アフターファイヤーがとまらない -W650にMノズル装着-

ファクトリーまめしばのMノズル

W650にMノズル

Mノズルのシェイクダウンでわかった、アフターファイヤー、中開度のハザテーションを解決していく。

現在のセッティングは下の表の通り。

月日ASSJJNC段数MJ
3/2115851786140

ASはエアスクリューの全閉からの戻し回転数。SJはスロージェット。JNはジェットニードル。C段数は上からのクリップ段数。MJはメインジェット。

ちなみに上のジェット類以外の要素としては、スロットルバルブカッタウェイは3.0、エアジェットは230となっている。恐らくこれはこのまま変えないと思うので、今後のセッティング表の中には記さないでおく。それと前記事で、ジェットニードルだけ、まめしばサジェスチョン(この言葉はこちらのパタパタ日記さんからいただきました)と書いたが、メインジェットも本来は142だった。

そこでクリップ段数を変えてみる。これからの表は変えたところが水色になっている。

月日ASSJJNC段数MJ
3/2115851784140

先ほどよりハザテーションは弱まったが、まだ通勤に使うレベルではない。そこでさらに

月日ASSJJNC段数MJ
3/217/85851782140

ハザテーションはあるが、探るように開ければ開けられるようにはなった。今回はエアスクリューちょっと絞ってみた。アフターファイヤーは、少しおさまった気もする。そして数日後。

月日ASSJJNC段数MJ
3/267/85851781140

おさまったと思っていたアフターファイヤーは、思い違いのようだった。まだパンパンいってる。ただ、中開度のハザテーションはなくなった。もう少し上の3/4ぐらいから始まる。

月日ASSJJNC段数MJ
3/263/45851781140

エアスクリューをさらに絞ってみる。走り出しのノッキング感がなくなった。ここからメインジェットとスロージェットを変えていく。

月日ASSJJNC段数MJ
3/2616051781135

アイドリングのアフターファイヤーは変わらないし、3/4あたりのハザテーションも変わらない。そこでさらにメインジェットを下げ、エアスクリューを絞る。

月日ASSJJNC段数MJ
3/307/86051781125

アイドリングのアフターファイヤーは相変わらずだが、3/4のハザテーションが消えた。

月日ASSJJNC段数MJ
3/303/46051781125

アフターファイヤーは、まわしたあとに出る感じ。ここからようやく通勤に使いだしたのだが、途中のちょっとした引っかかりはあるが、上まで回る感じだ。

月日ASSJJNC段数MJ
4/11 1/46051781125

逆にエアスクリューを開けてみる。アフターファイヤーがひどい。信号待ちでパンパンいうのは、想像以上に精神的に疲れる。

月日ASSJJNC段数MJ
4/315851771125

ジェットニードルを下げてみた。3/4のハザテーションがなくなった。気持ちいいぐらいに更け上がっていく。ただし、アイドリングのアフターファイヤーは変わらずだ。

誰かアフターファイヤーを止めてくれ

CRキャブレターにMノズル装着

かぐや姫でも出てきそうな雰囲気

腰上の塗装が終わったのでエンジンの組み立てを始める。オーバーホールに伴うガスケット代がバカにならない話をしたが、今回はシリンダーのベースガスケットと、シリンダーヘッドガスケットを再使用した。これは、仮に漏れが発生したとしても、新品への交換が、腰下ほど大変ではないという理由から。

再利用の方法は、外したガスケットを掃除して、耐高音の液体ガスケットを使っただけ。シリンダーとシリンダーヘッドを共締めするボルトを締めると、境目からブチブチ液体ガスケットが出てきた。

ぶちぶちはみ出た液体ガスケット

話は前後するが、シリンダーの装着にはピストンリングコンプレッサーに、前回のクリアファイルから、もう少ししっかりしている、釣竿が入っていた透明のプラスチックの板を使った。これは悪くなかったが、適当に切ったため、ピストンリングの継ぎ目が弾けてしまった。きっちり作れば多分いいと思う。

ピストンリングコンプレッサー

ベベルタワーに隠されたベベルシャフトのスナップリングは、fishさんからの書き込みの前だったので、従来通りのスナップリングねじり入れスタイル。今回はスナップリングを3つ用意して立ち向かった。

苦労するベベルシャフトのスナップリング
スナップリングみっつ

組み上がったエンジン。シルバー、薄いガンメタ、ガンメタ、薄いガンメタのグラデーションがうまくいった。

腰上の再塗装が終わったエンジン
シリンダーヘッドまわりも再塗装

Mノズル

さて、今回のオーバーホールが負けっぱなしにならないために入手したのが、ファクトリーまめしば開発のMノズルだ。セッティングについて訊きたかったので、まめしばのオンラインショップから購入。(2022年8月17日現在、まめしばオンラインショップは利用休止中です。お体を悪くされたのでしょうか。心配です。)

現在のWの給排気の状態は、純正エアクリーナーボックス、イージーライダースの集合に、メーカー不明のスリップオンサイレンサー。

ジェット類は、MJ112、JN5180、クリップ4段、SJ52、AS1 ½となっている。これらを説明して、返ってきたセッティングがこちら。

MJ140、JN5177、クリップ6段、SJ58、AS1

う~ん濃い この濃くなったガソリンを燃やしきることができるのがMノズルの特徴らしい。ジェット類の手持ちがないからと言って、推奨セッティング以外で始めてはならないとブログで申されているが、ジェットニードルだけ、手持ちの5178にさせてもらって、メインジェットとスロージェットは新たに購入した。

メインノズルとジェットたち
ファクトリーまめしばのMノズル

ノーマルのCRのボアをエアクリーナー側から見た状態。

ノーマルのメインノズル

フロートチャンバーを開けて、フロートやバルブを取り去る。メインジェットの取り付け部の左右のビスを緩める。

フロートチャンバー内

するとはずれるのが中子。中子の上にのっているのが、純正メインノズル。

CRキャブレターの中子

Mノズルを所定の位置に収めたところ。なんだか神秘的。月光に照らされた竹の中から、かぐや姫が出てくるよう。

かぐや姫でも出てきそうな雰囲気

中子を戻すとこんな感じ。さっきの写真と比べてみると、Mノズルの存在感はすごい。

Mノズル装着完了

左右ともにMノズル装着完了。

両バレルともにMノズル装着完了

Mノズルシェイクダウン

エンジンを始動する前の儀式で、イグニッションオフのまま、チョークをひいて2回キック。

パン! うわっとアフターファイヤー

イグニッションオンにして、何回かキックするもエンジンがかからない。仕方ないセルを回そう(;´∀`)

エンジン始動。時折パンッとアフターファイヤーが入る。やはり濃いのか? とりあえず発進してみる。

おおっ なんか低速でのアクセルのつきがいいぞ! なんか爆発(燃焼だが)がつぶだった感じがする。鼓動感が際立ったようだ。

そのまま134号線まで出てみる。行け Mノズル! アクセルを開けて加速する。 

ババババババババー

ものすごいハザテーション。やっぱり濃いね。でも、これはきっといいよ。

時折、アフターファイヤーを響かせながら、家に帰るのだった。

改造車検合格から3か月にして、またエンジンを全バラに処す

開かれたクランクケース

改造車検に合格したのは12月の初め。それまでバイクに乗れなかった7ヶ月間を取り戻すべく、寒い冬もWで通勤していた。 (電熱パワーで厳寒の冬を越す!参照) しかし、それも2月の半ばまで。こんな無理してバイクに乗る歳じゃないわ! と、車通勤に切り替えた。

これで少なくとも1ヶ月はWを降りるわけだ。ということはチャンス。トランスミッションを組み直そう。なぜトランスミッションを組み直すのかというと、

トランスミッションをいじる -W650エンジンのレストア&モディファイ- で組みあげたトランスミッションが、改造車検後の問題点とクラッチレバーの重さ解消 にある通り、ダメダメだとわかったからだ。

このエンジンを組み上げてまだ半年も経っていないし、3000キロも走行していない。オーバーホールするガスケット代だけでも結構な額になる。それでも我慢できないぐらいのギアのつながりの悪さ。ここは負けを認めて、さっさと組み直そう。

ただ、負けっぱなしもなんなんで、今回のオーバーホールに合わせて新しいパーツを組み込むことにした。それは・・・

Mノズル!

ファクトリーまめしば開発のパーツで、CRキャブレターのメインノズルに換えて装着するもの。激変するパワーアップパーツらしく、前から試してみたいと思っていた。

エンジンの分解

W400とW650のエンジンをそれぞれ1回ずつ分解しているので、もうサービスマニュアルを見ずともバンバンばらしていける。

えっ? もう既にこんなにカーボンが溜まってるよ

早くもカーボンが堆積

3000キロの走っていないのに、ピストンとシリンダーヘッドにカーボンが溜まっていた。セッティングが濃いということなのか?

もう一つ気になったのか、オイルストレーナーのネットに沢山ついていたティッシュのくずのようなもの。なんじゃこりゃと思ったが、思い当たるのはモリブデングリスの基材ぐらいしかない。前回の組み立ての時に塗りすぎたということなのだろうか? 今回は薄塗りを留意しよう。

またしても部屋にエンジンがごろごろ

前回の分解の時に気になったミッションのベアリングのクリープ現象。ダメもとでねじロックを塗って組み立てたのだが成功だった。滑っている様子はない。

ミッションベアリングのクリープはねじロックで止められていた

さて、今回のトランスミッションの組み替えで、W650かW400のどちらのミッションを使うか悩む。反省してメーカーが設計したW650のものを使うか、それともやはり少しでもワイドにとW400のを使うか。

開かれたクランクケース

ただW400のミッションを使うとなると、二次減速比も変えなければならない。スペシャルワイドの広がりを、ローにも少し分配したのだが、それがいけなかった。よくある街角を曲がるのに、2速だと低いのだ。

かといって、フロントを1丁あげると2速が高過ぎそう。じゃあリアを変えるかと考えると、特注になるから時間も金もかかる。ああ、悩ましい・・・

結局、W400のミッションで、フロント1丁あげを選択。フロントスプロケットを注文した。

エンジンの塗装

せっかくバラしたので、前回納得できてなかったシリンダーを含めた、腰上の塗装をすることにした。

シリンダーを塗装

前回の塗装の何が納得出来なかったかというと、前にも書いたのだが、耐熱のつや消しシルバーで塗るとぺたっと平坦な印象に仕上がる。奥行きというか、重厚感が全くない。

今回手に入れたのはガンメタ。商品の口コミを見ると、ガンメタと言っても濃いシルバーぐらいということなので、ちょうどいいのではないかと思っている。このガンメタとつや消しシルバーを混ぜた薄いガンメタをシリンダーとシリンダーヘッドカバー。ガンメタをシリンダーヘッドに塗る。

シリンダーヘッドをガンメタに塗装
2次エア用のバルブカバーを塗装

これによってクランクケースから、ヘッドカバーまで、シルバー、薄いガンメタ、ガンメタ、薄いガンメタというグラデーションができる。

塗装はエアブラシで。このエアブラシはタンクがなく(内部的にはあるのかもしれないが)、コンセントにさしてすぐに使える手軽さが気に入っている。

塗装中のシリンダーとエアブラシ
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

儀(Takagi) ミニホビーコンプレッサーセット EARTH MAN HCP-100
価格:8876円(税込、送料無料) (2022/8/12時点)


フランジはバフ仕上げにしようと磨いてみたのだが、鋳造による表面の粗さがひどく、あまり深追いせずに仕上げてみたら、「どうにもならない汚いものを磨いてみただけ」という印象になった。右が磨き前、左が磨き後。

左磨き後、右磨き前のフランジ

追い込んでいないとはいえ、中途半端な仕上がり・・・

どうにもならない汚いものを磨いてみただけというフランジ

仕方がないので、これも塗装することにした。こちらが塗装前

フランジ塗装前

こっちが塗装後

フランジ塗装後

なんかいいのができそうだ。

改造車検後の問題点とクラッチレバーの重さ解消

rideaのクラッチレバー

リアブレーキをドラムからディスクに交換した改造車検は無事に合格した。リアブレーキの効きは素晴らしく、フロントブレーキなんていらないぐらい(笑)  

まあ、それは冗談としても、ボンネビルT120のクソ重たいホイールの回転慣性エネルギーを、事もなげに鎮めてくれるのは、何なんとも頼もしい。

リア周りと駆動系完成

ただ、今回の改造は良いことだけではなく、問題点が三つある。

一つ目はリアブレーキのこすれ音。ホイールの回転に合わせてシュッ シュッ と、定期的に音が鳴る。中古部品を使っているから当たりが出るまで仕方ないと思っていたが、いつまでたっても音が消えない。

さすがにどうにかならないものだろうかと、ブレーキディスクの振れを疑ってみたが、問題はなかった。まあ、ノギスの手持ちレベルだけど。

二つ目はトランスミッション。エクストラスペシャルワイドミッションと銘打って、1速と2速をW400、3~5速をW650用のミッションを融合して作ったこのミッション。

アッパーケースに仮組み

期待通り、高速道路での巡行時のエンジン回転数は、今までより低くなった。これは通勤で毎日高速を使うので、非常にありがたい。

ところがだ。二つのミッションの境目である2速と3速の間隔の広さが、想像していた以上に走りづらい。

ゼロ発進からただ単純に加速していくだけなら、その間隔の広さに気づくことはない。しかし、片道二車線の道路でノロノロ運転の車の間をすり抜け続けるとき(その運転の良し悪しについては、今は置いておいて) 、周りに危険を感じさせないスピードでアクセルを開ければすぐに加速でき、かといって高回転持続のストレスを感じさせない回転数で走り続けられるギアが、この2速と3速の間にあるようなのだ。

2速だとうるさいから3速に変えるとボボボボボ。3速だと弱いから2速に変えるとガー。こんなのをひたすら繰り返す。これは通勤で神奈川の名だたる渋滞の名所を通り抜けねばならないので、非常にもどかしい。

エクストラスペシャルワイドミッションは大失敗だったということだ。真似してはいけませんよ。これを是正するには、次のオーバーホール(何時だそりゃ)まで待たなくてはならない。

三つ目はクラッチレバー。というかクラッチレバーホルダー。以前からブレーキレバーはリデアのものを使っていた。

BremboのマスターにRideaのブレーキレバー

ところがリデアのラインナップに、W400(フロント周りは大部分が今もW400)のクラッチレバーはない。

そもそもボルト1本締めのクラッチレバーホルダーは、それを外すのにグリップを外さなくてはならないので、いつか交換したいと思っていた。ヤフオクで、カワサキ系のクラッチレバーホルダーを見つけては何度か入札に参加していた。そして、ようやく落札出来たのが、ZXR400のクラッチレバーホルダーだ。

ZXR400のクラッチレバーホルダーとRideaのクラッチレバー

リデアのクラッチレバーも買って取り付け。これでようやくハンドル周りに一貫性が出た。ニンマリ

rideaのクラッチレバー

クラッチレバーを握ってみる。あれ なんか硬い。重いと言うよりは硬い。強化クラッチスプリングを入れたみたいだ。

クラッチワイヤーの取り回しを見直す。このマフラーはエキパイがフレームに近すぎて、クラッチワイヤーのアウターが溶けるので、取り回しにじゃっかん無理がある。

変わらんな・・・

まあ、これをこのまま使っていれば握力がついて、重さも感じなくなるかなぁ なんて思いもするが、そんなに若くないから自分の成長には期待できない。

先っぽを握ってごまかしていたが、ついに我慢できなくなって、この重いレバーの理由を調べることにした。

きっとここなんだろうなぁと、レバー取り付けボルトの中心からワイヤーまでの距離を測ってみる。まずはZXR400。33ミリ。一方W400。30ミリ。なんと10%も違う。重いはずだ。

理由はわかったが、これを何とかするということは、せっかく手に入れたクラッチレバーホルダーとクラッチレバーを使わないということになる。なんとかならんもんだろうか・・・

それからしばらく経ったある日、ふと思いついた。クラッチレリーズ側のレバーを今より10%伸ばせば、今までと同じクラッチの重さになる。

スプロケットカバーの開口から、クラッチレリーズ側のレバーを覗いてみる。このレバーを長くするということは、スプロケットカバーに先端が近づく。今のところ隙間はある。そりゃそうか。

スプロケットカバー

スプロケットカバーを外してみた。レバーの支点からワイヤーまでの長さは30ミリ。なるほど3ミリ伸ばせばいいということだ。

3ミリ伸ばしてもレバーがスプロケットカバーに当たらないか確認するために、レバーの先端に粘土をつけてスプロケットカバーを一旦閉じる。再度開いて、粘土の厚みを測ると5ミリだった。3ミリ伸ばしても大丈夫だろう。

延長前のレバー

延長前のクラッチレリーズ側のレバー

加工中のレバー

延長加工中のレバー

延長後のレバー

延長できたクラッチレリーズ側のレバー

アウターワイヤーブラケットは元位置のままなので無駄なフリクションが生まれたが、これぐらいはギリオーケーとしよう。

延長したレバーを装着

無事、クラッチは以前の重さを回復した。