トルクロッドにかかる力 -ドラムからディスクの改造車検-

トルクロッドの強度計算をするにあたって、トルクロッドにどれだけの力がかかるか計算しなければならない。今回行なった改造に基づいて、トルクロッドにかかる力を計算してみよう。

トルクロッドにかかる力

トルクロッドにかかる力を計算するにあたって一番元となる力は足でブレーキペダルを踏む力だ。これは道路運送車両の保安基準の細目を定める告示【2003.09.26】別添13(二輪車の制動装置の技術基準)で二輪の場合は350Nと決められている。

N(ニュートン)で計算しても、kgで計算しても、どちらでも構わないが、トルクロッドに使う材料の仕様書は、大抵ニュートン系で書かれているので、ニュートンで計算した方がいい。

350Nなんて言われてもピンとこないが、1N=9.8kgということから、おおむねNを10で割った数字がkgとなるので、イメージしやすくなるだろう。

さて、その350Nがブレーキペダルにかかるブレーキペダルは、WR’sのバックステップのもので、実測すると、支点となるステップバーの中心から踏面までが135ミリ。同様にマスターシリンダーを押すロッド取付部までが30ミリ。

レバー比は、135/30=4.5 で、350Nでブレーキペダルを踏んだ力は、300*4.5=1575N となり、マスターシリンダーのピストンを押す。

マスターシリンダーはZRX1100のニッシンのもの。直径は14ミリなので、ピストンの面積は、(14*14*3.14)/4=153.9mm2 となり、1575/153.9=10.23N/mm2 の圧力でブレーキフルードを押すこととなる。

この圧力を受け止めるのがブレーキキャリパーのピストン。ZX-10のブレーキキャリパーは異径2ポッドで、直径がそれぞれ34ミリと27ミリ。面積の合計は、

(34*34*3.14)/4+(27*27*3.14)/4=1479.7mm2 となる。

片押しキャリパーの場合、ピストンの面積は2倍する。対向ピストンに比べてピストンの数が半分だからといって、悲観することはない。ピストン面積は1479.7*2=2959.4mm2 となる。

このピストン面積に、先程算出していたブレーキフルードを押す圧力をかける。2959.4*10.23=30286.3N 

これに摩擦係数0.4をかける。この0.4も決められた数字。

30386.3*0.4=12,114.5N

これが動摩擦力で、バイクを停止させるベースの力。これを受け止めるのがトルクロッドになるのだが、トルクロッドの位置や角度で、トルクロッドにかかる力は変わってくる。まあ、普通これより大きな力を受ける。それを計算していこう。

ここからは、俺が捨てた高校の数学の世界に入っていく。

この動摩擦力が、トルクロッドの取付ボルトの位置でどれだけの力に変わるかは、キャリパーピストンの中心位置とアクスルシャフトの中心までの距離、トルクロットの取付ボルトとアクスルシャフトの中心までの距離に関係する。

ZX-10のキャリパーサポートとキャリパーの組み合わせの場合、キャリパーピストンの中心とアクスルシャフトの中心までの距離は114ミリ。トルクロッドの取付ボルトとアクスルシャフトの中心までの距離が133ミリなので、

(12114.5*114)/133=10383.9N

がトルクロッドの取付ボルトにかかる力となる。ただし、これはアクスルシャフトを中心として、取付ボルトを通る円の接線方向にかかる力となる。次にこの接線とトルクロッドのなす角度に着目する。

ブレーキにかかる力とトルクロッドにかかる力の関係

これは実測に基づいてCADで図面を描いて角度を測定する。29°だとわかった。トルクロッド取付ボルトを通る円の接線を底辺、トルクロッドの中心線を斜辺とし、両辺のなす角をθとすると、cosθ=cos29°=0.8746 となる。cosθは、「cos29°」などと検索すると、google先生が教えてくれる。さてトルクロッドにかかる力は、

10380.9/0.8746=11872.7N

となることがわかった。

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