠いが、勤め先からは近い。仕事の合間に書類を取りに行った。

返された書類を見る。一発合格だ。 小さくガッツポーズ。今風に言えば、嬉しみが深い。

形式が「EJ650A改」に変わった

中身を見てみると100点ではなかったらしく、所々直されているところがある。たとえば後輪のタイヤサイズ。130から160に大きくワイド化したのに、無かったことになってる。今回の改造申請とは関係ない変化は書かないってことか?

トルクロッドの強度検討書がそっくり無くなっている。必要なかったのか? 検査事務所での検査で必要ないから付いていないのか、そこのところはわからない。

自賠責保険

検査事務所へは自走することにした。会社のトラックを借りて積んでいけば、仮ナンバーを借りなくてもすむが、それはそれで面倒くさい。

自走するには、仮ナンバーを借りなくてはならず、仮ナンバーを借りるには自賠責保険に入らなくてはならない。ところが、この自賠責保険、調べが甘い可能性もあるが、ネットで加入することはできないようなのだ。

損害保険会社を検索すると、辻堂の駅の近くにあった。そのすぐ近くに市役所の出張所があるから、保険に加入した後その足で出張所に行って仮ナンバーを借りればいい。

車検当日

今日は色々やらなくてはならないことがあるので、検査は最後の時間で予約してある。出かける前にふと思いついて保険会社に電話をしてみた。するとなんと、そこでは保険の新規加入などの業務は行っていないというのだ。ではどこに行けばいいのかと訊くと、代理店を探してくれとのこと。

仕方なく代理店を検索すると、家から歩いて1分ぐらいの所に1件あった。すぐ電話してみる。電話に出たのは年配の女性。用件を伝えるとすぐには対応できないらしい。電話の感触だと、本業ではない気がする。他をあたりますと言って電話を切る。

さあ、困ったぞ。行きたくなかったが、藤沢駅の方に行くしかない。なぜ行きたくないかというと、藤沢駅周辺はすごく混むのだ。

車で藤沢駅方面へ。保険会社はあまり入り込んだことのないブロックにあった。幸いコインパーキングが近くにあり、そこに車を駐める。

保険会社に着くと、事前に電話しておいたこともあって、手続きはスムーズに進んだ。対応してくれた男性は黒く、日に焼けていた。藤沢市では日に焼けている方が偉い。

保険会社を出て車に戻る。ここから仮ナンバーを借りる市役所は近い。車をコインパーキングから出し市役所へと向かうが、大通りに出る道出る道全てが右折禁止で、市役所の方へ向かえない。

ようやく大通りに右折で出られるところを見つけて出られたのだが、次の交差点まで右折待ちの車両がガッツリ繋がっている。これだから藤沢駅に車で来たくないのだ。

何回か信号が変わったが、大して進まない。こんなの待ってられるか 歩いていこう 保険会社があるブロックにもう一度車を入れる。かぁぁ アホだ 自分を呪いながらまたコインパーキングに車を入れた。

仮ナンバー交付

小走りでたどり着いた市役所で仮ナンバー交付の手続きを行ったが、係の人がどこかに行ったっきり、なかなか戻ってこない。予定していた時間からはだいぶ押している。Wの最終チェックをしようと思っていたが、そんな時間はもうなさそうだ。

待っている間に与えられた受付番号がW902。待っているほかの人たちも、Wから始まる番号なので、呼び出される時にいちいち反応してしまう(笑)

Wから始まるから、いちいち反応してしまう受付番号

いつの間にか係の人が戻っていたが、仮ナンバーを手に別の人と神妙な面持ちで話をしている。 いいから、その仮ナンバーこっちによこしなさい 

ようやく呼ばれて窓口に行くと、対応してくれたのははじめの人ではなく、神妙な面持ちで話をしていた別の人の方だった。

「はい 二輪ですので、ナンバーは1枚になります」とその人。そりゃそうだろと思いながら、カウンターの上に置かれたナンバーを見て絶句。なんだこの大きさ これ四輪用だろ

しかし、そんなことを言い始めたらまた何分待たされるかわからない。ありがとうございましたと言って、大きなナンバーを手に取りその場を去った。

たぶん神妙な面持ちで話していたのは、四輪用と二輪用を間違えて持ってきて、もめていたのかもしれない。

それにしてもでかい・・・ 取り付けピッチなんて全然合わないから、ビニールテープでとめたぜ!

でかすぎる仮ナンバー

改造自動車届出書 -ドラムからディスクの改造車検-

外観図 右側面

トルクロッドの強度の計算を終え、それに基づいたトルクロッドの制作も終わったので、話は改造車検の申請に戻る。

改造車検の申請はどこへ行うのか? 制動装置の改造車検の申請は、地方検査部というところにするらしい。湘南の検査事務所で済むかと思ったら横浜か、と思ったが、それも間違いで、検査部があるのは品川だった。

品川かぁ、遠いなぁ

というのも、先人によると改造車検の申請は、申請先に行って必要な書類や計算書の書き方などを相談するらしい。品川だと自宅から50キロある。

さて、色々と調べた結果、今回の改造車検で揃えるべき書類は、次のものになるだろうとわかった。

  • 改造自動車届出書・・・第1号様式
  • 改造概要等説明書・・・第2号様式
  • 保安基準適合検討書・・・第3号様式
  • 車両を特定する資料
  • 技術基準適合検討書
  • 外観図
  • 改造部分詳細図
  • 制動能力検討書
  • 制動装置強度検討書

この他に流用したパーツの元車両とWを比較するためのそれぞれの諸元表や流用したパーツのパーツリストのコピーが必要になる。

それぞれの書類が完成し、中身は次のようになった。

改造自動車届出書

この書類は定型の様式でダウンロードが可能。該当する箇所に丸をするだけの簡単なもの。ダウンロードは独立行政法人自動車技術総合機構から。

改造概要等説明書

これも同じく定型の様式でダウンロード可能。標準車の項目は車検証に書かれたデータを書き写して、改造車の項目は実測して記入。ポイントは、型式が「EJ650A改」とするところ。

裏面の目的は、「制動能力の向上のため」として、制動装置の欄に「リヤブレーキを標準の機械式ドラムブレーキから油圧式ディスクブレーキに変更する。」と記入する。

保安基準適合検討書

これも同じく定型の様式でダウンロード可能。ただこれがなかなか難しい。なぜなら、ネットで検索してみると、みんな様々な書き方をしている。結構悩んだが結論としてはこうなった。

基準条項に「第12条1項」、項目に「制動装置」とし、検討結果に、「本改造に使われているリヤブレーキ装置の、ブレーキキャリパー、キャリパーサポート、ブレーキディスクは、改造車より重量・出力ともに大きい車両が純正使用しているもので、制動力・強度ともに問題はない。トルクロッドは、本改造のために新造した部品である。添付資料強度検討書にある通り、強度に問題はない。したがって、走行中の自動車が確実かつ安全に減速及び停止を行うことができ、かつ、平坦な舗装路面等で確実に当該自動車を停止状態に保持できるものとして、制動性能に係わる保安基準に適合している。」とした。

車両を特定する資料

これはフレームを買ったときについてきた、一時抹消の書類と、譲渡証明書の写し。

技術基準適合検討書

これは決まった書式はないらしい。流用したそれぞれの部品が、他の車両が純正使用しているものであり、その車両は改造車の標準車の重量および出力を超えているものであるので、技術基準に適合している旨を、表を交えて書いた。

外観図

これは前後左右の写真にとって、幅、高さ(マスターシリンダートップ)、長さ、軸距(ホイールベース)寸法を書き込めば完成。気を付けたのは実際に車検を受ける時の状態で写真を撮ること。まあ、これは気にしすぎかもしれないけれども。

外観図 前後
外観図 左側面
外観図 右側面

改造部分詳細図

改造前後の比較写真をのせ、なにを改造したのかわかりやすいものにする。わかりやすくするためにサイレンサーをはずした写真にしたため、一見すると直管(笑) こんな中年暴走族は車検に通さん! となったら怖いので、念のため、はずしている旨を書く。

リアブレーキ改造前後の比較

それぞれの部品の近影をのせ、その部品のパーツリストの写しものせる。

改造詳細図 部品写真とパーツリスト

制動能力検討書

流用したパーツの元車両の重量および出力が、W650の標準車の重量を超えているので、制動能力に問題がない旨を書く。直筆で署名捺印という情報もあるが、住所氏名をプリンターで印字、そこに捺印とした。書類のハンコレスが進んでいる今、この捺印も、もはや意味がないかもしれない。

強度検討書

ブレーキキャリパー、キャリパーサポート、ブレーキディスクは、W650よりも高出力・大重量の車両が純正使用している部品であることを示す。トルクロッドは新造だったので、前記事/の、トルクロッドの強度検討書をつけた。この書類にも住所氏名で捺印とする。

以上書類の中で、何度も出てくる諸元表などは別添として、都度参照とした。それらは下記の通り。

改造車の標準車W650の主要諸元

カタログをヤフオクで落札し、主要諸元をスキャン、出力と重量を赤囲みしたもの。

改造車に使用した部品が純正使用されている車両ZX-10の主要諸元

使用した部品がついていたZX-10は国内販売がなかったので、入手できるか不安があったが、あきらめずに検索すると出てくるものだ。パーツリストは、カワサキUSAで見ることができる。

改造車に使用した部品が純正使用されている車両ボンネビルT120の主要諸元

これはサービスマニュアルや、カタログを発見することができなかったので、トライアンフのHPのスクリーンショットで対応した。

ここまで出来上がってみると、割とよくできた気がするし、特に疑問な点もない。これは、独立行政法人自動車技術総合機構に相談に行く必要は無いのではないか?

ということで、関東検査部へ書類一式郵送したのであった。

2本目のトルクロッド -ドラムからディスクの改造車検-

2本目のトルクロッド

トルクロッドを作ったはいいけれど、加工の途中で失敗、おまけに強度不足だということがわかった。

2本目のトルクロッド

まずは18995.2Nの力に耐えるロッドエンドベアリングを探す。M10限定で探していたが、絶望的にない。もはやこの、端部をロッドエンドとする構造そのものを諦めるしかないと思わせた。

ダメ元でM8まで検索の幅を広げると見つかった。この製品は現在売られているのはM8のみのよう。ということは18995.2Nのせん断力に耐えるM8のボルト(理想的にはピン)を探さなくてはならない。

取付ボルトのせん断強度

トルクロッドの取付ボルトには、せん断応力がかかる。どれだけのせん断応力に耐えるかどうかは、許容せん断応力×断面積で出る。まずはM8のボルトの断面積を計算する。

M8のボルトの谷径はJISで6.6ミリとなっているので、

(6.6*6.6*3.14)/4=34.2mm2

となる。耐えなければいけないせん断応力は18995.2Nなので、

18995.2/34.2=555.42N/mm2

となることから、許容せん断応力が555.42N/mm2以上のボルトを使えばいい。

ところが、諸元表に許容せん断応力が書かれていることは少ない。そんな時は許容引っ張り応力の60%を許容せん断応力として計算するらしい。よって

555.42*100/60=925.7N/mm2

となり、925.7N/mm2以上の許容引っ張り応力のボルトを探す必要がある。これは強度区分10.9のボルトで解決。

トルクロッドの本体=アルミ丸棒の強度

トルクロッドの強度を検討するにあたって問題になったのが、調質による強度の変化だ。調質とは、熱処理による強度のレベルとでもいうものだろうか。よく言われる400N/mm2を超える許容引っ張り応力は、そのレベルの中でも高い方に位置する。

熱処理なんてする知識も設備もない。そうなると、調質のレベルは何になるのかというと、下から2番目のF。こいつの許容引っ張り応力は、はっきりしたものを見つけられなかったが、およそ180N/mm2という数字を採用するらしいことがわかった。丸棒は直径16ミリのものを使用すると、その断面積は、

(16*16*3.14)/4=200.96mm2

となり、引っ張り強度は、

200.96*180=36172.8N

となり、18995.2Nを大きく超えているので問題ない。

ロッドエンド取付部のねじ山の強度

ねじ山の強度とは、ねじ山がせん断されて、ねじがすっぽぬけないかということ。同一素材だったら、雌ねじよりも雄ねじが弱い。これは、せん断されるねじの根本の長さが長いから。ただし今回作るトルクロッドは、雄ねじであるロッドエンドの引っ張り強度980N/mm2に対して、雌ねじの2017丸棒の引っ張り強度は180N/mm2なので、雌ねじ側の強度を検討する。

トルクロッドの雌ねじの谷径が8mm

トルクロッドの雌ねじのピッチが1.25mm

ロッドエンドとトルクロッドのかみ合い長さが16mm

A2017のせん断応力を125N/mm2とすると、

8*3.14*1.25*(16/1.25)*125=50240N

なので、トルクロッドにかかる力の1.6倍の18995.2Nを大きく超えているので問題なし。

図面を描いて。

できあがったトルクロッドがこれ。

2本目のトルクロッド

頼んだ材料が届いたら、組み立てただけのノン加工。

※この記事を書いてあらためてミスミでA2017を検索すると、調質T4のものもありました。そのうち新たに作り直すかもしれません。

一本目のトルクロッド -ドラムからディスクの改造車検-

1本目のトルクロッド

前回トルクロッドにかかる力を計算した。実はその計算をする前にトルクロッドを1本作っていた。

1本目のトルクロッド

今回の改造で使用したZX-10のキャリパーサポートと、ZRX1100スイングアームもそれぞれのトルクロッド取り付け位置がオフセットしていたため、新しく作るトルクロッドはアルミの棒の両端に、ロッドエンドベアリングを取り付ける構造とする。

スイングアーム側の取り付けボルトはM10だが、キャリパーサポート側の取り付けボルトはM8だ。キャリパーサポート側はニードルベアリング受けなので、場合によってはM10に変えることもできなくはない。

この頃、トルクロッドにかかる力を計算する方法がはっきり分かっていなかったため、強度検討の基となる力は、ネットで得たある数値だった。

その数値を基にM8のロッドエンドの強度を照らしてみると、問題ないことがわかったので、片方はM8、片方はM10のトルクロッドとする事にした。

トルクロッド本体は2017の六角棒が欲しかったのだが、ミスミになかったので、丸棒でつくることにした。しかも両端を別のサイズの雌ネジにする加工が注文できなかった。仕方ないので、品物が届いてからM8をM10に加工しよう。

届いたアルミ丸棒をボール盤にセットして、片端にM10の下穴をあける。タップがしまわれた箱からM10のタップを見つけ、先タップを取り出し、ロッドエンドのネジ部と合わせる。よし、同じピッチだ。

先タップ、中タップと切り、仕上げタップを立てかけた時に違和感を感じた。硬いよ・・・ 仕上げてる感じじゃない 新しいネジを切り始めてるよ!

目を細めて、タップの刻印を確認してみる。M10×1.5 間違いない なぜだ?

中タップの刻印を確認してみる。ううっ W3/8って・・・

誰だよ、M10のタップの箱に3分混ぜたやつは(怒)

2分ほど意識を失った後、どうするか考える。ダメになった分は2センチ。それを切って、ロッドエンドのネジのかかりを5ミリずつ減らして、設計より10ミリ短いトルクロッド。どうかなぁ やってみよう

やってみたら芯がずれた。これはダメだろー とりあえず完成させるだけ完成させて、Wに取り付けた。ちょっと沈んだ気持ちでリアタイヤを手で回すと、カチャンという音と共に何かが落ちた。なんとブレーキパッドだ。

見てみると、外側のブレーキパッドだった。内側のブレーキパッドはキャリパーベースのロッドに貫通されて保持されているので、絶対に落ちることはない。

よくよく観察すると、外側のブレーキパッドは、スライドするキャリパー本体の移動範囲の中で、全域保持されている訳ではないようだ。キャリパーとキャリパーベースの位置を考えるには、単に移動する範囲の中で考えるのではなく、有効な移動範囲の中から考えなければいけなかった。

正しいキャリパーサポートの位置を再度検証して、アクスルシャフトのカラーを注文し直そう。

強度不足が露見

改造車検について色々調べているうちに、ようやくトルクロッドにかかる力を計算する方法を会得した。その計算によると、トルクロッドにかかる力は11872.7Nだとわかった。(前記事「トルクロッドにかかる力」参照)

制動装置の安全率は1.6となっている。安全率というのは、かかる力の安全率倍の強度が必要だということだ。11872.7×1.6=18995.2Nの力に耐える強度を持った部品でなくてはならない。今のトルクロッドは、M8どころか、M10のロッドエンドの強度ですら足りない。しかも、さらにわかったことがある。

2017はアルミでありながら引張強度が鋼並みだということで、バイクのカスタムにもよく使われているものだ。しかし、改造車検についていろいろ調べているうちに、調質によって、強度が変わるということがわかってきた。

調質 まあ、よく知りはしないけど、知らなくもない言葉。ただ、強度的にベストな調質のものと、素のものが違い過ぎる! しかも調質を上げる術がないから、言ってみれば生の材料の強度で勝負するしかない。

ぐだぐだな時が過ぎていく

トルクロッドにかかる力 -ドラムからディスクの改造車検-

ブレーキにかかる力とトルクロッドにかかる力の関係

トルクロッドの強度計算をするにあたって、トルクロッドにどれだけの力がかかるか計算しなければならない。今回行なった改造に基づいて、トルクロッドにかかる力を計算してみよう。

トルクロッドにかかる力

トルクロッドにかかる力を計算するにあたって一番元となる力は足でブレーキペダルを踏む力だ。これは道路運送車両の保安基準の細目を定める告示【2003.09.26】別添13(二輪車の制動装置の技術基準)で二輪の場合は350Nと決められている。

N(ニュートン)で計算しても、kgで計算しても、どちらでも構わないが、トルクロッドに使う材料の仕様書は、大抵ニュートン系で書かれているので、ニュートンで計算した方がいい。

350Nなんて言われてもピンとこないが、1N=9.8kgということから、おおむねNを10で割った数字がkgとなるので、イメージしやすくなるだろう。

さて、その350Nがブレーキペダルにかかるブレーキペダルは、WR’sのバックステップのもので、実測すると、支点となるステップバーの中心から踏面までが135ミリ。同様にマスターシリンダーを押すロッド取付部までが30ミリ。

レバー比は、135/30=4.5 で、350Nでブレーキペダルを踏んだ力は、300*4.5=1575N となり、マスターシリンダーのピストンを押す。

マスターシリンダーはZRX1100のニッシンのもの。直径は14ミリなので、ピストンの面積は、(14*14*3.14)/4=153.9mm2 となり、1575/153.9=10.23N/mm2 の圧力でブレーキフルードを押すこととなる。

この圧力を受け止めるのがブレーキキャリパーのピストン。ZX-10のブレーキキャリパーは異径2ポッドで、直径がそれぞれ34ミリと27ミリ。面積の合計は、

(34*34*3.14)/4+(27*27*3.14)/4=1479.7mm2 となる。

片押しキャリパーの場合、ピストンの面積は2倍する。対向ピストンに比べてピストンの数が半分だからといって、悲観することはない。ピストン面積は1479.7*2=2959.4mm2 となる。

このピストン面積に、先程算出していたブレーキフルードを押す圧力をかける。2959.4*10.23=30286.3N 

これに摩擦係数0.4をかける。この0.4も決められた数字。

30386.3*0.4=12,114.5N

これが動摩擦力で、バイクを停止させるベースの力。これを受け止めるのがトルクロッドになるのだが、トルクロッドの位置や角度で、トルクロッドにかかる力は変わってくる。まあ、普通これより大きな力を受ける。それを計算していこう。

ここからは、俺が捨てた高校の数学の世界に入っていく。

この動摩擦力が、トルクロッドの取付ボルトの位置でどれだけの力に変わるかは、キャリパーピストンの中心位置とアクスルシャフトの中心までの距離、トルクロットの取付ボルトとアクスルシャフトの中心までの距離に関係する。

ZX-10のキャリパーサポートとキャリパーの組み合わせの場合、キャリパーピストンの中心とアクスルシャフトの中心までの距離は114ミリ。トルクロッドの取付ボルトとアクスルシャフトの中心までの距離が133ミリなので、

(12114.5*114)/133=10383.9N

がトルクロッドの取付ボルトにかかる力となる。ただし、これはアクスルシャフトを中心として、取付ボルトを通る円の接線方向にかかる力となる。次にこの接線とトルクロッドのなす角度に着目する。

ブレーキにかかる力とトルクロッドにかかる力の関係

これは実測に基づいてCADで図面を描いて角度を測定する。29°だとわかった。トルクロッド取付ボルトを通る円の接線を底辺、トルクロッドの中心線を斜辺とし、両辺のなす角をθとすると、cosθ=cos29°=0.8746 となる。cosθは、「cos29°」などと検索すると、google先生が教えてくれる。さてトルクロッドにかかる力は、

10380.9/0.8746=11872.7N

となることがわかった。

改造車検へのスタート -ドラムからディスクの改造車検-

滑る荷物に引っ張られるのも動摩擦力

ドラムからディスクの改造車検

ZRX1100のスイングアームをW650に装着する改造がもうすぐ完成という中、その裏で進めていた車検取得のための道のりの話を始める。

どんな車検になるのか?

まずはフレームを交換したので、そのフレームでの登録になる。これは車検的には中古新規という車検になるそうだ。次に改造した部分。主だったものは以下の通り

  • ウィンカーのLED化
  • ナンバー灯のLED化
  • ステップの変更
  • スイングアームの変更
  • リアブレーキのディスク化

これらの変更で、どのような手続きをしなければならないかは、変更した部品が指定部品か指定外部品かで変わってくる。Y’S GEARのHPで、非常にわかりやすく説明してくれているので、是非見てもらいたい。

大事なのは、指定部品でも指定外部品でも、車体の寸法が一定の範囲を超えなければ、構造変更にはならないということ。つまり、今回の改造の中でも大がかりとも言えるスイングアームの変更は、ホイールベースの変化が1センチ程度なので、構造変更にはならないのだ。むろんウィンカーやナンバー灯、ステップなんてまったく問題なし。

そうなると今回車検を受けるにあたって最大の問題はリアブレーキのディスク化だ。これは、構造変更ではなく改造自動車となるらしい。いわゆる改造車検ってやつだ。

改造車検・・・

ついにこの領域に足を踏み入れるわけだ。先人の知恵をいただこう。ドラムからディスクの改造車検をネットで検索しまくる。特に参考になったのがこのふたつのサイト。
改造車検
Superior, Inc

このふたつのサイトを読んでわかった、ドラムからディスクへ変更するにあたって必要な技術的な書類はおおむね下記の通り。

制動能力計算書
キャリパーサポート強度計算書
トルクロッドまわりの強度計算書

もうひとつわかってきたのが、純正部品の流用なら、流用元のマシンの重量が流用先のマシンの重量より重ければ、これらの計算書は省略できるということ。今回の改造で言えば、流用元のZX-10や、ボンネビルT120の車重がW650より重いので、省略できるということだ。ただ、トルクロッドは新造なので、計算書が必要になってくる。

トルクロッドにかかる力って

参考にしているサイトの人も、トルクロッドの強度計算には困ったらしい。参考資料をダウンロードできるようにしてくださっているが、トルクロッドにかかる力の根拠が書かれていないので、正直参考にならない。まずはトルクロッドにはどのような力がかかるか調べる必要がある。

トルクロッドは、制動力を受け止めるのは間違いない。だから制動力を算出する必要がある。この計算は参考にしているサイトのSuperior, Incさんが非常にわかりやすい。

制動力の計算を言葉で表すとこんな感じ

  • 足でブレーキペダルを踏む
  • ブレーキペダルの支点と踏面までの距離、ブレーキペダルの支点とマスターシリンダーを押すレバーの長さの比で、てこの原理で踏力が増加する。
  • マスターシリンダーのピストンの面積から、単位面積当たりの力を算出する。その単位面積当たりの力に、ブレーキキャリパーピストンの面積をかける。
  • 出た数字に摩擦係数をかける。これがブレーキキャリパーがディスクを締め付ける力。
  • キャリパーの中心点と車軸中心までの距離と、タイヤ接地面から車軸までの距離の比で、キャリパーが締め付ける力が減ぜられ、制動力となる。

と、こうなるわけだ。しかし感覚的にわからないのが、締め付ける力の値が、そのまま制動力となるところだ。締め付ける力はディスク面に垂直なのに、制動力はディスクの接線に平行。この変換がイメージできない。

後日談になるが、結局、車検を受けてまで、このことは理解できずもやもやしていた。だがある日、このキャリパーを締める力が制動力となることに、ふと胸に落ちた。それはこんなイメージからだ。

無限に長い、幅30ミリのフラットバーが落下している。その落下を妨げるように、親指と、人差し指でつまんでみる。フラットバーは指の間で滑りながらも落下スピードが落ちるかもしれない。

このイメージのまま、フラットバーの落下スピードを上げてみる。摩擦熱で熱くなって触っていられないかもしれない。ただ、腕にかかる荷重は変わらない。

では、どうなったら腕にかかる力が強くなるか? それは、指とフラットバーの摩擦力があがったらだ。フラットバーの表面がヤスリみたいにザラザラになったら、腕にかかる負担が大きくなる。まあ指にかかる負担の方が大きそうだが。

別の見方で話そう。20kgの荷物が地面に置いてある。これにロープをつけて、引っ張って動かす。動き出してから動かし続けている間、ロープを引っ張る力が動摩擦力。この力は、動かすスピードによって変わるものではない。中学ぐらいに勉強するやつだ。動摩擦力をF、摩擦係数をμ、動かすものの重さをNとすると、その関係は以下の式で表される。

F=μN

荷物を引きずりながら引っ張ると動摩擦力

μは、この話で言えば、地面と荷物の滑りにくさ。1がmaxで、小さい数字ほどすべり易い。仮に摩擦係数が0.5だとしたら、荷物を動かし続けるには20*0.5=10kgで引っ張り続ければいい。

逆に考えてみる。荷物を引っ張るのではなく、荷物の下の地面が動き出して、荷物が自分から遠ざかっていく状況だ。この場合、自分の下の地面は動かないこととする。

滑る荷物に引っ張られるのも動摩擦力

遠ざかろうとする荷物に腕が引っ張られるが、動かないで耐えていると、動く地面の上で荷物が滑るようになる。このとき腕にかかる力は先程荷物を引きずりながら引っ張った時と同じ大きさだ。

動く地面にさらに動かそうとする力が働いてなければ、荷物の動摩擦力によって、地面はいつか停止する。動摩擦力は腕を引っ張る力であり、この力は地面がどんなスピードでも変わらない。スピードによって変わるのは地面が止まるまでの時間だ。

この現象をバイクに置き換えると、荷物がブレーキ、地面がブレーキディスク、ロープがトルクロッドになる。トルクロッドにかかる力は動摩擦力であり、ブレーキディスクのスピードにかかわらず、ブレーキキャリパーが挟む力と摩擦係数だけによって決まる。

実際のバイクのトルクロッドは、取り付け位置や取り付け角度によって受ける力が変わってくる。次回はそのあたりも踏まえた上で、トルクロッドの材質や寸法を考えていく。