フレームを加工 -WにZRXのスイングアーム-

サス取付ピンをワイド化

ZRX1100のスイングアームが取りついたので、フレームの加工に入る。大きな加工は、スイングアームの幅が広くなったことで、フレーム側のサスペンションの取付幅があわなくなったので、それを解消すること。それと、シートレールをスッキリさせたいので、ウィンカーステーなどをカットすることだ。

問題はサスの取付部。これに対して先人たちは、サス取付ピンを延長して対応している。まあこれも書くと簡単だが、その方法を見出すのにそこそこ時間はかかっている。

ただ、昔と違うのはミスミがあることだ。延長するピン(片持ち支持ピンというのが正式らしい)も、レディメイドで、希望のものが簡単に作ってもらえる。流用チューンには欠かせないぜミスミ!

フレームの加工を始める。加工と言っても主に切断。ウィンカーステー、メットホルダーステー、荷掛けフックなど、実用的なものは、潔く切っていく。目指すはスッキリしたシートレール。

と書いてはみたが、本当はドラムブレーキ用のステーを念の為残していた。ディスク化が、なんらかの理由で頓挫した時のためだ。

これが切断前で

フレーム後端につく、いろいろなステーたちカット前

こっちが加工後

いろいろステーをカットしてすっきり

不要なものの切断が終わったら、続いて構成のちょっとした変更。まずはタンデムステップのステーを短くした上で、上に移動する。これは今のままだとZRXのスイングアームが、サスが縮むと当たってしまうのと、かちあげたマフラーから逃げるため。

タンデムステップステーを移動
タンデムステップステーを溶接

続いて左右のシートレールを結ぶ、シートの固定金具が取りつけられているビームの高さを低くする。こいつが高いとシートデザインのの自由度が低くてかなわない。元の位置からずれないように溶接。シート固定金具をスペーサーで持ち上げることで、今使っているシートを使えるようにする。

シート固定用ビームの高さを低くする

最後にサス取付部のピンの加工。純正のピンを10ミリほど残して切断。残った部分にミスミに作ってもらった片持ち支持ピンを差し込み溶接する。 下手だ・・・ ビートがキレイに出せない。

純正支持ピンをカット
サス取付ピンをワイド化

ちなみにピボット部の幅詰めが、構造上右より左が小さかったので、スイングアームは右に2ミリオフセットしている。そのため、片持ち支持ピンの長さも、右が2ミリ長い。左右間違えたら一巻の終わりなので、何度も確認して作業した。

特注のサス取付用片持ち支持ピン 左右の長さが違う

切断溶接加工が終了したら、錆止めを塗装。

溶接切断加工後に錆止め塗装

忘れていたチェーンラインの確保のためのビートの削りも行う。これが削り前

チェーンラインを確保するための削り前

これが削り後。

チェーンライン確保のための削り後

3ミリはスペースを確保できた。




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スイングアームの加工 -WにZRXのスイングアーム-

フレームに仮組み

取り付けるスイングアームは、ZRX1100のものに決まった。そこでスイングアームのピボット部の構造と寸法を観察してみよう。

スイングアームのピボット部の内部は、短い右カラー、ボールベアリングの内輪、長い左カラーの3点がピボットシャフトによって、左右のフレームに挟まれるように固定されている。左のカラーの両端に、ニードルベアリングがあり、ラジアル方向(ピボットシャフトに垂直な方向)の荷重を担当している。

カラーの間に挟まれているボールベアリングもラジアル荷重を受けているが、こいつは主にアキシャル方向(ピボットシャフトに平行な方向 昔はスラスト方向って言ってたよな)の荷重を担当している。このボールベアリングのおかげで、スイングアームが左右に動かないようになっているわけだ。

このボールベアリングは、はめあいの摩擦で固定されているのではなく、片方は突き当り、もう片方はスナップリングで移動を規制されている。

この3点の長さの合計が237.5ミリで、W650のフレームのピボット部の内寸が、214ミリだ。つまり3点の長さの合計を、23.5ミリ詰めなければならない。当初考えていたものより1.5ミリ詰めるサイズが大きい・・・

スイングアームを詰めるのに、外側の条件はこうなっている。ピボット部は肉厚のチューブで、そいつに左右のアームが突き当てて溶接されている。その突き当てた外側の長さ=詰められる長さが、右と比べて左が短い。とてもじゃないが詰めるべきサイズの半分である約12ミリは詰められない。

ピボットチューブ切り詰め前

右のカラーを12.5ミリから1ミリにして11.5ミリ詰められる。左はニードルベアリングの左端までが左カラー左端から8ミリもないので、ベアリングをこのままでいくと、左右あわせても19.5ミリしか詰められないことになる。しかもスイングアームは左にずれ放題だ。

左のニードルベアリングは長さが24ミリなのだが、これを長さ17ミリのものに替えればカラー左端から15ミリ程度確保されるので、問題ないだろう。右はボールベアリングの厚みが12ミリだが、同じ外径・内径で厚みが8ミリのものがあるのでそれに替えよう。

すると右側で15.5ミリ詰められる。残りは8ミリ。ニードルベアリングの左端まで7ミリほど余裕がある。その7ミリを利用してスイングアームの左ずれを防止するために、ピボット部のチューブの左側面にスラストベアリングを入れればいいのではないか? ベアリングメーカーのHPを探し回る。

ちょうどよさそうなのが見つかった。ベアリングレースの厚さが1ミリで、ベアリング本体の厚さが2ミリ。合計4ミリで済むのでピボットチューブを詰めるのも、許容範囲内だ。ベアリングのシールが難しそうだが、そこは後で考えよう。

W650のピボットシャフトは17ミリでZRX1100のピボットシャフトは20ミリだ。この調整はアルミパイプでやればいいだろう。いろいろなものを注文して、スイングアームの加工に入る。

まずはピボット部右側から作業開始。オイルシールをマイナスドライバーで取り外す。続いてボールベアリングをベアリングリムーバーで取り外す。 はずだったがビクともしない。どうせ使わないからと、反対側から適当な棒を突っ込んでベアリング内輪にあて、ハンマーで引っぱたく。

しかし動かない・・・

そんなにがっちりついてるのか?

いきなり参ったな

とそこで思い出す。 そうだ、スナップリングでとまってるんだ(汗)

スナップリングをはずしたら、リムーバーであっさり外れた。

ベアリングリムーバーで外す

あわてずいこ~

ボールベアリングの先のニードルベアリングは使うのでそのままに。続いて左側。

オイルシールを外して、奥のニードルベアリングにベアリングリムーバーをセットする。シャフトを回す度に、ズルズル引き出されてくるニードルベアリング。これで外すものは全て外れた。次はピボットチューブを切り詰める。

できあがりより少し大きめに切断ラインをけがき、スイングアームをシャコ万で作業台にしっかりと固定し、バンドソーで切る。

その後、スコヤで直角を確認しながら、大きな金やすりで所定の寸法に削っていく。完全なる手工業!

ピボットチューブ切り詰め後

カラーも同様の方法で切り詰め、作業は完了。新しいベアリングを装着してフレームに仮組みしてみる。

新しいボールベアリング

ん? ちょっとスラストベアリングに偏ったガタがあるぞ(画像でわかるラジアル方向のすき間ではない)

スラストベアリング

ピボットチューブの切断面の直角度がよくなかったことと、カラーがじゃっかん長い。ばらして修正加工。書くと簡単だけど、実際の作業時間はそこそこかかった。修正が終わって取りつけてみると今度はいい感じ。

フレームにスイングアームを取りつけ、オイル漏れして使わなくなっていたWPのショックを仮付けしてみた写真がこれ

フレームに仮組み

かっこいい! かっこいいよ!

もちろんわかっていたけど、ショックのフレーム側取付部の幅が合っていない。今後は、この解決を含めたフレームの加工を始める。

取付幅の違いが大きい