ステムシャフトとトップブリッジで紆余曲折する -W650を倒立フォーク化-

ステアリングステムで右往左往した話の続き

万力に挟まれたZRX1100のステム

手に入れた格安ZRX1100ステムからステムシャフトを抜く。抜くと言っても、アンダーブラケットは用無しなので、シャフトにダメージが少ないようにアンダーブラケットに容赦なくドリルをたてる。

キリコにまみれるZRX1100のステム

首の皮一枚ぐらいまで削ったら、油圧ベンダーで押し壊した。

抜け止めはZRX1100のもののようにリブが設けられておらず、ステムシャフトに溝が掘られスナップリングがはめられていた。

とりだされたZRX1100のステムシャフト

こいつをノギスや新しく手に入れた25~50ミリのマイクロゲージで測定する。

マイクロメーターでステムシャフトを計測

W400のフレームに取りつけてみた。

W400のフレームにステムシャフトを装着

一見問題は無い。ただ、わからないのがベアリングのクリアランスを調整するナットがひとつしかないことだ。我がWには2つあり、1つ目で調整して、2つ目でそれをロックする。こいつはロックするためのものらしい爪付きワッシャーがあるが、トップブリッジを固定するステムナットを締め付けた力は爪付きワッシャーを通してロックナットにかかっているので、爪付きワッシャーの存在価値があまりない。

元々懸念していた、トップブリッジとの噛み合い長さが少々足りない気がするので、この爪付きワッシャーは、いれないことにするか?

そんなことを考えながら、ぐりぐりっとシャフトを右に左に回転させてみて恐ろしいことに気がついた。

このシャフト曲がってないか?

ステムシャフトの上端

右に左に動かすと、ステムシャフトの先端がじゃっかん芯ずれしているように見える。 いや、その言い方は現実を認めたくない自分が柔らかく言ってるだけ。このステムシャフトはかすかに曲がっている。

ノω・、) ウゥ・・・

このぐらいは大丈夫じゃないの? ステムシャフトをぐりぐり動かして感触を確かめる。ロックナットを締めてぐりぐり、緩めてぐりぐり。試しに思いっきり締めてみた。くいっくいっと締めこまれていく。

なぜだ?

さらに締めても、どんどん締まる。

ここで気がついた。アンダーブラケットを油圧ベンダーで破壊する際に、オイルシールもけしとんでいた。そのオイルシール分と、加工しろの数ミリ、ロワーベアリングが動いていたのだ。

そうか 待てよ ぎりぎり下げて、トップブリッジとの嵌合長を稼げないか? 

ステムシャフトの曲がりのことはどこかに飛んで、ロワーベアリングの最下端を探し始めてる。アンダーブラケットからロワーベアリングまでは2.4ミリだったので、それを計算しロワーベアリングの位置を決めた。するとどうだ、ロックナットから上がだいぶ長くなった。

あれ? これは

ステムシャフトはロックナットの上で一段細くなっている。ロックナット部がΦ25で、その上がΦ18だ。ロワーベアリングを最下端にしたら、さっきまでロックナットより下にあったΦ25部の上端が、ロックナットより上になった。

この状態で爪付きワッシャーをいれ、トップブリッジを乗せてステムナットを締めるのをイメージする。トップブリッジは爪付きワッシャーを押すが、その力はΦ25部の上端が受けて、ロックナットには伝わらない。爪付きワッシャーは動かなくなり、ロックナットはその爪付きワッシャーによって回転することを抑えられる。

おお これがこのワンロックナットの正しい状態じゃん!

よし このロワーベアリングの位置で決まるようにカラーを作ろう。 いや、しかしステムシャフトの曲がりはどうする? 仮にどこかのショップに打ち換えをお願いするとしたら、曲がったステムシャフトだと作業できないっていうウェブページを読んだぞ。

トップブリッジの曲がり

ステムシャフトの曲がりに削られた心を癒すために、ブレーキディスクの左右のピッチを計測することにした。アンダーブラケットにZX-6Rの倒立フォークを差し込む。続いてZ1000のトップブリッジ。

これが入りづらい。クランプ部分の隙間が狭いから、多少歪んでいるのだろうか。隙間にプラスチックの板をねじ込んで広げ挿入してみる。あれ? 無理だ

1度外して片方ずつ入れてみると問題ない。 ん? さては

トップブリッジを目の高さに掲げて、横から左右のクランプ部分を睨んでみる。

あぁ (´;ω;`) 思いっきりねじれてる!

歪んだトップブリッジのせいでねじれたフロントフォーク

これは売る方もどうかと思うが、すぐにチェックしなかったからもう遅い。安かったから痛手は小さいが、安かったからこのようなものなのかもしれない。こいつは使えない。あきらめてまた探そう。

左右が大きくねじれたフロントフォーク

ステムシャフトといいトップブリッジといい、うまくいかないことが重なって、心が折れそうになりながら、キャリパーのピッチを測る。キャリパーのディスクを抱え込む溝の中心が140ミリぐらいだ。この期に及んで「ぐらい」とか言っているのは、キャリパーマウントボルトをまだ手に入れておらず、W3/8の寸切りボルトで仮固定しているから。

ラジアルマウントのブレンボキャリパーを仮付け

スラクストンのホイールのディスク取り付け座面の幅は134ミリだった。ディスクの厚みが5ミリだとしたら、スラクストンのディスクはオフセット0なので、左右のディスクピッチは139ミリになる。あらま奇跡。

左右のディスクのピッチを測定

なんの細工もせずに、ZX-6Rのフォークにボルトオンではないか。 あっ ベアリングは替えるけどね。

今回仕入れたマイクロメーターはこれ

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