必要書類1 -ボアアップ公認 排気量変更改造車検-

W650のエンジン

あけましておめでとうございます。皆様の今年一年の無事故を祈念しております。今年最初の記事は、ボアアップに伴う改造車検の話です。

改造車検を受けるぞ

ビトーR&Dのボアアップキットを組んで810ccになったので、排気量変更の改造申請を行わなければならない。

「ならない」と書いたが、やらなくてもばれはしない。実際やっている人は少ないだろうし、やらなくても車検は通る。ただ仮にも、このブログを通してバイクの改造を公開している身としては、できうる限り遵法でありたいと思う。というか、遵法の道が歩めることを示して行きたいと思う。

そうは思っても気になることがあった。

それはフロントスプロケットの強度。リアブレーキのディスク化の時にボンネビルT120のホイールを装着し、チェーンラインを合わせるためにオフセットしたスプロケットを装着していた。このスプロケットの強度を証明できるのかが不安だったのだ。確かな記憶ではないので申し訳ないが、スプロケットのパッケージに「公道での使用はしないでください」みたいなこと書いてあった気がしている。公道での使用を禁じている製品の強度証明書なんて、発行してはくれないのではないかと思っている。そうなるとスプロケットの強度計算をしなくてはならないのだが、ただでさえ難しそうなのにオフセットしているので更に面倒な計算になりそうだ。

総排気量を変更した場合には、動力伝達装置の強度検討書を添付しなければならない。具体的に動力伝達装置とは前述のフロントスプロケットのほかに、チェーン、リアスプロケットの3つだ。その3つが、エンジンの力によって破壊されないことを証明する必要がある。

強度検討書

破壊されないかを計算で証明するのは、かなりやっかいそうだが、計算しなくてもよい方法がある。それは、その部品が改造車よりも高出力の車両の純正部品であることを示すか、その部品の製造者が、破壊しないことを証明している書類を示せればよい。我がWの動力伝達装置は、すべて社外品なので、製造者の証明書が必要ということになる。

フロントスプロケットは、サンスターの3F2という製品だ。ZEPHYR750用で、520コンバートの5ミリオフセットとなっている。今でも入手可能か調べてみると、ネットで売っているし、サンスターのHPでも製品紹介ページが存在した。もしかしたら強度証明書を発行してくれるかもしれない。HPの問い合わせフォームからお願いしてみた。

すると翌日には、製品適合車種証明書が添付されたメールを送っていただいた。そこには、ZEPHYR750とZEPHYR750RSに適合することと、「排気量1000ccのオートバイに使用されるスプロケットと同基準で製造されており、その排気量以下の車種に使用できることを証明いたします。」ということが書かれていた。

これで一気に前に進める感が出てきた。チェーンの強度証明を江沼チェンに、リアスプロケットの強度証明をXAMに依頼する。両社とも、証明書を送ってくださった。特にXAMのスプロケットは4年前に特注で製作していただいたものだというのに対応いただき、たいへん助かった。あらためて3社にお礼を申し上げます。ありがとうございました。

改造申請に必要な書類

排気量変更の改造申請を行うにあたって提出すべき資料は、独立行政法人自動車技術総合機構の審査事務規定における別添4 改造自動車審査要領の別表第2に示されている。

自動車技術総合機構の審査事務規定のページ

以下の通りだ。

  1. 改造自動車届出書(第1号様式)
  2. 改造概要等説明書(第2号様式)
  3. 自動車を特定する資料
  4. 技術基準等への適合性を証する資料
  5. 保安基準適合検討書(第3号様式)
  6. 外観図
  7. 改造部分詳細図
  8. 強度検討書 動力伝達装置

各書類について説明する。改造自動車審査要領の別表第3に、それぞれの書類の要件が書かれているのでそれと併せて読んでもらいたい。

改造自動車届出書(第1号様式)

改造申請の書類の鑑となるもの。下記リンクからエクセルファイルをダウンロードすることができる。

自動車技術総合機構の届出様式ダウンロードのページ

総排気量の変更なので、改造内容は「(2)-②」に〇をつける。改造予定車両数は1台。主たる使用地域は届出る運輸支局内とし、車台番号を記入する。書面審査終了時の連絡は「要」に〇をつける。裏面は、省略する書類がある場合には、その該当箇所に×をつけることになっている。

改造概要等説明書(第2号様式)

改造自動車届出書のエクセルのもうひとつのシート。標準車(改造前)と改造車(改造後)の主要諸元を比較する表になっている。

標準車の欄には、カタログやWeb上の諸元表から、転記すればよいが、寸法は車検証上の数値を書いたほうがよい。軸重は諸元表には書かれていないので、前後に等分させておけばよい。車両総重量は、人間1人を55キロで計算すると決まっているので、定員×55/2を前後に付加した数値を書く。いずれにしても現車検査で測定するので、まちがっていても大丈夫だ。

タイヤサイズは、4年前にリアブレーキのディスク化の改造申請の際に、標準車には標準サイズ、改造車にはリアホイールを変更したのでそのサイズを書いたのだが、通知書(申請が受理されて返ってくる書類)には、タイヤサイズの変更は無きものになっていた。これは本申請には関係の無い改造だからなのか? 理由はわかっていない。今回は標準車の欄に、標準から変わっているサイズを書くことにして、改造車の欄には「←」を書いて変更が無いこととしてみた。

裏面は改造等の概要を示すもの。

目的の欄には、「動力性能の向上のため。」と書くのが定番。原動機の欄には、「ボアの拡大により総排気量を変更する。[ボア:72.0mm→78.9mm、総排気量:0.67L→0.81L]」と書いた。

このボアの78.9mmという数値にするのに、少々悩んだ。これは実測値なのだが、ビトーR&DのHPだと、79mmとなっている。ストロークは変更していないので83mmだ。ボアを79mmで計算すると、813ccになるのだが、ビトーR&DのHPでは、811ccとなっている。ちなみにボアを78.9mmで計算すると811ccになるのだ。今回はゴールの数値を優先して、78.9mmとした。811ccだろうと813ccだろうと、総排気量としての数値は0.81Lで変わらないのだが。

自動車を特定する資料

ここで大事なのは、以前は車検証の写しでよかったのだが、電子車検証になってからは、「自動車検査証の情報を車検証閲覧アプリで出力した自動車検査証記録事項」となっている。このアプリは国交省が配布している。スマホにインストールして、アプリが言うとおりに電子車検証を読み込むと、自動車検査証記録事項PDFを出力できるようになる。そのPDFは何かというと、電子車検証と一緒にもらえる自動車検査証記録事項っていうあれだ。

次回へ続く

リアホイールをアルミ化したい! その4

アルミリム化したホイール単体重量 6.8㎏

リアホイールのリムをアルミ化する話の続き。初めの話はこちら

チューブレス化

スポークが組み上がり、これからチューブレス化の作業。その前に重量確認。

アルミリム化したホイール単体重量 6.8㎏

6.8キロだ。鉄リムとは1.1キロ違う。リムそのものの重さの差と同じなので、スポークとニップルによる重さの変化はなかったということだ。

作業を始める前に説明書をしっかり読む。今までこの作業は2回やったことがあるが説明書を読むのは大切だ。とここで大変なことを知らされる。ニップルの頭が極端に出ている場合は削って平らにしろとなっている。

DACHIのニップルの頭は、結構膨らんでいる。ニップルはリムに斜めに締め込まれているので今更頭を均等に削ることはできない。作業の初めから終わりまで一貫した見通しを立てるというのはとても大切なことだ。今回は見なかったことにしよう。

リムの内側をパーツクリーナーで清掃したあと、マジックリンなどのアルカリ洗剤で拭けばとなっている。家にあるのはバスマジックリンだけなのでそれを使う。

バスマジックリン

清掃が終わったら両面テープを貼り込んでいくのだが、リムが冷えているとテープの付きが悪いということでヒートガンで温める。今は秋の終わり。リムは冷たい。

接着力アップのためにヒートガンでリムを温める

やはりニップルが出っぱっていると、両面テープがしわになり貼りづらい。特に貼り始めはよりどころがなく全くうまくいかなかった。

ニップルが出っ張っていると、貼り始めはうまくいかない

両面テープは長めにあるので、1コマ目は切り捨てるつもりでやった方がイライラしないで済むかもしれないし、実際そうした。

ニップルが出っ張っているので、テープにしわが出る

両面テープを貼り終えたらその上から保護テープを貼るのだが、この作業もやはりニップルの頭が出っ張っているのでやりにくかった。いつかフロントホイールのスポークもステンレス化する時には事前にニップルの頭の加工してからやろうと思う。

保護テープ完成

タイヤをはめる

とうとうここまで来てしまった。ここまでやってきた作業の間、なんだかずっと気が重いままだったのはこのタイヤをはめるという作業があったからだ。

自分でタイヤをはめると、タイヤレバーでリムを傷つけそうになるし(実際傷つけたことあるし)、タイヤレバーでタイヤを傷つけそうになるし、なかなかはまらなくてあせるし、タイヤの中にリムプロテクターが入っちゃって出せなくなるし、タイヤにスリッパはさまってとれなくなるし・・・

身体全身でタイヤをはめていると、ビートにサンダルを食われる

Wのタイヤを2度はめたことがあるが、いい思い出はない。

今日こそすんなりはめたいから、予習しておこう。「PPバンド タイヤ交換」で検索して勉強する。人によっては、タイヤレバーを使わなくても入ったみたいなことが書いてある。当然そんな経験は俺にはない。

前回挫折したが、両ビートを一気に入れるやり方をワンちゃんやってみよう。PPバンドで8か所絞る。

PPバンドで八方を締める

忘れちゃならない軽点を確認するが、黄色い丸は無く、赤い丸しかなかった。なんだっけこれは? 調べると、高点となっていたので、振れ取りでいちばん低くなっていたところと合わせる。

さて、今日は新しい武器も用意してある。まずはタイヤレバー。今まで2本でやってきたが、3本あると楽になる気がしたのと、長い柄のもので、ぐいっとはめてやろうという算段。

今回使った道具たち

もうひとつはビートワックス。たいして使わないだろうと小さいものを使っていたが、この先も数回はやるだろうと、大きなものを購入した。

そのビートワックスをビートに塗る。今まで使っていたやつは、やや粉っぽい固まりになって塗りづらかったが、こいつは固めのグリスみたいな感じで塗りやすい。

PPバンドで縛ったタイヤをホイールにはめようとする。ところがまったく入る気配がない。

どうすりゃいいんだ?

忘れてしまったが、前回はここであきらめて、片側ずついれたのかもしれない。

まあ、それぐらいタイヤって硬いのよ

そんなはずはないと、ちょっと本気を出して押し込んでみると、半分ホイールにかかった。

よし、ここでかかった側のビートをしっかりとリム底にポジションさせて、そのまま手だけで入らないかやってみた。残念ながら無理だった。

はやる心を抑えて、リムプロテクターを3か所セットする。

リムにはまっていない部分の左端を、新しいタイヤレバーであおってみる。 すんなり入る

まあ、一発目はね

右端をあおる。 入る。

問題はここからだよね

残り12センチぐらいのはまってないビートとリムの隙間にタイヤレバーをグリグリ差し入れ、ゆっくりあおる。

入った

こんな簡単に入ったことないよ! スリッパも食われてないし なにより腹筋が痛くない! いっつも腹筋つるもんね! タイヤレバーも新しい1本しか使ってないよ

無事タイヤが入ったので、会社から持ってきてあったエアコンプレッサーで空気を入れる。夕暮れの住宅街に響く、ポン ポンッ! チューブレスキットの接着養生時間も必要なので、作業はここまで。

いれたタイヤはPIRELLI ANGEL GT 160/60 ZR17 今まで履いていたANGEL ST の後継モデル。エンジェルというが、STではうっすらあったエンジェルパターンはなくなってしまった。

PIRELLI ANGEL GT 160/60 ZR17

バランス調整

ホイールバランスを調整する。デイトナのホイールバランサーは、スポーク調整用とホイールバランス調整用のふたつのポジションがある。スポーク調整用のポジションでは、シャフトは固定され、ホイールベアリングでタイヤは回転している。

デイトナのホイールバランサー

一方ホイールバランス調整ポジションでは、左右2個ずつのベアリングにシャフトをのせる。ホイールの回転は、このベアリングに託されるわけだ。デイトナの商品のいいところは、このシャフトの端部にスナップリングが2個留められていて、シャフトの横ずれを防止し、万が一のホイール脱落を防いでいる。

当然だが、バルブの位置が重い。反対側に50グラム以上ウエイトを貼った。空気を入れる前に、タイヤとホイールの位置を変えて、最もウエイトを使わなくていい位置を探って置くべきだった。できるかどうかはわからないけど。

試運転

Wにホイールを戻し、フロントホイールの空気圧を確認する。なんと70kPaしか入っていなかった。両手の親指で押してみると、信じられないぐらいへこんだ。こんなんで走っていたのか? どおりで運転しづらいわけだ。

たまに指で押して確認していたつもりだったが、実に2年間測ってはいなかった。というのも、持ってるエアゲージではディスクが邪魔して測れなかったのだ。最近使えるエアゲージを妻に買ってもらった。

嫁に買ってもらったエアゲージ

空気圧を正しくしてエンジンをかけ、ゆっくりとクラッチをつなぐ。左に曲がる1つ目の角で軽くバンクさせた瞬間驚いた。倒れ込むスピードが思っている以上に速い。

多分これが普通なのだろう。空気の抜けたフロントタイヤのダルな感覚にならされてしまっていたのだ。

倒れ込むスピードの速さとは逆に、バンク角が変わらない妙な粘っこさがある。これは倒立フォーク化した時に覚えた感覚と一緒だ。

この不思議な相反する感覚も、走っているうちに慣れる。残念ながら加速も減速も、アルミリムによる軽量化の変化を感じることはできなかった。ばね下重量軽減による路面追従性も、6年前に交換して6万キロ走ってて、ぎしぎしいってるリアサスではわかろうはずがない。  早く新しいものに換えたい・・・

とはいえ、前後そろったこともあり、見た目は大満足な今回のカスタムであった。次の作業は、ついにボアアップの改造申請だ!

リアホイールをアルミ化したい! その3

デイトナのホイールバランサー

リアホイールのリムをアルミ化しようとしている話の続き。初めの話はこちら

リムの下準備

スポークたちが届くまでの間に、やっておかなければならないことがある。ニップルの穴が切りっぱなしなので塗装することと、リムの溶接部を平らにすることだ。

まずは、ニップル穴の塗装。2液性のウレタン塗料で筆塗りとした。エアブラシも考えたが、そもそもそこまで目立つものでもないので省力化した。

リムの溶接部は、この価格の製品としては、割とガタガタだ。エキセルとしては、「このホイールはチューブを入れることを前提に作られたホイールです」というように、このままチューブレス化したら、エアが漏れるかもしれない。いや、きっと漏れる。

リムの溶接部は、なかなかのがたがた

フロントホイールもやったのだが、そのデコボコをヤスリで削って平らにする。

でこをやすりで削る

このホイールはボコもあったので、削った後にエポキシポテで平らにした。

パテをうったあとに平滑化

仕上げはやはり2液性ウレタン塗料だ。見えなくなるところではあるが、パテのままというのは気持ちが悪い。こっちはエアブラシを使って塗装した。

デコボコを修正して塗装

ホイールの組み立て

スポークの納期がずいぶん縮まった。ホイールバランサーより早く届いてしまう。

そう、ホイールバランサーも買ったのだ。例によって2✕4で作るつもりだったのだが、そのうちフロントタイヤを交換する時がきたらスポークをステンレスにするつもりなので、その時にも使うだろうし。ということで。

買ったのは、デイトナのホイールバランサー。よく似てるものが半額近くであったが、口コミを見るとベアリングがやばいらしい。ただそれもすべての口コミではないので、運なのだろう。デイトナなら大丈夫であってくれというところ。

ステンレススポークとニップル

スポークが届いた。早速組み始める。机に置いたときに、左を下にした方が安定するので、左を下にしてハブを置く。その前に左側のスポークはすべてハブに差し込んである。ハブの端部とリム端部の出来上がりの差が16.5ミリなので、それぐらいになるよう薄板を重ねて枕木とし、その上にリムを置く。

下側のスポークから組み立てる

スポークもリムもステンレスなので、カジリ防止にモリブデングリスをねじ部に塗る。専用の潤滑剤もあるらしい。

スポークのねじにモリブデングリスを塗る

前にも書いたがストレートスポークなので、どのスポークから組んでも問題ない。スポーク同士は一切干渉しないから。なので組むのは、あっという間。軽いテンションがかかるぐらいのところまで両面組み上げた。

そこで違和感 左側のスポークのネジがニップルに収まっていない。

既定のトルクまで締め込めば、ニップルに収まるのか?

ちなみに規定のトルクとはW400のサービスマニュアルによると、5N・mとなっている。

ホイールバランサーにセットし縦ブレ横ブレを交互に取りながら、ニップルを締めていく。この振れ取りは、はまると深い沼らしいが、それほど深い沼にはまることなく規定のトルクまで締め付けた。

ところがだ

左側のスポークのネジは未だ2ミリほどニップルに収まっていない。もしかしてリムが右に寄ったか? そう思って確認してみたがむしろ逆であと0.5mm右に寄せたい。

締め切ったのに出ているスポークのねじ

ここで豆知識
スポークのねじは転造ねじといい、ネジに続く軸の径がネジの谷径より細くなっている。この形状のおかげで、ネジを切っていない部分がニップルに到達してもスポークは回り続けることができ、ニップルの中に入っていくのだ。見た目が同じような半ネジでは、ネジを切っていない部分がナットに到達した段階で止まってしまう。

いやーおかしいな古いスポークで試してみた時は問題なかったのに・・・

アルミリムの方が肉厚で、ニップルが外側にいってるのか?

あっ

わかった。ニップルの長さが全然違う。新しいニップルの方が3ミリに短い

そっかーニップルの長さまで考えなかった。てかこれは来てみないとわかんないから仕方ないね

それにしてもどうする? ネジ見えててもいいか なんかネジのところ汚れそうだよな

ブルンブルン

大きく首を横に振った。危うくこのまま完成させるつもりになった。このまま仕上げたら絶対先々後悔する。

2ミリだな。2ミリ長いスポークを注文しよう。

スマホを取り上げてウェビックにアクセスし、2ミリ長い154ミリのスポークを注文した。使わなくなった152ミリが、フロントで使えることを祈る。フロントはスラクストンのホイールなのだが、スポークがアホみたいに錆びやすい。

じゃあばらすか

そう思ったところで、ふと気づいた。

本当に2ミリでいいのか?

俺のよくやる思い込みだ。見た目で判断してる。いちばんねじが出ているところの長さを測ってみた。4ミリ弱だ。やっちまった!

慌てて今頼んだスポークをキャンセルする。右のスポークは154ミリでいいが、数量変更はできなかったので、すべてキャンセルだ。

結局、154ミリを20本、156ミリを20本注文した。左右の違いは、純正の長いニップルなら許容したのだが、短くなったニップルでは変える必要があったということだろう。頼んだスポークは数日後届いた。

ホイールの組み立て 2回目

2回目なので慣れたもの。1回目以上にあっという間に組み上がった。これから振れ取りをする。振れの許容度だが、W400のサービスマニュアルには、左右0.8ミリ、縦1ミリとされている。

デイトナのホイールバランサーには、調整しやすいガイドがついているので、非常に作業がしやすい。これは間違いなく買って正解だった。

デイトナのホイールバランサー
ホイールバランサーの振れ確認ガイド

振れもほとんど無く、トルクもまあまあだ。まあまあというのは変だが、すべて同じトルクで振れを取るのはなかなか難しく、そこは突き詰めるのはやめておいた。

トルクレンチでニップルを締める

今回新しくトルクレンチを購入した。今まで5N・mより小さい値のものは持っていなかった。安物だが質感は高い。1~8N・mまで管理できる。

今回購入したトルクレンチ

ここで力をこめてホイールを回転させる。リムの先端に振れは無いのだが、ビートが乗っかる面を注視すると、どう見ても波打っている。下が横から見た動画。

振れ取りは完璧だ。だが、回すと「ぶん ぶん」となる。どうしたらいい? このままでいいのか? いやいや、これはスピード出したら怖いぞ。原因を考える。

波打っている箇所は、リムの溶接部の近くだった。そこで、ビートが乗っかる面からリムの先端の高さを何箇所か測ってみた。すると、波打っている箇所が他より1ミリほど小さい。リムの先端で調整しているから、そこだけ盛り上がり、波打って見えるわけだ。

そうなるとビートが乗っかる面で調整しなければならないということか? ホイールを何度も回して、その様子を見る。 ぶん ぶん やっぱりこれはありえないね 全体的にニップルを緩めて、やり直しにかかる。

しかし、振れを見るためのガイドは、ビートが乗っかる、リムの内側をさすことはできない。電線を巻きつけて固定し、先端をリムの内側に伸ばしてガイドとした。

ビートが乗っかる面で調整が終わると、さっきまでのブルン感は無くなった。これで安心して乗れる。

リアホイールをアルミ化したい! その2

Excel Rim

リアホイールのリムをアルミ化しようとしている話の続き。初めの話はこちら

アルミリムを求めて

エキセルにリムを注文したけれど、指定した傾角29.5度(車両後方から見た時の、垂線とスポークのなす角度)では、工作機械の限界を超えているので製作できないと言われた。25度ならできるというが、4.5度も違うのは、感覚的に許容範囲とは思えない。困った。

当初の計画通り、スラクストンのホイールがヤフオクに出ないかと、始終観察しているが、まったく出てこない。どうしたもんだか・・・

ヤフオクがダメならe-bayだな。

昔、日本では売っていないゴルフ用品を、何度か買ったことがあるから敷居は低い。早速検索だ。

ある しかも複数ある。しかし高い。商品そのものがまず高い。350ドルはする。円で言ったら50000円超えだ。そして当然送料が高い。25000円はする。都合75000円だ。ヤフオクで2年前に出品されていたやつは、送料込みで25000円ぐらいだった。シルバーだからやめておいたのが今となっては悔やまれる。

どうしよっかなぁ 75000円たけーよなぁ

しかし、ここでアルミ化を諦めると、また4年は鉄リムとつき合わなければならない。どうすっかなぁ

何度も何度もe-bayを見返す日が何日か過ぎた。その日もe-bayに新しいスラクストンのホイールの出品が無いかチェックしていた時に、ふと気づいた。

このスラクストンのリムはエキセルだよなぁ このリムのデータなら当然エキセルも持ってるだろ これで作ってもらえばいいんじゃないの?

スラクストンの実物は見ることができないので、ネットでスラクストン画像を検索し、ボンネビルのスポークパターンと同じか検証してみた。確実に同じかは当然定かではないが、基本同じだということはわかった。トライアンフの純正部品を調べてみると、スプロケットキャリアやハブダンパーは同一品番だった。ハブやディスタンスカラーは違ったので、ホイールの幅に合わせて、ハブも多少広いのかもしれない。

スラクストンのリム穴で製作できるか問い合わせてみると、可能という回答を得ることができた。幅の広さが傾角の違いとして現れそうな気がする。若干ギャンブルだがどうする?

スラクストンのリム穴で製作お願いします!

注文を確定させた。

リムが来るまでの準備

納期は3か月とのことだったが、注文から1か月ほどで、確認のメールがきた。内容は、スラクストンのデータで穴をあけたのだが、ディンプル(半球のふくらみ)から、穴が外れたということだった。このまま製作を続けてもいいかということだ。添付された写真を見ると、確かに少しはみ出ている。

工場で加工途中のエキセルリム 穴がディンプルから少しはずれている

とは言え、それほどひどくもないし、老眼だからどうせ見えやしない。他に道は無いので、そのまま作ってくださいと回答した。

ディンプルから外れたのは残念ではあるが、もうここまでできていれば、1か月もしないうちに手に入るだろう。そんな喜びを感じるとともに、リム穴とハブのマッチングが悪かったら45000円捨てることになる不安が心のはじっこをひっかいていた。

リムが来る前に、今のホイールの分解をしておこう。まずはタイヤはずし。ビートブレイカーを買おうかと思ったが、今回は2✕4を使った自作でしのぐかなとも思う。ビートブレイカーは使用頻度に対して、かさばりすぎる。

どうするか決めかねていたのだが、会社に車で行く機会があったので、会社でぶったぎることにした。サイドウォールはカッターで切ったのだが、結構硬くて指の筋肉を痛めた。これは1年痛むやつだ。

ボンネビルはストレートスポークだ。ストレートスポークって、共回りしてしまうのでは? 検索すると確かに共回りするようだ。それに対して工具を改良してる人の記事をみつけた。まねして作ってみる。

スポーク押さえ工具はバイスプライヤーにフラットバーを溶接 ネットで見たもののまねっこ

溶接も、てこずらずにできた。アウテックスのチューブレスキットをはがしてから、その工具を使いつつ、スポークをばらしはじめる。ニップルレンチは本来別の工具を加工して作った。写真は試用段階でまだヘッドがごつい。

自作ニップルレンチ まだ試作段階でごつい
自作スポーク押さえ工具

おおっとその前に、この子の体重を測っておこう。

鉄リム ホイール重量 7.9キロ

7.9キロだ。何キロになるのか楽しみだ。

ばらしつつ、現在のスポークの長さを測る。間違わないように4本のそれぞれに色テープを貼る。

4本のスポークの長さを調べるために色テープで識別

右と左で絶対違うと思っていたが、4本とも同じく152ミリだった。そりゃそうだろうけど、ボンネビルのパーツリスト通りだ。

4本のスポークの長さは同じ 152mm

リムが届いたらこいつを使って仮組みし、リム穴に問題が無いか、スポークの長さはどれぐらいにすべきかを調べるつもりだ。

スポークをすべてはずして、単体となったリムを持ち上げる。あれ? 思ってたより軽いぞ・・・

アルミリムが到着

まずおどろいたのが表面処理だ。アルマイトとなっているのだが、しっかりと黒い。アルマイトの膜が厚いのだろうか? 見た目は塗装に近い。かといって安っぽいのではなく、逆に高品質感がみなぎっている。言い過ぎてしまえば黒いダイヤモンドだ。もちろん石炭のことではない。フロントホイールはスラクストンのものを使っていて、リムは同じエキセルだ。その質感とまったく同じだ。今までこれは塗装なのだと思っていた。ほんとに失礼した。

Excel Rim

そんなことより気になることがある。持った感じが鉄リムとたいして変わらないのだ。

測定しよう

鉄リムは4.1キロ

鉄リム単体重量 4.1キロ

アルミリムは3キロだった。1.1キロ差かぁ そんなもんかぁ そんなもんなんだなぁ まあ、バネ下1キロはでかいよ

アルミリム単体重量 3キロ

自分をなぐさめる

アルミリムの仮組み

古いスポークを使って仮組みしてみる。 作業台にハブを置いて、ハブとリムのオフセット分のスペーサーをかましてリムを置き、作業台側のスポークから組んでいく。ストレートスポークは組む順番を気にしないでいいのがいい。本締めしていない段階では、まったく問題は感じられない。

仮組みはそれっぽいトルクで締めつけた。そのあと4本のスポークを1本ずつはずして、スポークの向きとニップルの向きが正対しているか確認する。

スポークとニップルの向きがあっている確認

4番がじゃっかん違う気もするが、これぐらいは許容範囲だろう。スポークの長さも問題ないようだ。

この確認を終えて、初めてスポーク、ニップル、チューブレスキット、タイヤの注文ができた。納期は2週間となっている。思ってたよりかかるがどうしょうもない。

EXCEL RIM 17inch MT4.5J

リアホイールをアルミ化したい! その1

スポークの角度をCADで描画

8月の暑い日のこと。道路の舗装の継ぎ目が縦に走っているところで、リアタイヤがスライドするぐらいの感覚を覚えた。ここのところ、路肩を走るのも、少々恐怖を感じるぐらい、タイヤがとられる。

帰宅してからタイヤを確認すると、いつの間にかスリップサインが出ていた。今年は車検なのだが、それまでは持つと踏んでいたのに大変なことになった。

というのも、リアタイヤの交換と同時に、リムをアルミ化したいと考えていたのだ。今のリアホイールは、トライアンフボンネビルT120のものなのだが、リムが鉄製で、くそに重いのだ。

アルミ化の方法は、同じくトライアンフのスラクストンのホイールに換装すること。まあ、当然のように入手経路はヤフオクになるのだが、スラクストンのホイールが全然出品されない。もう、待ってはいられない。別の方法を考えなくてはならない。

次の方法は考えてある。エキセルのリムを購入することだ。ボンネビルT120に合った中古なんて絶対にないだろうから、新品の購入となる。価格は5万円くらい。スポークもステンレスに換えたいし、チューブレスキットも必要だし、結構な金額となる。

しかし迷ってはいられない。なぜなら、エキセルのリムはすべて特注で、納期が4か月となっているのだ。今は8月。こういうものは、たいてい納期より早くあがってくるから車検にはぎりぎり間に合うかもしれないが、余裕はあった方がいい。

エキセルリムを注文

ウェビックでエキセルリムを注文した。ボンネビルT120ブラック用で、幅は4.5J。普通のボンネビルT120は4.25Jだが、今入れているタイヤがピレリエンジェルSTの160。しかしリムに抑えられてか、実測150ミリ。バンク角は自信あるのにアマリングがでかいのも不満なところ。少し広くして、これらを解消したいのだ。

お盆が過ぎて、ウェビックからメールが来た。内容は、ボンネビルT120のスポーク穴のデータが無いので製作できないとのことだった。「国内メーカーの車種:●●と同じで」のような指定をしてくれれば、ユーザー責任で製作してくれるとのこと。

う〜む

こいつは困った。そもそも国産車のスポーク車なんて少なくてちょうどいいのが無いからトライアンフのホイールを使っているのだ。トライアンフのハブに合うスポーク穴の国産車なんて、絶対と言っていいほど、あるわけない。

無いものは作る

俺の根幹の言葉だ。よし、ボンネビルT120のスポーク穴データを作ろう!

スポーク穴データをつくる

採寸してCADで描いてみる。この段階では、情報は寸法だけだ。描いたものと、スポークの角度を分度器で測った角度を比べてみる。少し違う。

スポークは、4本が1組で構成されている。全部が全部かというとそれはわからない。少なくとも、目の前にあるボンネビルT120のホイールはそうなっている。この4本を回転方向へ順番に1から4とすると、1は右2は左、3は右4は左となっている。(このころのトライアンフは、右がチェーンなため、ひっくり返して使っているので、実際はその逆なので注意)

ボンネビルT120のリアホイール

1と3は右側だが、1は3の外側になるので、車輪後方から見た時の、垂線とスポークの角度が3より大きくなる。(あとからわかることだが、これを傾角という) 同様に、2と4は左側だが、2は4の外側になるので、4より傾角が大きくなる。

さらにスポークは、側面から見たときに、アクスルシャフトを中心とする放射線とスポークに角度がついている。(これもあとからわかることだが、張角という) 右側だけに注目すれば、1は回転方向に引っ張られ、3は半回転方向に引っ張られてバランスしている。

このスポークというものは、「角度」とひとことで言っても、それだけでは決まらない難しさがある。というのも、リムにあいている穴は等間隔に並んでいるわけではないからだ。穴はスポークの向いている側にずれている。

おそらく、自転車のリムのような薄肉のリムは、穴が等間隔に並んでいるのだろう。オートバイのリムは肉が厚いので、穴がずれるのだ。これは、ホイール側面から見た場合で考えたとき、放射線とスポークの交点はリムの表面ではなく、アクスルシャフトから遠い点にあるということだ。

しかしこの交点は、タイヤが組まれている状態ではどこにあるのかわからない。スポークの状態をCAD化するには、この交点が大事なポイントになるのにだ。

穴のずれを測定し、そこからリムの表面よりも円の外側にある交点の円を仮定して、CADデータを修正していく。

スポーク同士の角度が、どうしてもリアルとCADに違いがあり困っていたが、ふと気づいた。ホイールの側面図は、ホイールを平らな1枚板で描いているが、実際のスポーク面は傾角分倒れている。この倒れた面と垂直な視点で描写し計測しないと、CADはリアルに近づかない。

採寸と修正を何度か繰り返して、CADとリアルがほぼ同じデータができあがった。

スポークの角度をCADで描画

このCADデータと、念の為PDFにしたものをウェビックに送って、エキセルと調整してもらった。

数日後返信が届いた。傾角と張角の説明がされたリムとスポークの図が添付されていた。この図によって、初めて傾角と張角という名前を知る。そして、その傾角と張角を指定してくれと書いてあった。

スポークの角度 傾角と張角 エキセルさんからの引用です

いやいや、傾角張角という名前は知らなかったが、指定したのはその角度だぞ。なのに、それを指定しろとはどういうことだ?

もしかしたら、スポーク1と3の角度をそれぞれ指定したけれど、そこは許容範囲かなんかで、ひとつの値指定なのか? ふくらんでる半球の位置まで指定したが、それは決まりものなのか? 

疑問を問い合わせてもよかったが、今回は深く追及せず、右スポークの傾角25度、張角20度、左スポークの傾角29.5度、張角25度、という返答をした。

帰ってきた答えは、左スポークの傾角は、機械の限界を超えているので、製作不可能です。25度なら可能です。というものだった。29.5度に対して25度。それって果たして許容範囲なのだろうか?

どうなる? アルミリム化

リアブレーキキャリパー交換

ブリードプラグはチタン製

リアブレーキから何やらかすかにキーキー音がする。そろそろパッドも交換する時期な気もするし、ばらしてみよう。

ばらしてみると、案の定ブレーキパッドは残り1mmもないといったところだ。中古のブレーキパッドがあるので早速取り替えようと思ったところで気がついた。このブレーキキャリパーは片押しなので、キャリパーはフローティングされている。そのキャリパーをマウントしているベースの一部がディスクに当たって削れているのだ。

このベースって動くんだっけ?

疑問に思いながらもとりあえず交換することにした

このブレーキキャリパーは、リアブレーキをディスク化した時に取り付けたもので、カワサキZZR1100のキャリパーだ。ヤフオクで手に入れた中古のものだが、腐食してキャリパー内部もピストンも、一部かじったようになっていた。

いつかは取り替えたいと思い、ヤフオクに出品されるのをたまにチェックしていた。入札する条件は、見た目の状態がいいもの、ブレーキパッドの残りが多いもの、そして中古のブレーキパッド代だと考えれば割に合う金額のものだ。

ざっくり言ったら送料込みで2000円と言ったところ。

そんな理由で、今ブレーキキャリパーは2組持っている。そのうちの1つのベースを使おう。ロフトから引っ張り出したブレーキキャリパーから、ベースを外し錆をワイヤーブラシで落として、耐熱ブラックのスプレーを吹いた。

塗装を乾燥させている間に新しいパッド(と言っても中古のキャリパーについていた中古パッドだが)をセットしようと、ピストンを押し戻しかけて気がついた。小径側のダストシールが飛び出ている。

こいつはピストンを外さないと元の位置には戻せないだろう。いや、たとえピストンを外しても、潰れて変な癖がついているから、元通りにはならないだろう。どうせダストシールを新品に取り替えるなら、これを機会にキャリパーごと全交換だ!

キャリパーサポートの位置の謎

それはそれとしてベースが削れた理由を解明しておこうと、手にはつかないぐらいに塗料が乾燥したベースを仮付けしようとしてみた。

入らない

キャリパーサポートとディスクの間にベースが入らないのだ。測ってみると、リスクとキャリパーサポートの隙間は10.5mmに対してベースの厚みは11.5mmだった。入ろうはずがない。

なぜだろう。4年前にこの構成にしてから、何度もブレーキパッドを交換したが、こんな風になったことは一度もなかった。なぜ突然?

アクスルシャフトが貫いている部品たちをじっと見る。右から、右カラー、キャリパーサポートカラーのつば、キャリパーサポート、左カラーとなっている。ふと思いついてキャリパーサポートをディスクの方に押してみた。

動いた

キャリパーサポートがディスクの方に寄った。こんな状態で走っていたのか? キャリパーサポートの位置を元に戻してディスクとの隙間を測ってみたが先ほどと同じ10.5mmだった。キャリパーサポートが動くことは大きな問題だが、それ以上に入るはずのない隙間に部品をねじ込んでいたことはもっと大きな問題だ。

謎が高まったので、作業をやめて過去の資料を調べることにした。過去の資料というのは、部品の流用をするときに、パーツの寸法や組み立て方を考察するための手書きの資料だ。

クリアファイルにプロジェクトごとに入れてある資料から、リアブレーキをディスク化した頃のものを探し出す。

キャリパーサポートについて「左へのスラスト方向の移動をどうする」という言葉を見つけた。やはりそのことには当時から気づいていたらしい。しかし、それ以上の情報は得られなかった。

そうだ 当時の写真を見てみよう

Googleフォトで当時の写真を探してみてわかった。キャリパーサポートのカラーの入れ方が違ったのだ。

前述の通り、リアブレーキにはZZR1100のものを使っている。なぜこれを使うかというと、対向ピストンのキャリパーは、スポークにぶち当たって使えない。これは当初ZRX1100のキャリパーを試してみてわかったこと。片押しピストンでアクスルシャフトの下にキャリパーがくるものは、これぐらいしか見つからなかった。キャリパーを下にしたい理由は、スイングアームがZRX1100であり、それはキャリパーが下だからだ。

ZZR1100のキャリパーサポートは、アクスルシャフトに対して、ニードルベアリングとカラーで接続される。カラーは、片端にツバがあり、キャリパーサポートはそちらには動かない。では、ツバがない側への移動は、どう抑制していたかというと、おそらく純正状態では、トルクロッドで抑えていたのではないかかと思う。

ところが我がWのトルクロッドは、両端ともロッドエンドベアリングとなっている。これは自由に動くのが売り。なので自由に動いていたわけだ。当初はツバを左に組んでいたから、ディスク方向に動くことはなかった。右には動くのだが、トルクロッド両端の位置の関係上、右に動くようには思えない。当時もそう考えたのかは覚えていない。

では、いつひっくり返ったのか? それはおそらく去年、キャリパーサポートの腐食が気になって、塗装したときに間違えて組み立てたのだと思われる。こういう時、流用チューンはあぶない。作り上げた時の記録をきちんと作っておかないと、こんなことになる。

キャリパーのリフィニッシュ

必要なゴム部品を注文し、それが届くまでの間に、キャリパーをリフィニッシュする。内部の腐食、外側の塗装や汚れを、ワイヤーブラシやルーターできれいに落とした。

塗料は耐熱が良いのだろうが、前回の塗膜はオーブンレンジで乾燥させたというのに、パーツクリーナーに負けてしまうものだった。今回は2液性のウレタン塗料でやってみる。塗る前に試してみたが、パーツクリーナーにも耐えそうだった。

試しにハケ塗りでいけるかやってみたが、まったく話にならなかったのでエアブラシで塗った。こちらが施工前(ただし程度は同様の別物)

そしてこちらが施工後

ブリードプラグにチタン製をおごってみたが、ゴムキャップをかけると、ほとんど見えなくなる。まあ、ただの自己満足。

キャリパーの取付

今回ついでに錆び始めたトルクロッドの取付ボルトも取り替えた。このボルトはボルトの谷径で強度計算しているのだが、半ねじのものを使って、少しでも強度を稼いでいる。本当はピンにしたいのだが、適当なものを見つけられなかった。今回は更にねじでない部分を長くして強度を稼ごうと吟味してボルトを選んだが、新旧比べてみるとまったく同じだった。

ベースにキャリパーを組みつけ、中古のパッドを取りつけた。まだ5ミリ残っているので、ほぼ新品みたいなものだ。

キャリパーサポートに3本のボルトで固定する。ベースとディスクの隙間は3.5ミリあった。この隙間をいくつにするかで、リアブレーキをディスク化した時に悩んだ。初めの設定は失敗で、パッドが外れてしまったぐらいだ。片押しピストンのキャリパーの動きにとらわれすぎてしまったのだろう。ただ、よくよく考えてみれば、ベースに保持される外側のパッドとベースの相対的な関係は、パッドの厚みしか変化しないということと、パッドが完全にすり減っても、バックプレートを保持できていればいいということだ。

今の隙間の3.5ミリだと、パッドが完全にすり減った時に0.5ミリしか保持されないので少々心もとない。あと2ミリディスク側に寄せよう。更に、今のカラーの外径は、キャリパーサポートのカラーの外径に合わせて28ミリとなっている。これを38ミリとして、キャリパーサポートが外側にも移動しないようにしよう。

カラーの交換

ミスミに注文していたカラーが届いた。以前は気がつかなかったのかもしれないが、仕上げにアルマイトを選ぶことができた。

カラーの変遷 初回(失敗)

前回

今回

キャリパーサポートが、だんだんディスクに近づいているのがわかる。

交換終了したキャリパー

キャリパー交換完了

ブレーキホースつなぎ替え時のブレーキフルードにも、パーツクリーナーにもやられない塗膜ができた。あとは、使用時の熱に耐えられれば文句無しだ。

シートカウルの原型を作る -ZRX400のタンクを取りつける-

シートカウル原型 あと一層か

ZRX400のタンクを流用する話の続き。始めの話はこちら。

タンクを変えるに伴って、今までのシートが使えなくなる。新しくシートを作らなければならないのだが、今回のカスタムの完成予想CGはこうなっている。

一言で言えば、小ぶりなシングルシートカウルだ。うまくできるか自信は無いが、カーボン柄を出したものとしたいと考えている。今までのシートは、わざとシートレールを出して、鉄の造形をアピールさせたが、このシートカウルでは、あえて隠している。

製作方法は、木で原型を作って、雄型とするのが、間違いなくカーボン柄をきれいに出せる方法だと思う。デメリットは原型よりも大きくなること。シートレールを隠すために、ただでさえ大きくなってしまうのに、大きくなる方向への工法の選択は、少々躊躇してしまうところだ。

原型もできる限り小さく。しかもカーボンクロスの張り込みに耐える強度で。更に離型のためには、原型を分割できなければならない。課題が多い。これは雌型の方が良いのか? 

原型の製作

雄型か雌型か決めきれないまま、原型の製作に入る。木で、シートレールを隠し、なおかつなるべく外に大きくならないようにするには、どう作ればよいのか頭を悩ませたが、シートレールの上に15ミリ角の棒を並べ、側面にシートレールを隠す部分を貼り付け、上面に左右を結ぶ板を貼ることにした。まずは、上面を貼る。側面についているのは、ただの位置決めパーツ。

シートカウル後部のRをどうするかだ。木は、水に濡らして加熱すると曲げられるということを、なにかで見た記憶がある。それにするか? と想いを巡らしていると、ふとシートカウル後端を少し長くしたくなってきた。イメージは蠍の尾。寄らば刺す!

側面は、工作用紙で型紙を作る。サイレンサー型エアクリーナーの取付ボルトも、シートカウルで隠す構想。

側面を貼り終えたところで、一度W に乗せて具合を確かめる。タンクがひどいことになっているのは、塗装を剥ぎかけているから。盗んだバイクの様相(笑)

サイレンサー型エアクリーナーの取付ボルトが干渉するので切り抜いた。

その取付ボルトを覆うためと、曲面を作れるように、側面に1枚貼り足す。

側面がほぼ形になったので、木を1枚1枚貼り重ねて高さを出していく。接着剤で貼り、ビスで固定、乾燥したらビスを外して次の層なので、作業は1日に1層だけ。しかも休みの日だけなので、なかなか進まない。

カンナで形を整える。結構な重労働。

ようやくあと1層となったところで、シートカウルの後半の立ち上がり角度を決めたくて、もう一度Wに乗せて検証してみる。盗難車な見た目のタンクは、仮に つや消しブラックを吹いて少しだけおめかしした。

問題の立ち上がりの角度だが、思った通り ちょっと立ちすぎていた。もう少し寝かせたいが、シートロックの機構があるので、それほど変わらないかもしれない。ただ、リアブレーキをディスク化した時に、こういうこともあるかもしれないと思って シートレールを結ぶ アーチを3センチ 低くしておいた。

普段は 3センチのスペーサーをかまして シートロックメカを持ち上げている。このスペーサーを外して シートロックメカを3センチ下げれば 立ち上がりをもっと寝かせることができるだろう。ただしそうすると、最終的なフィッティングは実車でやらなければならない。自室にあるW400のフレームには、そんな加工がしていないからだ。

まあ、それはそれとして、もっとたいへんな問題が。 それは、シートカウルがあんまりかっこよくないのだ。なんかイメージしていたのと違う。そこで、完成予想写真をもう一度見てみた。

シートカウル後方が小さい(短い)。蠍の尾作戦は失敗だったということか。大変だが、削り落とすしかない。

しかし、ここから作業が沈滞化する。というのも、Wに関していろいろな作業が並行して進んでいるからだ。

ボアアップの構造変更

ビトーR&Dのボアアップキットを組み込んで810ccになった。これの構造変更申請をするための書類を作らなければならない。まずは他人にお願いしなければならない、駆動系の部品の強度証明書の取寄せだ。

電子制御加速ポンプ

ボアアップによる高圧縮化によって、低回転大開度にノッキングが出るようになった。CRキャブレターにパイロットスクリューを新設したり、ベースガスケットを厚くして低圧縮化をしてはみたものの、完全に解決はできていない。そこで思いついたのが、電子制御の加速ポンプだ。回転数はパルスで取れるし、アクセル開度はTPSでわかる。これで低回転大開度時に燃料を噴射すれば・・・

マイコンにプログラムを書き込んでLチカ成功

現在Lチカ達成! 先は長い。

リアホイールのアルミ化

今使っているホイールは、4年前にリアブレーキをディスク化した時に入れた、トライアンフ ボンネビルT120のホイールだ。これが鉄でできていて、めっちゃ重い。タイヤを交換する時にアルミ化しようと思っていたのだが、ついにその時が来たようだ。

今履いているのは、ボンネビルホイールと一緒に導入された、PIRELLIエンジェルSTだ。4年弱16000キロの果てに、サイドとセンターの中間あたりがやけに減って、スリップサインが出てきてしまった。このままだと車検に受からない。つまり構造変更の申請と同時にリアホイールのアルミ化をしなければならないというわけだ。

現在ウェビックを通して、エキセルと製作の可否を確認中。

スポークの角度をCADで描画

リアブレーキキャリパーの交換

リアブレーキから、なんとなくチャリチャリ異音が聞こえだしたので、そろそろパッドの交換かとバラしてみたら、案の定1ミリも残ってなかった。しかしそれより問題が、キャリパーピストンのダストシールがピストンと一緒に出てきちゃってるよ。

更に問題を発見。キャリパーベース(片押しキャリパーの動かないパーツ)が削れてる! これが音の原因か・・・ こいつは動かないはずなのになぜ?

なぜか削れたキャリパーベース

いろいろやることあるのに困ったぞ

てな感じで、作業は遅々として進まないのであった。

タンク固定金物 -ZRX400のタンクを取りつける-

改良完成したタンク前方固定金物

ZRX400のタンクを流用する話の続き。一番始めの話はこちら。

タンク前方の固定方法の考察

ZRXのタンクをWのフレームに取りつける方法を考える。タンクの前方内側には、平板をU字に曲げ、開放部を前方に向けた物が溶接されている。そのU字を、フレームから左右に突き出た円筒形のゴムを挟むように差し入れることによって固定される。今まで乗ってきたバイクは、おおむねこの方法で固定されていた。よくあるやつだ。

Wのフレームはトップチューブが1本しかないシングルクレードル。一方ZRXはタブルクレードルなので、タンクを支える左右のゴムの間隔は、Wのそれよりもかなり広い。幸い、本質的な位置は悪くなさそうなので、アルミの丸棒でカラーを作って、その距離を埋めてあげればいいだろう。

タンク後方の固定方法の考察

ZRXのタンク後方の固定は、タンク後部に垂直に垂れた板があり、それに振動防止ゴムを介して、2本のボルトで固定されている。

当初はこれだけかと思っていたが、ZRXのパーツリストを見ていたら、タンク下面最後部の5センチほど手前に、左右にふたつの背の低い円筒形ゴムで、荷重を受けていることがわかった。前述の2本のボルトには、下方向に荷はかかっていない。

この、2本のボルトを受ける部分と、円筒形ゴムを取りつける部分を作ってあげなければならない。そのあたりが、Wのどこになるかというと、Wのトップチューブ後端についているL型の金物のあたりだ。Wは、この金物の上面にタンクを、車両後方に向いた面にエアクリーナーボックスを固定するための金物が固定されている。

上面のネジ穴を利用して円筒形ゴムを取りつける金物を、後面のネジ穴を利用してタンク固定ボルトを受ける金物を固定してあげればよさそうだが、これがなかなか悩ましく、特に後面のネジ穴とタンク固定ボルトの位置が近いせいで、複雑でトリッキーな金物を作らなければなさそうだ。

まずはベースとして、フレーム側のL型部分に覆いかぶさるように50×50×t5のLアングルを取りつける。上面と後面を、4本のボルトで固定した。これはすでに電装ボックスを新しく作った時に作ったものだ。

つまりこのLアングルは、タンクの荷重受け金物、タンクの固定金物、電装ボックスが取りついてくる重要部品となる。

第一回仮装着

ミスミに製作を依頼していた、タンク前方固定用のカラーや、カワサキに注文していたタンク固定に関わるゴム製部品が届いた。

Wにタンクを装着して、各部の干渉を確認してみる。

タンク前方固定用のカラーの長さは完璧だった。きつすぎず、ガタも無い。タンク後方荷重受け金物は6mm厚の2017の板で、両端にタンクの荷重を受ける背の低い円筒形のゴムを取りつける。

このゴムは、ZRXの純正部品だ。板自体はアルミのカラーで高さ調整している。ちょっとこのカラーと固定の位置はあまりよくない。

ハンドルをきって、フロントフォークとタンクの干渉を確認する。当たるのでタンクを後ろにずらす。この状態で、重要部品のLアングルとタンク固定ボルト部の振動防止ゴムとの距離を測る。これがタンクの前後位置を決める数値になる。

燃料コックの位置を確認してみると、ZRXはWよりも、ずいぶん前にあることがわかった。(Wよりと書いたが、Wの純正タンクのことは知らなかった。今ついているWMのタンクとの比較)おおむねシリンダーの中心だ。

背の高い燃料コックだと、シリンダーヘッドカバーと干渉するかもしれない。タンクからすぐにエルボで曲げて、直線の燃料コックにするなどの工夫が必要かもしれない。

第一回仮装着でわかったのは、前方固定カラーの位置があまり良くないということだ。1〜2センチだと思うが、検討が必要だ。室内でW400のフレームを使って、そのあたりを検証してみる。

前方固定カラーの改良

W400のフレームで、W650にタンクを装着した状態を再現して、観察してみる。タンク前方固定カラーが、タンク側の受けの奥まで届いていない。一度タンクをはずし、ひっくり返してカラーを、受け金物に当ててみる。

カラーは、タンク側の受け金物には収まってはいるが、開放側に近く、大きな衝撃を受けたら外れるかもしれない。そんな衝撃受けたら終わりな感もあるが・・・

測ってみると、20ミリ後ろにずらす必要があった。しかしこれは難しい。というのも、カラーの直径が40ミリなのだ。カラーを20ミリずらすと、フレームから出ている、カラーを受ける直径10ミリの丸棒に5ミリかかる。あと5ミリずらせればカラーと丸棒は干渉しないから、新しい固定方法を考えればよい。ただ、丸棒からずれた場所は、フレームが平らではないので、それはそれで相当悩みそうだ。

ずらす距離が12ミリなら、カラーの芯から12ミリ外側に新しい穴をあければ、丸棒を使える。カラーがエキセントリックになるから、回転止めが必要にはなるが。

いろいろ考えたが、以下のようにすることにした。

丸棒の長さより厚いアルミ板に10ミリの穴をあけ、丸棒にはめる。こうすることによって、丸棒が無い平面ができあがる。

アルミ板に、丸棒の芯から20ミリ離れたところに、M10のタップをたてて、M10のボルトをねじこみ、新しい丸棒とする。ボルトは半ネジのものを使って、カラーにかかる部分にネジがないようにする。

これで20ミリ丸棒をずらせるが、アルミ板が回転してしまう。フレームに固定しなければならないのだが、元の丸棒を中心に、直径4センチほど、高さ7ミリほど、フレームから出っ張っている。この7ミリの段差をスペーサーでもかませようとと思ったが、アルミ板を削り出すことにした。この程度の精度なら、ボール盤でも大丈夫だろうし、部品点数は少ない方がいい。

昼休みにボール盤でガリガリやって完成した前方固定金物。アルミカラーは、アルミ板の厚さ分短くした。完成した改良タンク前方固定金物。

まず、ベースのアルミ板を丸棒にはめ、フレームにあけた穴を使いボルトで固定する。

新丸棒に短くしたカラーをはめて準備完了。

タンクを取り付けてみる。ちょっとカラーを短くしすぎたか、軽い遊びがある。まあこれは、なんとかなるだろう。

鍵の一本化 -ZRX400のタンクを取りつける-

ZRXのタンクキャップとWのキー

エンジントラブルからボアアップと続き、まったく作業が進行していなかった、ZRXのタンクの流用へ向けての話 第一回目はこちら

ZRXのタンクを入手したのだが、このタンクにはタンクキャップがついていなかった。ヤフオクで検索すると、中華なタンクキャップが2000円台で出品されている。この安さは魅力的ではあるが、なんとなくメッキのキラメキが、現物を見るとチープだったりしそうなのと、鍵を1本化するのは怪しそうなので、純正のタンクキャップを購入することにした。ここで問題。

鍵を1本化するには、メインスイッチ、タンクキャップのキーシリンダー、シートロック、必要ならヘルメットホルダーが揃ったキーセットを買わなければならない。これが高い。4万円近くする。ヤフオクだと新品で3万円強。これは今回のカスタムで、大きな意味を持たないくせに高額なものだ。

しかも、ZRXのタンクキャップのキーシリンダーが含まれたキーセットのメインスイッチが、Wに合うかがわからない。メインスイッチはハンドルロックを兼ねているので、ここが違うとめんどくさい事になる。

いろいろ調べたところ、ZRXのメインスイッチとWのそれは、年代が同じようなネイキッドということもあって、まあまあ同じような形状に見える。これで勝負して、小加工ならよしとしてもいいかもしれない。

そう思っていたのだが、ふと思いついた。鍵を1本化する小細工している人はいないかと。検索してみると、いたいた。キーシリンダーをバラして、別の鍵であけられるようにしている人達が。先人たちよありがとう。

キーシリンダーの構造

先人たちのブログでキーシリンダーの構造を知ることができた。その構造を簡単に説明する。キーシリンダーは、その名の通り、筒状だ。この筒を回転することによって、解錠したり施錠している。今仮に、キーには鍵という機能はなく、ただ回転させるだけだとして、鍵特有のギザギザの無いものだとする。ただ、先端の角を落として、三角になっているとする。そこに鍵の機能を持たせてみよう。

まず筒に、回転を抑制する鉄片を備える。鉄片は筒の軸に垂直、つまり筒を輪切りにした断面にある。ここからはその断面の円を机の上に置いた紙に書いてあると想像してもらいたい。

鉄片は、その円の左右を半径の半分まで無くした形をしている。鉄片は上下に動くことができ、その距離は円の直径の20%ほどはみ出るぐらいだ。通常時はスプリングの力で下に最大はみ出たところで固定される。

キーシリンダーが納まっている穴側は、このはみ出た鉄片分だけの溝が掘られている。キーシリンダーを回転させようとしても、穴側の溝に鉄片が引っ掛かって動かない。これが鍵のかかった状態だ。

鍵をあける仕組み

紙に書いた断面図に戻る。鉄片には、差し込んだキーを受け入れる、鍵の断面と同じ大きさ(ある程度のクリアランスはあるだろう)の縦長の矩形の穴があいている。キーを差し込んでみよう。キーはシリンダーの中心に差し込まれる。矩形の穴は、下方に偏心しているので、キーが差し込まれると、キーの先端の三角のテーパーによって鉄片は上方に移動を開始する。三角が終わって、キーの幅が一定になると、鉄片の移動は止まる。この時の鉄片はシリンダーから上方にはみ出ており、穴側には上方にはみ出た鉄片を受け入れる溝が掘られている。

キーが最後まで差し込まれた。解錠しようとキーを回転させようとするも、上方に移動した鉄片が、穴の上方に掘られた溝に引っ掛かって回転しない。

ここでキーの鉄片と同じ位置を、鉄片がシリンダーの上にも下にもはみ出さない位置になれるように、切り欠いてみる。キーの抜き差しで鉄片がスムーズに動けるように、切り欠き位置まで斜めにカットするのは先端と同様。

鉄片がはみ出さなくなったことによって、シリンダーが回転するようになった。つまり、鍵が開いたというわけ。この鉄片がいくつもあるから、キーはギザギザしているのである。

キーシリンダー内の改造

鍵の1本化の実現には、この鉄片を数種類持っていれば容易そうなのがわかった。いま使っているキーで開く、使われていないキーシリンダー。実はそれがある。ヘルメットホルダーだ。

Wのヘルメットホルダーはシートレールを下から支えるフレームについている。しかし我がWのそれは、ZRX1100のスイングアームに換装した時に、ウインカーステーなどと一緒に、すっかり切り取ってしまったのだ。そのヘルメットホルダーから、キーシリンダーを取り出してみた。

使えるといいな。

タンクキャップなどと一緒に、タンクキャップキーシリンダーを購入した。手持ちのキーより、グレードが高い。こちらにあわせるのもありか? とも思ったが、メインスイッチをいじるのはめんどくさそうなので、元のキーにタンクキャップキーシリンダーをあわせることにする。

キーシリンダーの加工

これがキーシリンダー単体。

ZRXのキーシリンダー キーを差し込まないと、鉄片がすべて右に出ている

回転止めの鉄片、 鉄片と言ってもおそらく 真鍮なのだが鉄片と呼ぶ。このキーシリンダーには鉄片が5つあり、キーを差し込んでいない時は、すべて右に出ている。6つあるように見えるが、いちばん上は、キーシリンダーを固定するためのもの。付属のキーを差し込んでみる。

ZRXのキーシリンダーに付属のキーを差し込んだ状態 鉄片がすべて収まっている

すべての鉄片が収まっている。これでキーシリンダーが回転できるようになったわけだ。続いて今使っているWのキーを差し込んでみる。

Wのキーを差し込んだキーシリンダー 鉄片が左右に飛び出ている

3番目と4番目は解錠できる位置に収まっている。1、2、5番の鉄片の加工をすれば W のキーで解錠できるようになるわけだ。鉄片は、1番は右、2番と5番は左にはみ出ている。キーは鉄片を左に押すので右に出ているということは 押しきれていない状態、 左に出ているということは 押しすぎている状態だということがわかる。

押しすぎている鉄片は削れば良い。押しきれてない状態が問題。鉄片は 肉盛りすることはできず、削ることしかできない。キーを差し込みきった時に全ての鉄片が 押しすぎている状態にすれば、削る加工だけでキーを解錠できるようになるというわけだ。

ここで仮に、解錠できる鉄片の位置を0とする。右にも左にも出っ張っていない状態だ。キーを差し込む前の鉄片の位置を-3とする。鉄片とキーにはそれぞれ鉄片を左に動かす力を持っている。鍵山が高い部分は移動力が大きく、低い部分は小さい。それぞれ3と1とする。

対して鉄片は、キーが入る穴が右に寄っていれば移動力が大きく、左に寄れば小さくなる。それぞれ3と1とする。キーを差し込んだことによって鉄片が移動する位置は以下の式で表される。

左に押しきれていない1番は、鍵山も鉄片も移動力が1だった。-3 + 1 + 1 = -1 となり、鉄片は0の位置に到達できない訳だ。

2番と5番の鍵山を見ると、5番は2ぐらいの移動力を持ってそうだ。仮に2だったとして、1番の鉄片と交換すると、-3 + 2 + 1 = 0 となる。1番は、5番の鉄片を使い、-3 + 1 + 2 = 0 になるのではないかと思われる。やってみる。

1番と5番は入れ替えるだけで解錠位置に収まった

思った通り、1番と5番は0の位置に収まった。加工は2番だけで済む。先の細い鉄ヤスリを使って、鉄片の穴の左側を削り、鉄片の収まり具合を確認しながら移動力を下げる。

キーシリンダー内の鉄片

すべての鉄片が0の位置に収まった。

Wのキーで解錠できるようになったキーシリンダー

新品キーシリンダーを、今まで使っていたキーで開くようになったので、タンクキャップに装着した。

Wのキーで解錠できるようになったZRXのタンクキャップ

これで鍵の一本化は成功した。

低圧縮化 -W650のボアアップ-

上:純正ベースガスケット 下:完成した増しベースガスケット

パイロットスクリューを増設して、セッティング中の話の続き。

スロージェットを42番にしたところで、アクセルを戻しても回転の下がりが鈍くなった。燃調が薄すぎるようだ。ここでついにパイロットスクリューを調整してみた。

セット名ASSJJNC段数MJPS
CRPS53/442517561401 3/4

これは微調整を繰り返した結果。アクセルオフで、しっかり回転が下がるようになった。ここが、低開度域の薄い限界だろう。

1/4パーシャルの脈動は、出し続けても運転には支障がないが、ちょっと気になる程度。ノッキングを無くすのは、キャブセッティングではこれが限界な気がする・・・

やるだけのことは、やったので、最後の手段。圧縮比を下げることにする。方法は、ベースガスケットを厚くすることによって、燃焼室容積を増やすという手法。ヘッドガスケットを厚くする方が、作業の安易度(そんな言葉あるのか?)が半端ないが、ヘッドガスケットを複数枚にするのは、やめた方がいいらしいのであきらめた。

ベースガスケットの製作

現在、ベースガスケットは2枚入っている。これは、ビトーR&Dのボアアップキットの指示の通り。圧縮比は10.7らしい。これを1枚使いにすると、圧縮比は11になるとのこと。

手持ちのベースガスケットの厚みを測ってみると、0.25ミリだった。この0.25ミリの違いで、圧縮比が10.7から11へ変わる燃焼室容積を計算してみる。

基準燃焼室容積 (不明の数値): Pn

基準ストローク容積(ボア^2 * 3.14 / 4 * ストローク) : Ps

ベースガスケットの厚み : t

ベースガスケットの厚みで増加する分の燃焼室容積(ボア^2 * 3.14 / 4 * t ) : Pg 

として

圧縮比 = ( Pn + Pg + Ps ) / (Pn + Pg)

この計算をもとに、ベースガスケットの厚みが0.5の時、圧縮比が10.7となり、ベースガスケットの厚みが0.25の時、圧縮比が11になるPnを導き出した。

導き出された燃焼室容積を基に、ベースガスケットを何ミリにすれば圧縮比を希望の値にできるのか計算してみる。その前に目指す圧縮比をいくつにするかだ。ノーマルW650は8.6。ボアアップ前のBEETボアアップキットは9.0。9台が目標だろう。

計算してみると、1.5ミリで9.7となった。1ミリのアルミ板で増しガスケットを作り、本物2枚ではさめば1.5ミリだ。9.7では思い切りが悪い気もするが、10.7からの変更だから、そこそこ変わるのではないかという思い。

買ってきた1ミリのアルミ板とベースガスケット。

ケガキ針でけがいて、ジクソーでざっくり切る。

ざっくり切り出した 増しベースガスケット

ジグソーの刃だが、アルミ用は目詰まりしないように目が粗くできているが、引っかかった時の衝撃で1ミリのアルミ板なんてすぐに曲がってしますので、あえて鉄用をチョイス。

ジグソーの刃

丸穴はホルソーであけたが、ハンドドリルなので精度は期待できず小さめの穴にしておいた。その後ルーターでけがき線ぎりぎりまで追い込んだ後、ヤスリで仕上げるという完全なる家内制手工業。

完成したベースガスケット。

上:純正ベースガスケット 下:完成した増しベースガスケット

我ながら悪くない出来。

ベースガスケットの組み込み

会社からの帰りの国道。ダブたんで信号待ちをしている真横に、後ろからやってきた黒いバイクが停まった。右手をあげて、こちらに合図をしているのを視線の端に感じて、そちらに顔を向ける。

「これW650ですか?」

「そう ボアアップしてるから800だけど」

「いやあ めちゃめちゃかっこいいですね!」

「ありがとう!」

素直に嬉しい。見るとその彼もWだった。キックペダルがついているから、おそらく650だろう。

「何キロ走ってます?」

そう訊かれて一瞬考えたが、

「8万キロ」

と、W400からの距離を答えた。初めの部品はワイヤーハーネスとタンクぐらいしか残ってないけど、俺にとってのWは、同じこの1台だ。

「へ~ エンジン綺麗ですよね オーバーホールとかしてるんですか?」

「うん 何度も」

明日も腰上だけだけどばらすよ は、心の中で言った。

「じゃあ気をつけて!」

信号が青になる直前にそう言うと、青信号の点灯とともに勢いよく発進した。彼に続いてダブたんのクラッチをリリースしながら、「かっこいいだけじゃなくて速いぜ」と呟いた。どこで抜こうか考えていたが、彼は車の間を抜けて、あっという間に見えなくなってしまった。 

翌日 もうすっかり手馴れた作業で、Wのエンジンをばらす。ただ、今回のばらし前に、左右のシリンダーの間をエアガンで掃除しなかった。それは、オイルパイプの根元を、液体パッキンで割としっかり塞いでいたからだ。しかし、甘かった。

戻りオイルパイプの根元についた小砂利

クランクケースにも入ってしまった。クランクシャフトに乗っかっている小石を、ピンセットで慎重に取り除きはしたが、果たしてこぼれ落ちたやつはなかったのだろうか・・・

ピストンにカーボンは、それほど堆積していなかった。そりゃそうだろう。まだ2000キロほどしか走っていない。

ピストンふたつ

外したベースガスケットをきれいにして再使用する。これはすでに経験ありで、オイル漏れは起きなかった。使うのはキタコの液体パッキン、クランクケース用。自作ベースガスケットを、純正再使用ベースガスケットでサンドイッチする。

ヘッドガスケットも再使用。キタコの液体パッキン、シリンダーヘッド用だ。これももちろん実績あり。このガスケットは4000円近くするので、頻繁な分解では交換できない。

10時から始めて昼は映画を観たけど、夕方には終わった。キックで始動してみる。

3回のキックで、エンジンはぬるっと活動を始めた。柔らかい。実に柔らかい。

高圧縮時代は、ケッチンを喰らって足首を痛めてから、キックでの始動はしていなかった。早朝の始動は、キックが静かでいい。

低圧縮化の結果

圧縮比を9.7にしても、完全にノッキングを無くすことはできなかった。ただ、アクセルを開けるのが嫌になるほどではなく、本当に無理目に開けた時だけ。かすかに聴こえるこの音は、もしかしてベベルギアから鳴ってるのか? なんて思えたりもして。ピストンに異常も見られなかったから、あんまり神経質にならなくてもいいのかなとも。

圧縮比を下げたことによるパワーダウンも、それほど感じられないし、これは十分成功と言えるだろう。

思えば1年前のツーリングから始まった長い不調期間も、これでようやく終わり。今年は気持ちよく春ツーに行けそうだ。次回からは完全に頓挫していた、ZRX400のタンクの流用とシートカウル制作の話を再開できそうだ。

バラとW