腱鞘炎でフロントブレーキを握れない2

腱鞘炎で右手が痛い

直動バルブ

腱鞘炎で痛む右手のために、リアブレーキの圧力で前後連動させようかという話の続き

ソレノイドバルブとマニホールドの組み合わせがダメだとわかったあとも、まだ通勤の電車の中で「油圧 切り替え」などと検索していたある時、使えそうなものを発見した。それはホースの入口と出口が短く直線的に構成されていて、その上に頭でっかちなソレノイドがついているやつ。直動バルブというらしい。価格も安く、5000円以下で手に入りそう。

重さも350グラムと軽い。これなら2個使っても、それほどの重量増でもないだろう。あとは、ブレーキの圧力に耐えられるかだ。製品としての耐圧力はMPa(メガパスカル)で表示されている。ブレーキの圧力がどれほどのものか、リアブレーキをディスク化して、改造車検をとった時の資料を見てみる。


1.車両装置の計測と計算

①ブレーキペダル・レバー比 n

L1:ブレーキペダル支点からブレーキペダル踏面の距離 = 135mm

L2:ブレーキペダル支点からマスターシリンダープッシュロッド取付部中心までの距離 = 30mm

n =L1 / L2=135 / 30=4.5

②マスターシリンダーの面積 A

ZRX1100(ZRT10C)14mm・リヤマスターシリンダー使用

D:ピストン直径=14mm

π:円周率=3.14

A = (D * D * π) / 4

=(14 * 14 * 3.14) / 4

=153.9mm2


この後、キャリパーピストン押力Feを求めていたのだが、その手前のマスターシリンダーの押力Fmを計算する。

キャリパーピストン押力Fm

F:ブレーキペダル操作力=350N(この数値は保安基準だかで決められている)

n:ブレーキペダルレバー比=4.5

A:マスターシリンダーピストン面積=153.9

Fm = F * n / A

= 350 * 4.5 / 153.9

= 10.23N/mm2

1N/mm2=1MPa だから

ブレーキホース内の圧力は、およそ10MPaとなる。安全率を1.6として、バルブには16MPaは耐えてもらわないといけないことがわかった。ミスミで直動バルブの耐圧を1個1個確認していく。

無い・・・

耐圧はたいてい1MPa程度。この直動バルブというやつは、高い圧力の制御をする前提のものではないようだ。残念ながら、あきらめるしかない。

ソレノイドバルブとマニホールドの組み合わせと直動バルブがだめになったので、一周まわってブレーキラインロックに戻ってきた。もうこれしかないか・・・

そんな時、通勤の定期が切れる日が近づいてきた。3月に入り少し暖かくなってきている。バイク通勤に戻そうか? ただ、この右手の痛みは気になる。試しに1日行ってみるか? 一人では緩めることができなかったフロントアクスルシャフトを手伝ってもらって緩めてもおきたいし。

久しぶりの早朝のエンジン始動。アイドルアジャストスクリューを少し締め込み、メインスイッチをオフのままスタータープランジャーを引いて一発キック。

吸い込んだガソリンが揮発するのを待ってメインスイッチを入れ、クラッチレバーを握って時計の8時ぐらいまで踏み下ろす。クラッチレバーをはなして10時ぐらいまでキックペダルを戻したら、そのまま踏み下ろす。ネットで見つけた、Wのキックの儀式。

かからない 気配すらない

5回ほどやっても変わらないので、もう一度スタータープランジャーを引いてキック。

ブシュポッ

スタータープランジャーを戻してキックすると、Wが息を吹き返した。

走り出して懸念していた右手の痛みは、ブレーキに関してはそれほど影響がないように思えた。それはリアブレーキだけで十分な制動力があったからだ。先日換えたブレーキパッドの当たりが出てきたのかもしれない。

これなら、前後ブレーキ連動に、それほど執着するする必要はないかも。そんなことを思いながら、久しぶりのWの加速を楽しんだのであった。

腱鞘炎でフロントブレーキ握れない

腱鞘炎で痛む右手

右手が痛い

ペンチで電線を切る みたいな動作

なにかを握るととても痛い

中指と薬指が痛い。指と言うより、その根元の手のひらに痛みがあるようだ。

こうしてスマホでこの記事を書いていても痛い。

こんな痛みでフロントブレーキをかけられるのだろうか? 今は寒くて電車通勤なのでわからない。

ブレーキレバーを握れなくなったら、バイクを降りる時

ずっと以前からそんなことを考えてはいたが、今回の痛みはかなり深刻だ。もうすぐ春。はたしてバイク通勤は復活できるのだろうか?

ふと思いついた。今回のフロント倒立フォーク計画に伴って、フロントブレーキはダブルディスクになる。その片方をリアブレーキと連動にしたらどうだろうか? そもそもリアブレーキをディスクブレーキにして、制動力が高まったおかげで、フロントブレーキの仕事量もだいぶ減っている。その上片側ディスクをリアブレーキ連動にしたら、右手はほとんど使わなくてよいのでは? 

(リアブレーキのディスク化が気になる方はこの記事をどうぞ)

ただ、リアブレーキにフロントブレーキを連動させると、いくつか気になることがある。

ジャックナイフができない

前々から、ウィリーができる動力性能と、ジャックナイフができる制動力をWに持たせたいと思っていた。今回のダブルディスク化で、その制動力は手に入れたと思っていたのに、リアブレーキ連動にすると、思いきってジャックナイフに持ち込めない気がする。持ち込む必要なんてないのだが・・・

低速時の姿勢を乱さない走行ができない

低速時の速度調整はリアブレーキで行うと、バイクのバランスが乱れない。それが前後ブレーキ連動となると、その効果を発揮することが出来なくなる。

ジャックナイフは置いておいたとして、リアブレーキが単独で動作するのは確保したい。そうなると考えられるのは、ブレーキペダルを2つにして、前ブレーキ用のペダルをつくること。リアブレーキの踏面より前に前ブレーキ用の踏面を設けるのだ。一緒に効かせたい時は足を前に出して一緒に踏んで、リアブレーキだけ効かせたい時は、足は通常位置でリアブレーキペダルだけを踏む。

いい考えな気もするが、キックペダルを踏み下ろす時にブレーキペダルを逃がす構造にしているので、それ以上のギミックは追加できそうもない。

(ギミックが気になる方はこの記事をどうぞ)

だとしたら、リアブレーキマスターシリンダーからフロントブレーキキャリパーのラインの途中にバルブを設けて、フロントブレーキを動作させないようにすればいいんじゃないだろうか?

でも、それだとジャックナイフはできないなぁ もったいないなぁ

じゃあ、リアブレーキマスターシリンダーからのラインからを閉じながら、フロントブレーキマスターシリンダーからのラインをつなぐというのはどうだ? そんなことが実現できる部品を探してみる。

ブレーキラインの途中で、その油圧を止める部品は大きくわけて2つ存在した。ひとつはレバーを手動で操作するもの。


もうひとつは電動で操作するものだ。


手動のものは、パーキングブレーキがついていないレース車両で、ブレーキを踏んだあとラインをロックし、ブレーキをかけ続けるようにするもの。電動のものは、ゼロヨンとかで前輪のみロックさせ、後輪をバーンアウトさせるのに使うものらしい。

どちらを選んでもふたつ必要になる。電動のものは操作用のスイッチを作れば、特に問題なく導入できそう。ただ、メインキーがオフの時にこのバルブが開放していると、フロントブレーキだけかけた時にフロントのマスターシリンダーの油圧がリア系統を押して、ブレーキフルードがリアのリザーブタンクに流れこまないか? これはバイクを押し歩く時によくあるシチュエーションだからだめだろ。常時閉、常時開を選択できればいいのだが。

手動のものはそのような問題はないが、レバーを90度ストロークさせなければならないので、その機構を作るのがそこそこ難しそうだ。

1個の部品で油圧のラインを切り替えるものあるんじゃないの? とミスミで検索してみたら、なんとあった。価格が1万5千円を超えてくるが、それまで考えてきたものに比べれば信頼性が高い。ただ、ライン切り替えの状態がこの商品ページのものからでは、知識不足でまったくわからない。さらに油圧のラインの接続方法も一切説明がない。ただの穴だけが4個、なんの加工もできないぐらい近接して配置されている。

このような製品を電磁弁とかソレノイドバルブと呼ぶらしい。ネットで検索して勉強してみる。結果、暗号のような図での、オイルの経路の変化を理解できるようになった。やりたいことは実現できそうだ。

もうひとつ、配管との接続にはマニホールドを介すということがわかった。これは、なじみのある用語だ。

しかしこれで、ソレノイドバルブを使えないということもわかった。マニホールドが重い! なんと3.5キロ。大きさも小さくて100×100×30ぐらいある。どこに納めるというのか? ソレノイドバルブ自体もきっと大きかったのだろうが、なんとなく親指と人差し指ではさめるぐらいかなと勝手に思っていた。

さあ どうすっか・・・