リアホイールをアルミ化したい! その1

8月の暑い日のこと。道路の舗装の継ぎ目が縦に走っているところで、リアタイヤがスライドするぐらいの感覚を覚えた。ここのところ、路肩を走るのも、少々恐怖を感じるぐらい、タイヤがとられる。

帰宅してからタイヤを確認すると、いつの間にかスリップサインが出ていた。今年は車検なのだが、それまでは持つと踏んでいたのに大変なことになった。

というのも、リアタイヤの交換と同時に、リムをアルミ化したいと考えていたのだ。今のリアホイールは、トライアンフボンネビルT120のものなのだが、リムが鉄製で、くそに重いのだ。

アルミ化の方法は、同じくトライアンフのスラクストンのホイールに換装すること。まあ、当然のように入手経路はヤフオクになるのだが、スラクストンのホイールが全然出品されない。もう、待ってはいられない。別の方法を考えなくてはならない。

次の方法は考えてある。エキセルのリムを購入することだ。ボンネビルT120に合った中古なんて絶対にないだろうから、新品の購入となる。価格は5万円くらい。スポークもステンレスに換えたいし、チューブレスキットも必要だし、結構な金額となる。

しかし迷ってはいられない。なぜなら、エキセルのリムはすべて特注で、納期が4か月となっているのだ。今は8月。こういうものは、たいてい納期より早くあがってくるから車検にはぎりぎり間に合うかもしれないが、余裕はあった方がいい。

エキセルリムを注文

ウェビックでエキセルリムを注文した。ボンネビルT120ブラック用で、幅は4.5J。普通のボンネビルT120は4.25Jだが、今入れているタイヤがピレリエンジェルSTの160。しかしリムに抑えられてか、実測150ミリ。バンク角は自信あるのにアマリングがでかいのも不満なところ。少し広くして、これらを解消したいのだ。

お盆が過ぎて、ウェビックからメールが来た。内容は、ボンネビルT120のスポーク穴のデータが無いので製作できないとのことだった。「国内メーカーの車種:●●と同じで」のような指定をしてくれれば、ユーザー責任で製作してくれるとのこと。

う〜む

こいつは困った。そもそも国産車のスポーク車なんて少なくてちょうどいいのが無いからトライアンフのホイールを使っているのだ。トライアンフのハブに合うスポーク穴の国産車なんて、絶対と言っていいほど、あるわけない。

無いものは作る

俺の根幹の言葉だ。よし、ボンネビルT120のスポーク穴データを作ろう!

スポーク穴データをつくる

採寸してCADで描いてみる。この段階では、情報は寸法だけだ。描いたものと、スポークの角度を分度器で測った角度を比べてみる。少し違う。

スポークは、4本が1組で構成されている。全部が全部かというとそれはわからない。少なくとも、目の前にあるボンネビルT120のホイールはそうなっている。この4本を回転方向へ順番に1から4とすると、1は右2は左、3は右4は左となっている。(このころのトライアンフは、右がチェーンなため、ひっくり返して使っているので、実際はその逆なので注意)

ボンネビルT120のリアホイール

1と3は右側だが、1は3の外側になるので、車輪後方から見た時の、垂線とスポークの角度が3より大きくなる。(あとからわかることだが、これを傾角という) 同様に、2と4は左側だが、2は4の外側になるので、4より傾角が大きくなる。

さらにスポークは、側面から見たときに、アクスルシャフトを中心とする放射線とスポークに角度がついている。(これもあとからわかることだが、張角という) 右側だけに注目すれば、1は回転方向に引っ張られ、3は半回転方向に引っ張られてバランスしている。

このスポークというものは、「角度」とひとことで言っても、それだけでは決まらない難しさがある。というのも、リムにあいている穴は等間隔に並んでいるわけではないからだ。穴はスポークの向いている側にずれている。

おそらく、自転車のリムのような薄肉のリムは、穴が等間隔に並んでいるのだろう。オートバイのリムは肉が厚いので、穴がずれるのだ。これは、ホイール側面から見た場合で考えたとき、放射線とスポークの交点はリムの表面ではなく、アクスルシャフトから遠い点にあるということだ。

しかしこの交点は、タイヤが組まれている状態ではどこにあるのかわからない。スポークの状態をCAD化するには、この交点が大事なポイントになるのにだ。

穴のずれを測定し、そこからリムの表面よりも円の外側にある交点の円を仮定して、CADデータを修正していく。

スポーク同士の角度が、どうしてもリアルとCADに違いがあり困っていたが、ふと気づいた。ホイールの側面図は、ホイールを平らな1枚板で描いているが、実際のスポーク面は傾角分倒れている。この倒れた面と垂直な視点で描写し計測しないと、CADはリアルに近づかない。

採寸と修正を何度か繰り返して、CADとリアルがほぼ同じデータができあがった。

スポークの角度をCADで描画

このCADデータと、念の為PDFにしたものをウェビックに送って、エキセルと調整してもらった。

数日後返信が届いた。傾角と張角の説明がされたリムとスポークの図が添付されていた。この図によって、初めて傾角と張角という名前を知る。そして、その傾角と張角を指定してくれと書いてあった。

スポークの角度 傾角と張角 エキセルさんからの引用です

いやいや、傾角張角という名前は知らなかったが、指定したのはその角度だぞ。なのに、それを指定しろとはどういうことだ?

もしかしたら、スポーク1と3の角度をそれぞれ指定したけれど、そこは許容範囲かなんかで、ひとつの値指定なのか? ふくらんでる半球の位置まで指定したが、それは決まりものなのか? 

疑問を問い合わせてもよかったが、今回は深く追及せず、右スポークの傾角25度、張角20度、左スポークの傾角29.5度、張角25度、という返答をした。

帰ってきた答えは、左スポークの傾角は、機械の限界を超えているので、製作不可能です。25度なら可能です。というものだった。29.5度に対して25度。それって果たして許容範囲なのだろうか?

どうなる? アルミリム化

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です