パワーフィルター化する2 -ZRX400のタンクを取りつける-

ダクトの原型完成

ZRX400のタンクに換装するに伴い、パワーフィルター化する話の続き。前の話はこちら

サイレンサーの分解

ヤフオクで購入したサイレンサーが届いた。

心配していたリヤピースの質感は問題なく、全体的に満足のいくものだった。早速分解しよう。リベットは、その軸より少し太いキリでもめば頭がはずれる。頭がはずれたら残った本体を裏側へ叩き入れれば、撤去完了だ。

フロントピース側のリベットの頭を、ドリルで落とす。ステンレスのリベットだったので、3ミリ4ミリ5ミリと順に拡大していく。軸が何ミリかはわからないが、おそらく5ミリで頭は落ちるはずだ。

5ミリのキリでもみ始めて、ほどなくキリとリベットの頭が一緒に回り始める。頭がとれた証拠だ。確か適当なピンポンチがあったはずと探してみたが、見つからないので深追いはやめる。六角穴用のビットを使って、リベット本体を叩き込む。

すべてのリベットを叩き込んだら、ここからが重要。フロントピースが外れるのか否か。というのも、去年の車検で今ついているサイレンサーをバラそうとリベットを落としたのに、リヤピースが全然外れなかったのだ。

プラスチックハンマーでフロントピースを外れ方向に力がかかるように叩く。少しづつ外れてくる。よかった これは外れる。外れることがわかったので、すぐにもう一個を購入した。

ダクトの製作

サイレンサーとキャブレターを結ぶダクトを作らなければならない。材料はすでに購入済みの2液常温硬化型のウレタンゴム、デブコンフレクサン80L。製作の手順は以下の通りの予定。

  • ダクトの内側の型を紙粘土で作る
  • その型の外側に、紙粘土のダクトを作る
  • それをシリコンで型どりする
  • ダクト部分の紙粘土を壊し、内側の型だけにする
  • シリコンの型と内側の型を組み合わせて、ウレタンゴムを注入する
  • 硬化したら型から出して完成

ここで心配なのが、フレクサン80Lは初めてなので、粘度がどれほどかわからず、型への注入がうまくいくかわからないことだ。

内側の型の製作

フィルターカバー(サイレンサーなのだが以降こう呼ぶ)をWに仮付けする。

フィルターカバーを仮付け

その口とキャブレターの口を工作用紙で塞ぎ、紙粘土でつなぎ、ダクトの内部形状を作り出す。半日ほどで表面が固まってきたのでWから取り外し、さらなる乾燥をすすめる。

キャブレターとフィルターカバーを紙粘土でつなぐ

紙粘土の乾燥時間を検索して調べてみると、3日はかかるとのことなので作業は次の休みに持ち越しだ。この時間を縮める方法はないかとさらに調べると、軽い粘土が乾燥が早いらしいとわかった。買い物ついでの百均で、かる〜い粘土というやつを買った。

翌休日。乾燥した内側の型の両端に、かる〜い粘土で、ダクトがキャブレターとフィルターカバーに重なる部分を追加した。

キャブレターとフィルターカバーに重なる部分を足す

これの乾燥が済んだところで、レジンを全体的に塗り固めて、内側の型が完成した。

ダクトの整形

次に内側の型に5ミリ厚に平たく伸ばした紙粘土を巻き付ける。重なった部分にカッターを入れる。重ね方が右側から重なってきたとして、上側はカッターラインの左側を、下側はカッターラインの右側を取り除くと、きれいに左右から突きあうようになる。突き合わせた部分のを平らに整形して、内側の型への密着を確認し、エアが入っている部分はカッターでエアを逃がし、形を整えたら乾燥させる。

ダクトの厚み分の紙粘土を巻き付ける

乾燥したら整形。この形がダクトそのものの完成品の形になるので、ここの整形は大事となる。当初は、型からの抜け重視で段差のないものだったが、両端のステンレスバンド部分の段差も作りこんでみた。一気に製品感が出てくる。これがダクトの原型となり、これをシリコンで型取りする。

ダクトの原型完成

型と型取り

注型した製品が簡単に取り出せるように、シリコン型はダクトの長手軸を中心に2分割とする。よって型取りする際、原型は水平にセットする。逆にウレタンゴムの注型をする際は、キャブレター側を下に垂直にセットしたい。

それは、初めて使うデブコンフレクサン80Lの粘度がわからないので、5ミリ程度しかない型の隙間に、入っていくのか疑わしいからだ。もし入っていかなかった時は、シリコン型にフレクサン80Lを入れたところに内側の型をムニムニ押し入れる方法とする。なのでウレタンゴム注入時にシリコン型は、フィルターカバー側が上としておく。内側の型の位置決めさえ工夫すれば、この方法でうまくいくはず。

内側の型の位置決めは、シリコン型を作る際の箱から2本の棒を出して、それと内側の型を嵌合させることとした。よって、シリコン型を作るための箱は、ウレタンゴムを注型する時にも使用する。

まず、ダクト原型の両端が箱の内壁に密着する箱を作る。大きさは、ほぼ1辺が10センチのサイコロとなった。ダクトの両端は平行ではないので、キャブレター側が斜めになっている。これに離型剤を塗ったダクト原型をセットする。

ところが紙粘土のままのダクトの原型は、離型剤を塗ると、なんだか毛羽立ってきた。 これはヤバいやつ

あわてて離型剤のをやさしく拭き取り、黒の水性スプレーを吹いた。しかし拭き取ったといえ紙粘土に染み込んでしまった離型剤のおかげで、塗料がはじかれ、歪んだ水玉のテクスチャーになってしまった。

まあ これはこれでよいか(;^ω^)

さて、あやしいテクスチャーでコーティングされたダクト原型を箱に再度セットする。キャブレター側の内側の型を貫くように箱の外からふたつの穴を開け、穴から棒を刺し箱に固定する。ムニムニ入れる時にウレタンゴムに埋まっていると差し込みづらいだろうと、棒を長めにした。(後日談だが、長いと接触面積が大きく、外れづらく失敗だった)

次に、箱内側側面に2分割するシリコン型の位置合わせ用粘土をつける。最後に離型剤を塗りまくり準備完了。

シリコン投入直前

シリコンの混合を始めようと、シリコン主剤の缶を開ける。10年以上前のものなので、表面の硬化が始まっているが、これを取り除けば使えるはず・・・

あれ? 全体的にぷよぷよじゃん!

途方に暮れるのであった。

パワーフィルター化する -ZRX400のタンクを取りつける-

Wをパワーフィルター化する時の問題

Wをパワーフィルター化しようとすると、そこに大きな問題がある。フレームだ。Wのフレームの腰のあたりのぶっといのが、キャブレターの後ろに立ちはだかっている。

うちのWはCRキャブレターがついている。このCRキャブレターのエンジン側には、負圧取り出し用の短いパイプが入っている。そのため、キャブレターの後端が純正よりも2センチほど下がっている。ただでさえじゃまなフレームに、わざわざ近づいてしまっているので、よくあるパワーフィルターだとまちがいなく干渉する。実際、ヤフオクで手に入れたこのCRキャブレターにセットされていたパワーフィルターは、内側と思われる方をつぶしてあった。

問題の解決 – 既製品

このフレームを避けるために、一度外に振り出すダクトを作らなければならない。これをどうするかが、悩まされるところだ。ところがいいものを発見した。キジマから出ている、FTR用のパワーフィルターだ。FTRも、キャブレター後方にじゃまなものがあるのだろう。こいつは、キャブレター取付部で40度ほど曲がり、4センチほどで、またまっすぐに戻してある。

これならフレームをよけられるはずだ。ブローバイガス取り入れ用のニップルが用意されているので、左に取り付けるとそのニップルが上を向いてしまう問題があるが、これはふさいで別の方法を考えればいいだろう。試しに1個買ってみた。

届いたパワーフィルターを取り付けようとしてびっくり。ていうかガッカリ。取付部のサイズが違った。パワーフィルター側は50Φで、キャブレター側は55Φ。完全に勘違いしていた。ごったね。

こうやって、使えない部品が部屋に増えていく。フロントフェンダーを作った時は、ゼファーのスタビライザー。

これはこの前ヤフオクで売り放った。フェンダー製作失敗から手に入れた、ZX6Rのフロントフェンダー。これは倒立フォークを流用したZX6Rのフェンダーがもっさりしてるので、ワンチャン次の年式でもつくんじゃないかとヤフオクで手に入れた。取付ピッチは同じだったのだが、取付位置がほんの少しアクスルシャフト寄りのため、フェンダーとタイヤが接触してしまい使えなかった。棚のオブジェになっている。

いちばん最近のはリヤブレーキ。見た目がシンプルなシングルピストンにしたいと、2010年のZ1000のブレーキをヤフオクで手に入れた。シングルピストンで片押し(シングルピストンなら片押し式だろうが念のため)で、キャリパーが下付けというのはこれぐらいしか見つけられていない。

オーバーホールした後に、アクスルシャフトに入れるカラーの厚みを測定するために取り付けようとするも、アクスルシャフトが入らない。ディスク径は5ミリしか違わないから問題ない(?)はず。うちのWについているトライアンフスピードトリプル(確か)のディスク径は255なのだが、定規で測った時はギリ干渉しないはずだったのに・・・

よくよく観察してみると、ディスクとキャリパーが干渉しているのではなく、キャリパーとホイールハブが干渉していた。これは無理だ。そうかなるほど デュアルピストンに比べてシングルピストンはブレーキパッドに高さがあるからね( ̄▽ ̄;)

そんな部品があふれている俺の部屋に、突然妻の監査が行われた。

「ねえ この部品なあに?」

「これは燃料タンクだよ」

「こんなのどこで買うの?」

「ヤフーオークションだよ 今ついてるタンクは、ガソリンがちょっとしか入らないから、ツーリングの時にみんなに迷惑かけるんだよ」

「ふーん これがダブたんにつけられるって、わかって買ってるの?」

「それは来てみてからの勝負だよ! だからこんなに使えない部品がたくさんあるのさ(☆∀☆)キラーン!」

費用についての追求がなかったのが幸いだった。

話を戻そう

問題の解決 – 自作

キジマのFTR用パワーフィルターは使えないとわかった。残念だが仕方ない。そうなると、外に振り出す部分を、自分で作らなければならない。何で作るか? ウレタンゴムだろうな。

だいぶ昔の話になるが、俺が運営しているゴルフサイト「世が世なら2オン♪」で、パターのグリップを製造販売していた。その時のグリップのベースを、2液混合のウレタンゴムで作っていた。そのウレタンゴムで作ろう。

そう思って検索してみると、見覚えのある製品の画像が表示されていた。アダプト80 そうそう確かそんな名前だった。

しかしこの製品は、販売を終了していた。ここから数日、通勤電車の中で2液混合のウレタンゴムを検索する日が続いた。そして見つけたのがデブコンフレクサン80L。ほぼ、この1択と言えるほど、他のものはみつからなかった。アダプトみたいに注型で成形できるのかちょっと微妙だが、こいつにかけてみることにして購入。1万円少々と、ちょっと高い。

パワーフィルターのカバー

パワーフィルター化するわけだが、パワーフィルターは雨に弱いらしい。雨の日は乗らないつもりだが、バイクテントの中に置いておいても車体にそこそこのホコリが積もる。そんなホコリよけの意味からも、パワーフィルターにカバーをつけたい。そこで考えたのがサイレンサー型エアクリーナーにすること。

ピンスクの後部左右にサイレンサーがついてるのを見て、なんだあれは?と思っていたら、片方はサイレンサー型エアクリーナーだというものだとわかった。なんかカッコイイじゃん 

そのサイレンサー型エアクリーナーをうちのWに採用するのだ。

当然、W用のサイレンサー型エアクリーナーなんてどこも作ってない。無いものは作ればいい。

とは言え、完全に1から作ると、本来の目的=ZRX400のタンク換装が、いつ始められるのかわからないので、あるものを流用することにした。あるものとはサイレンサーだ。なんてったってサイレンサー型なのだから。

使用するサイレンサーの形は、フロントピースとリヤピースの間に、パイプをリベットで繋いでいるもの。このリベットをカットして分解し、消音材を取り外す。フロントピースから内部へパイプを突き出して、そこにパワーフィルターを取り付ける。元通りに組み立てる時はリベットは使わずにボルト留めとすれば、内部へのアクセスが容易になるだろう。

中に入れるパワーフィルターはスムースストリームの55Φにした。決めては、ファンネル後部からキャブレター側に向かって円錐状になっており、逆ファンネル効果があるというところ。早くエンジンをかけてみたい。

このパワーフィルターの外径が74ミリなので、少なくともサイレンサーの内径は100ミリ程度は欲しい。これを条件にヤフオクを検索する。すると、よくあるサイズは90Φぐらいだとわかる。

90 – 74 = 16 で16ミリの隙間か。もう少し欲しいな。で探すと、次は103Φ程度のものがあった。しかもリヤピースがアルミで質感が高い。まあ、実物を見ないとなんとも言えないが。ふたつ買って失敗だとたいへんなので、とりあえずひとつ購入。

電装ボックスを作る その2-ZRX400のタンクを取りつける-

バッテリー装着

電装ボックスを作る話の続き その1はこちら

曲げたPET板の内面の両サイドに、15×15 t2のアルミアングルをセットしていく。内骨格ということだ。PET板の曲がりに合わせて、ヤスリで整形していくのだが、やはり先に骨格を作って、それをPET板でくるんだ方が簡単だったなと後悔する。あるか知らんが次はそうしよう。

両サイドの骨が完成。

電装ボックスの骨完成

前方は新造するタンク取付金物につなげる。後方はリヤサスの上部取付ステーが中空となっているので、そこにブラインドナットを仕込む。本当はM6でいきたかったのだが、スペース的に難しく、M5となった。これを使ってアルミ角パイプを左右に渡し、そいつで電装ボックス後部を支える。

前方取付部と後方の角パイプを2本のフラットバーで結び、PET板で作った浅底の鍋を置き、ヒューズボックスとETCを純正時と同じ位置に配置できるようにした。この鍋は、まず木型を作って、それをもとに紙型をつくり、PET板をを熱して曲げて作った。

電装ボックス上部の鍋 こいつは透明のままとした

バッテリーはDRCのタフスターリチウムバッテリー103型というやつにした。これはW650のバッテリー容量ではなく、W400のバッテリー容量と互換するもの。うちのWは、電装部品はW400なので問題ないだろう。そもそもW650とW400でバッテリー容量が違うなんて、今回初めて知った。

このバッテリーを電装ボックス後部の斜めの壁に、持たれるようにセットし、2本のベルクロバンドで固定する。リチウムバッテリーになって、重量が鉛バッテリーの5分の1程度の610グラムとなっているので、こんなもんで大丈夫だろう。

バッテリー置き場

両サイドのカバーは当初剛性を稼ごうと、3ミリ厚で作ろうと思っていたが、カバーがなくてもかなりしっかりしているので、2ミリ厚とした。特筆すべき点はカバーボルトを使ったところ。カバーボルトとは、カバーからボルトが離れないようになっていて、紛失・脱落の心配がない。構造は次のようになっている。

カバーにカバービス

カバーボルトを使うカバーにネジを切る。そこにカバーボルトをねじ込んでいく。カバーボルトの頭側の軸はネジがなく、ネジの谷径より細くなっていて、そこまでねじ込んでいくと、カバーとボルトはフリーになる。この状態は、カバーを取り付けるためにボルトを締めることができる上に、カバーをはずしてもボルトをはカバーについたままでいるというわけだ。

カバービス 軸の頭側が、ねじの谷径より細くなっている

あらかたできたので、電装ボックスの塗装をする。内側に足付けして、つや消しブラックを吹いた。つや消しを吹いてもPET板を通すので、外から見ればつや有りになる。製作時の傷もあって、思ったより安っぽい。仕方ないので外側を塗ろうと足付けしてみると、いいつや消し具合になったので、これでいくことにする。これなら塗装がはげることはない。

電装ボックスの取り付け

塗装の終わった電装ボックスを取り付ける。ワイヤーハーネスの取り回しを検討し、不都合のある部分を修正し絶縁テープを巻く。純正のようにつや消しではないので、妙に浮いた感じになってしまった。つや消しのテープを探さないと。(後日、アストロプロダクツで購入)

固定先が決まっていなかったふたつのリレーのステーを作る。いい感じにできたと思ったのに、上部の鍋に干渉した。なんとなく作って時間を無駄にした。悪い癖だ。ステーの取付位置を変えたら干渉はなくなったので、ロスは小さかった。

バッテリーを搭載

バッテリー装着

電装ボックスの中身を右側から見る

電送ボックス内部の収まり具合

右に大きく見えているのはイグナイター。続いて、電装ボックスの上部

電装ボックス上部のレイアウト

ヒューズボックスは純正と同様のレイアウトとした。ETCはシートレール後方へ引っ越そうかと考えていたが、以前と同じ場所を確保できた。鍋は透明のままにしてバッテリーを見られるようにした。バッテリーはボタンを押すと充電状態を表示する機能があるので、それを押すために鍋底に穴をあけてある。上の写真でも見えるが、知ってる人しかわからない(笑)

そして完成

電送ボックス完成 右後ろから撮影
電装ボックス完成 左後ろから撮影

パワーフィルターがついているが、やはりフレームにあたって、しっかりはついていない。この状態でエンジンをかけてみた。3か月ぶりの始動だったが、リチウムバッテリーは元気にセルを回して、あっという間にかかった。ただし、薄すぎるのだろう、チョークを少し引いておかないとすぐ止まってしまう。これはこれで楽しみ。

電装ボックスは一応完成はした。ただ、細部の詰めがまだなので、おいおいやっていくつもり。