押されているロッカーアームを移動させてしまって、元に戻せなくなったために、カムシャフトキャップを外さなければならなくなった話の続き。
カムシャフトキャップの固定ボルトを全て緩めてカムシャフトキャップを浮かすと、カチンという音と共にスプリングに押されてロッカーアームが正しい位置に戻った。固定ボルトをそれぞれの穴に戻していく。
太いボルトをトルクレンチで規定トルクで締め付け、細いボルト締め付けを始める。徐々に締め付ける力を上げながら3周。ここから規定トルクで締め付けていく。
問題のボルトに到達。さっき、いくら締め付けてもトルクレンチがカチっと言わなかったボルトだ。
さっきと同様、いくら回してもヌルヌルと手ごたえは変わらずにトルクレンチは回り続ける。
マジかー 絶対やべえ
そう思ってトルクレンチを回し続けていた時にそれは起きた。
ピンッ
小さく乾いた音と共に、トルクレンチにかかっていた手応えがなくなった。
ピンッておい 終わったな・・・
しばし動きを止めて呼吸を整える。そしてそっとボルトを摘み上げた。
ボルトが途中から折れている。シリンダーヘッド側のネジがやられていると思ったが、そうではなかった。そうか、雌ネジがダメになったのなら、あんな音はしないか。
締めている時に折れたボルトと、緩めている時に折れたボルトって、どっちが摘出大変なんだっけ? シリンダーヘッド外さなきゃダメかな? ヘリコイルぶち込まなきゃダメかな?
これからやらなければならない作業を思い浮かべ、軽く意識を失いかけながらカムシャフトキャップのボルトを緩める。
残ってたボルトの先端。
幸いにも指で回して取り去ることができた。それにしてもこのボルト、過去に過度なトルクで締め付けられていたのか? 代わりのボルトをW400をバラしたパーツを入れておいた袋から取り出し、カムシャフトキャップを組み立てた。
バルブクリアランスの測定作業に復帰。でも今思えば、動かしてはいけないロッカーアームを動かしたことによって、折れる可能性があったボルトを取り替えることができたわけだ。ある意味持ってるぜ
測定の結果、二つのシムを新たに購入し、バルブクリアランスの調整を終えた。
ベベルタワーを組み立てる
話は前後するが、シリンダーヘッドを組み立てる前に戻る。シリンダーヘッドを組み立てる前に、ベベルシャフトにスナップリングを入れておけとサービスマニュアルに書いてある。シリンダーヘッドを取りつけると、ベベルシャフトが上のベベルギアケースに重なり、入れづらくなるからだろう。言われたとおりにやろうとした。
このスナップリングは、上下2分割になっているベベルシャフトを固定するためのものだ。スナップリングプライヤーで広げつつ、ベベルギアに噛み合うためにセレーションが切ってあるベベルシャフトの先端からスナップリングを入れた。
えぇっ?
ベベルシャフトにかけられたスナップリングは、明らかに変形して広がっている。ただ広がっているだけでなく、細くなった部分から折れるように曲がってしまった。思い起こせば、このスナップリングをばらした時も、こんな感じになっていた気がする。
途方に暮れながらここで作業は中断した。サービスマニュアル的には、このスナップリングを入れておかないと、シリンダーヘッドを組み立てられないからだ。
ウェビックの純正部品販売で注文。念のため多めにと思ったが、在庫が2個だけだった。
スナップリングが家に届いた。他の作業を進めたかったのと、シリンダーヘッドを組み立ててもスナップリングを入れられそうなので、すでにシリンダーヘッドはついている。前回の失敗をふまえて、ベベルシャフトの途中からスナップリングを入れることにした。先端から入れると、越えなければならない無駄なふくらみがある。
スナップリングプライヤーでスナップリングを広げながらベベルシャフトにスナップリングを入れる。必要以上にスナップリングを広げないようにだ。だが、入ったスナップリングは広がってしまっていた。
これ どうすればいいんだよ?
同じことで困った人がいないか検索してみたけど出てこない。
あと1個しか残ってないスナップリングを手に途方に暮れる。
広げないようにスナップリングを入れる。それはもうこれしかない。スナップリングをねじって広げ、ベベルシャフトに入ったら戻すのだ。
やってみた。入った。そこから本来のはめる場所に移動する。これもおっかなびっくり。しかもすげえやりづらい。上ベベルシャフトがスプリングに押されて下がってくるので、ドライバーのビットでつっかえ棒をしながらの作業。
はまった。でもなんとなくゆるい。ただこれより広げずに入れることは無理。つまり誰がやっても、これぐらいゆるい感じになるはず。
ああ 走ってる途中にこのスナップリングがぶち折れたらどうなる?
上のベベルシャフトは下がってベベルギアからはずれるだろうな
するとカムシャフトの回転が止まるだろ
バルブは燃焼室に突き出たまま止まるんだよ
ヒョーーーー
不安をかかえたまま、ベベルタワーのカバーを引き上げるのであった。
解決済みでしたら申し訳ありません。
スナップリング全く同じことで悩んでましたのでお伝えします。
上からでは変形してしまいます。
棒のシャフトが上に引っ張ると簡単抜ける構造になっていてシャフトを抜いてから、下からいれると変形せずに入りましたので参考にしてただければと思います。
私も走行中外れたらと心配しておりました。サービスマニュアルに記載してほしいものです。
fishさん こんにちは!
解決しておりません^^; 記事を書くのが現実からかなり遅れているのですが、この組立の半年後に、再度エンジン全ばらして、同じようにスナップリングを入れました。
なるほど、シャフトを抜いて下からですか。そのやり方だと、確かにシリンダーヘッドをつける前にやっておかなければなりませんね。
わかっている人にすれば、そんなの当たり前だろ的な入れ方かもしれません。頭が固かったです。貴重な情報、ありがとうございました!
400のエンジンと650のエンジンの違いはコンロッドとクランクシャフトのみと書いてある記事を見たのですが、これは本当でしょうか?
分かる範囲で返答お願い致します。
たなかさん こんばんは!
400のエンジンを元に650化も考えたことがあり、その時調べた時の記憶では、
コンロッド、クランクシャフトはもちろんですが、ピストンも同一品番ではありませんでした。
もしかしたら、ピン上の高さが違うのかもしれません。
それ以外に大きく違うのは、まずフライホイール。これは400が軽く650が重いのですが、めちゃくちゃ違います。650に400のフライホイールつけたらどうなるか、いつかやってみたいと思っています。
もうひとつがトランスミッション。400の方がワイドになっています。私のWは、650のエンジンですが、400のトランスミッションにしています。