W400エンジンをばらす
W400エンジンをばらす2の話の続き
クラッチハウジングの取り外し
うまくいかなかった自作クラッチホルダーの開き止めを補強した。これでだめならさすがに買うかとも思ったが、よくよく考えてみると、フロントスプロケットナットを押さえれば、クラッチのセンターナットは緩められると気づく。フロントスプロケットのナットがさらに締まっちゃうんじゃないのとも思うが、その時はその時。
27のコンビネーションレンチをフロントスプロケットナットにかけ、クラッチのセンターナットはインパクトで緩ますことに成功した。
クランクケースの左側
さてクラッチとは反対側に目を移すと、エンジン前方にある逆さまおにぎり。
このおにぎりの具をはずすにも特殊工具が必要になる。フライホイールホルダーとロータープーラーだ。フライホイールホルダーはヤフオクでやっすいやつを発見したので買っておいた。問題はロータープーラーだ。
サービスマニュアルにふたつのサイズが書いてある。構造的にふたつのサイズを兼用できるとは思えないので、実際にばらしてネジのサイズを測るしかない。
左クランクケースカバーをはがすと、現れたフライホイール。早速フライホイールホルダーをセット。それにしてもこのフライホイールホルダーは安い。特殊工具界の百均価格。使い物になるか、ちょっと心配。
その心配をよそに、フライホイールホルダーは滑ることなくフライホイールを押さえ、センターボルトを緩めることに成功した。
続いて、ロータープーラーを取り付けるネジ部の直径を測ってみる。38ミリだ。ということは、サービスマニュアルにある二つのサイズのうち、M38×P1.5の方だ。
このロータープーラー、カワサキの純正部品で購入すると、1万円弱。そんな高いの買ってらんない。純正でなければ5000円ぐらい。どちらにしても高い。
作ろう
例によってミスミで検索。M38×P1.5のナット、M17用 厚み4.5 外径45ミリの大ワッシャー、M14のナット、M14 長さ55ミリのボルトを購入。しめて2000円ぐらい。3000円の節約。
それらを重ねて溶接する。
自作ロータープーラーの完成。
フライホイールの取り外し
ロータープーラーで押されるクランクシャフトの先端は、フライホイールを固定するボルトのネジ穴になっている。このままでは押せないのでロータープーラーアダプターなるものを装着することになっているが、代わりにワッシャーを三枚通したM10のボルトをセット。
そして、フライホイールに自作ロータープーラーをかけ、手で締められるだけ締めたら90度ほど戻しておく。続いてM14の押しボルトを先端がロータープーラーアダプター代わりのボルトの頭に当たるまで締め込む。
ここからは、押しボルトとM38のナットに溶接したナットにレンチをかけて押しボルトを締めこんでいく。
むむむ
かなり締めたのに、フライホイールはビクともしない。さらに力を入れる。
いや これは無理だ
M14の二面幅が22で、手持ちの工具がなくモンキーでやっているのだが、柄が短く、力が入らない。
こりゃ、ダメか・・・
諦めかけていると、ふとした瞬間にゴロリと外れて下に落ちた。
わおっ( ̄▽ ̄;)
650の時は対策しないと
フライホイールがはずれると、その先にある大きなギアはセルモーターの回転をクランクシャフトへ伝えるもの。びっくりしたことに、このギアのスラスト方向の移動の規制はなさそうに見える。ギア側面が直にクランクケースに触れているんじゃないか?
冬の朝。まだ暗い中にエンジンをかけるのだが、キャブレターをCRに替えてから始動性が悪くなった。Wはセルを回し続けているときの音が、「キャーキャーキャー」とけっこう高い音がうるさい。これの原因はこのギアのせいかも。そうだとしたら、なんの対策もできないな。
クランクケースを割る
クランクケースを割るには、まずクランクケース上面のボルトを緩める。クランクシャフトまわりにクランクケース外周と、数多いボルトで固定されている。上面のボルトを抜き終わったら、クランクケースをひっくり返してオイルパンをはずす。この中にあるボルトを緩めて抜き取り。プラスチックハンマーでパコパコクランクケースを叩く。
当て木なんかも使いながら、クランクケースの上下が均一に離れていくように叩いていくと、位置決めのカラーが抜けたところで全開放。クランクシャフトやミッションを取り出して、W400のエンジンばらしは完了。