半完成したスロットルポジションセンサーブラケットに、スロットルポジションセンサーを取りつけていく。
考慮すべき点はふたつ
1.スロットルバルブの開度とスロットルポジションセンサーの開度の適正化
2.スロットルバルブシャフトの先端をスロットルポジションセンサーへ連結できるように加工する
開度の考察
スロットルポジションセンサーの開度を調べてみると、全閉から全開まで128度だった。スロットルポジションセンサーは可変抵抗なので、その抵抗値をテスターで調べてみる。
黄黒間 全閉0.248kΩ 全開5.33kΩ
黄青間 全閉5.11kΩ 全開0.381kΩ
これをふたつの抵抗の分圧の計算式
Vout=R2×(R1+R2)×Vcc
で作ったエクセルファイルがtps_kaido.xlsx
いちばん右の列は、スロットルポジションセンサーの黄色黒の端子間の電圧を表していて、これはサービスマニュアルで調整すべき電圧になっている。その数値は
全閉 0.9~1.1V
全開 4.06~4.26V
先ほどのエクセルファイルを見ていただくとわかるが、上記数値になる黄黒間電圧の背景を黄色にしてある。この電圧の範囲のスロットルポジションセンサー開度は、
全閉 19~23度
全開 110~115度
この範囲になるようにスロットルポジションセンサーとスロットルバルブシャフトを連結すればよいということだ。Minで87度 Maxで96度だ。
ここで、CRのスロットルバルブシャフトの回転角を調べてみる。残念ながらMinの87度よりも小さい83度だった。しかたないので、全開側をサービスマニュアルの指定した数値にあわせることにしよう。つまり、アクセル全開時にスロットルポジションセンサーは110度になるようにすればいい。そうなると全閉時は110-83=27度となる。
スロットルポジションセンサーを内側から見ると、スロットルポジションセンサーの全閉は水平を0度として、反時計まわりに83度の位置となっている。ここから27度いった110度が今回調整すべき全閉時のスロットルポジションセンサーのポジションだ。(偶然だが数値が全開時の設定をすべき数値と同じでまぎわらしい)
これでよしと加工を始めると大変なことになる。スロットルポジションセンサーとスロットルバルブシャフトは、小さな連結パーツで連結されていて、そのパーツの表裏の突起が90度ねじれている。よって、スロットルバルブシャフトの先端に加工すべきキー溝は、水平から時計回りに20度とすればよい。
連結部の加工
まず、スロットルバルブシャフトの長さを決める。純正キャブレターのスロットルバルブシャフトは、スロットルポジションセンサーの座面から0.8ミリ出ているので、これと同じようにスロットルバルブシャフトを切断する。
続いて先端にキー溝を加工していく。分度器を使って水平から20度の線をけがく。スロットルバルブシャフトをキャブレターから取り外して、サンダーで荒加工してから、ルーターで仕上げる。完全な家内制手工業。
キー溝ができたら、スロットルバルブシャフトの先端を直径6ミリになるようにグラインダーで削る。旋盤なんて無い。
加工が完成したスロットルバルブシャフトをキャブレターに組みつけた。スロットルポジションセンサーの取付部の近影。
連結パーツを取りつけたところ。
スロットルポジションセンサーを取りつけたところ。
問題なく取りついたので、ブラケットを仕上げる。軽いバフ仕上げ。
本組みする際は、スロットルバルブシャフトの外部露出部にあるオイルシールとブラケットの当たり面に耐熱パッキンを塗布。
本装着されたスロットルポジションセンサー。ブラケットもいい感じ。
取りつけられた状態で抵抗値を確認。
この数値はおそらく黄青間の抵抗値を測っている。全閉時の値で、当初の予定通りの値となっている。スロットルポジションセンサーの取付穴が長穴になっているので、微調整はそれで行っている。
スロットルポジションセンサーの話はこれでおしまい。次からはCRキャブレターをWにのせていく。