W400エンジンをばらす3

分割されたクランクケース

W400エンジンをばらす
W400エンジンをばらす2の話の続き

クラッチハウジングの取り外し

うまくいかなかった自作クラッチホルダーの開き止めを補強した。これでだめならさすがに買うかとも思ったが、よくよく考えてみると、フロントスプロケットナットを押さえれば、クラッチのセンターナットは緩められると気づく。フロントスプロケットのナットがさらに締まっちゃうんじゃないのとも思うが、その時はその時。

27のコンビネーションレンチをフロントスプロケットナットにかけ、クラッチのセンターナットはインパクトで緩ますことに成功した。

インパクトでぎゅいん

ようやくクラッチ周りがはずれた

クランクケースの左側

さてクラッチとは反対側に目を移すと、エンジン前方にある逆さまおにぎり。

おにぎり

このおにぎりの具をはずすにも特殊工具が必要になる。フライホイールホルダーとロータープーラーだ。フライホイールホルダーはヤフオクでやっすいやつを発見したので買っておいた。問題はロータープーラーだ。

おにぎりの具

サービスマニュアルにふたつのサイズが書いてある。構造的にふたつのサイズを兼用できるとは思えないので、実際にばらしてネジのサイズを測るしかない。

左クランクケースカバーをはがすと、現れたフライホイール。早速フライホイールホルダーをセット。それにしてもこのフライホイールホルダーは安い。特殊工具界の百均価格。使い物になるか、ちょっと心配。

その心配をよそに、フライホイールホルダーは滑ることなくフライホイールを押さえ、センターボルトを緩めることに成功した。

安物フライホイールホルダーが活躍

続いて、ロータープーラーを取り付けるネジ部の直径を測ってみる。38ミリだ。ということは、サービスマニュアルにある二つのサイズのうち、M38×P1.5の方だ。

このロータープーラー、カワサキの純正部品で購入すると、1万円弱。そんな高いの買ってらんない。純正でなければ5000円ぐらい。どちらにしても高い。

作ろう

例によってミスミで検索。M38×P1.5のナット、M17用 厚み4.5 外径45ミリの大ワッシャー、M14のナット、M14 長さ55ミリのボルトを購入。しめて2000円ぐらい。3000円の節約。

 それらを重ねて溶接する。

ロータープーラー作成中

自作ロータープーラーの完成。

ロータープーラー作成中

フライホイールの取り外し

ロータープーラーで押されるクランクシャフトの先端は、フライホイールを固定するボルトのネジ穴になっている。このままでは押せないのでロータープーラーアダプターなるものを装着することになっているが、代わりにワッシャーを三枚通したM10のボルトをセット。

そして、フライホイールに自作ロータープーラーをかけ、手で締められるだけ締めたら90度ほど戻しておく。続いてM14の押しボルトを先端がロータープーラーアダプター代わりのボルトの頭に当たるまで締め込む。

ここからは、押しボルトとM38のナットに溶接したナットにレンチをかけて押しボルトを締めこんでいく。

むむむ

かなり締めたのに、フライホイールはビクともしない。さらに力を入れる。

いや これは無理だ

M14の二面幅が22で、手持ちの工具がなくモンキーでやっているのだが、柄が短く、力が入らない。

こりゃ、ダメか・・・

諦めかけていると、ふとした瞬間にゴロリと外れて下に落ちた。

わおっ( ̄▽ ̄;)

650の時は対策しないと

フライホイールがはずれると、その先にある大きなギアはセルモーターの回転をクランクシャフトへ伝えるもの。びっくりしたことに、このギアのスラスト方向の移動の規制はなさそうに見える。ギア側面が直にクランクケースに触れているんじゃないか?

冬の朝。まだ暗い中にエンジンをかけるのだが、キャブレターをCRに替えてから始動性が悪くなった。Wはセルを回し続けているときの音が、「キャーキャーキャー」とけっこう高い音がうるさい。これの原因はこのギアのせいかも。そうだとしたら、なんの対策もできないな。

クランクケースを割る

クランクケースを割るには、まずクランクケース上面のボルトを緩める。クランクシャフトまわりにクランクケース外周と、数多いボルトで固定されている。上面のボルトを抜き終わったら、クランクケースをひっくり返してオイルパンをはずす。この中にあるボルトを緩めて抜き取り。プラスチックハンマーでパコパコクランクケースを叩く。

当て木なんかも使いながら、クランクケースの上下が均一に離れていくように叩いていくと、位置決めのカラーが抜けたところで全開放。クランクシャフトやミッションを取り出して、W400のエンジンばらしは完了。

分割されたクランクケース
ミッション!
コンロッド

ブレーキキャリパーのレストア

ブレーキキャリパー塗装完了

ZX-10のリアブレーキキャリパーのレストアをする。現状はこんな感じ。

はげはげキャリパー

元々の色が金色だったはず。その上に黒がペイントされているが、どっちにしろ、ところどころ剥げかかっていてこの有様。これを1度全て塗装を剥がし、もう一度ペイントする。

型押しキャリパー特有のスライド部分のゴムブーツは、ボヨンボヨンになっていて、既に本来の機能を果たせていないから交換しよう。ブリーダープラグのゴムキャップも同様だ。

大事なピストン部分を確認。ピストンシールはギリギリ大丈夫かな。ここはケチって交換せず。ピストンは? ありゃあ ちょっと腐食してるじゃん・・・ 軽くペーパーをかけて目をつぶっておく( ̄▽ ̄)

キャリパーボディーはルーターや耐水ペーパーで塗装を落とす。あまり深追いはしない。

古い塗装を剥ぎ終わったキャリパーボディー

旧塗装をはぎ終わったキャリパー

耐熱つや消しブラックで塗装

耐熱つや消しブラックを塗装

嫁が不在な時を見計らって、オーブンレンジで加熱。

レンジでチン♪(うそ)

完成 あのハゲハゲキャリパーから仰天チェンジ♪ 

ブレーキキャリパー塗装完了

きれいにできあがったところで、キャリパーサポートのアクスルシャフト上の軸方向の位置を考えることにした。

キャリパーサポートの位置を考察する

対向ピストンのブレーキキャリパーはリジットに固定されるので、キャリパーの溝の中心にブレーキディスクがくる位置にキャリパーサポートの位置を決めればいい。

ところがこれに対し片押しピストンのブレーキキャリパーはフローティング構造になっている。

キャリパーサポートにキャリパーベースが固定される。この固定はリジット。このキャリパーベースにロッドが2本立てられ、そのロッドにキャリパー本体は貫かれるように装着される。ブレーキパッドの摩耗に伴いキャリパー本体はこのロッド上を移動する。

中古パーツなので、ブレーキパッドは半分ぐらいの厚みになっている。この状態でキャリパー本体はキャリパーベースに対してどこにいればいいのだろう?

キャリパーサポートの位置を考察する

考える

キャリパーが移動できる範囲は20ミリぐらい。パッドの磨耗は半分ぐらいだから、移動範囲の中心でいいんじゃないか?

これが大きな間違いだとわかるのは、まだ先の話。

W400エンジンをばらす2

クラッチホルダーをセット

W400のエンジンの腰上までバラした話の続き。

右のクランクケースカバーをはがしてクラッチを露出させる。クラッチスプリングを押さえているボルトをはずすと、クラッチ板は簡単にとりされる。問題はここから。

クラッチハブはセンターロックナットでトランスミッションの1次側のシャフトに固定されている。このロックナットをゆるめるには、クラッチハブを押さえる特殊工具=クラッチホルダーが必要だ。この先クランクケースを全バラするとなると、更にいろいろな特殊工具が必要になってくる。出費は抑えたい。

出費を抑えながら腰下をばらしきることができれば、やってみたいことがある。それは400と650のトランスミッションの融合だ。

400と650は、ギアの構成が違う。ざっくり言うと400はワイド650はクロスとなっている。おそらく400は力の無さをローギアードで補い、スタートの低さを全体的にワイドにすることによっておっつけていると思われる。

トランスミッションのシャフト自体は、400も650も同一部品だということは確認している。400と650のギアを組み合わすことによって、400よりもワイドなトランスミッションが作れると思う。

走っていると、ついつい幻の6速へ左足をかきあげてしまう。ワイドにすることによってそれを減らすことができればと思う。それにはできる限り出費を抑えて腰下をバラしたい。


ということでクラッチホルダーを自作してみた。

素材は5ミリ厚の50×50のアルミLアングル。このアングルは会社にころがっていたもの。

なんとなくこんな感じじゃないのってJWCADで図面をかいてみる。

クラッチホルダーの図面
自作クラッチホルダー
自作クラッチホルダー

それをプリントして切り出し型紙とする。便利な時代だ。アルミ材を切るのは自分だけど。できあがったクラッチホルダーをクラッチハブに当てて微調整。さあセンターナットを緩めよう。

クラッチホルダーをセット

ガツッ!

クラッチホルダーの歯がクラッチハブのスプラインから外れてしまった。もう一度セットして、開き止めのビスを締め付け、センターナットにかけたスピナーハンドルとクラッチホルダーを絞り込むように近づけていく。

パキッ!

うわっ なんか飛んだ! 見ると外側のクラッチハウジングの爪が折れていた。クラッチホルダーがトルクに負けて開いて、クラッチハウジングに当たってしまったためだろう。

・・・

折れたクラッチハウジング

まあいい 650をばらすときには気をつけよう!^_^;

クラッチホルダーは開き止めの部分が曲がっていた。この部分を補強するか、諦めて既製品を買うしかなさそうだ。

折れ曲がった開き止めのように心が折れかかっている。夢のワイドトランスミッションは諦めるか・・・

時間がかかる特注製作のスプロケットを、通常のトランスミッションのギア比に合わせたものでザムに注文した。

電熱パワーで厳寒の冬を越す!

グリップヒーター キジマGH-07

ここのところずっと書いているフレームや足周りの改造は、ただ記事を書くのが間に合わないだけで実際にはすでに完成している。実に9か月の期間を要し、その間の7か月はWに乗ることができなかった。

その期間を取り戻すべく、今シーズンは真冬もWで通勤してやろうと、いろいろ揃えたものを今回はお話しする。まずはジャケット。

今まで冬に使っていたジャケットは、ドンキーで買った上下で1万円ぐらいの防寒防水のもの。防寒性能に問題はなかったが、もう少し防風性能が高いもの、とくに袖口からの風の侵入が防げるものはないかという基準で新しいジャケットを探した。

そして選んだのがこれ TSDesign メガヒート 防水防寒ジャケット

TSDesignメガヒート
TSDesignメガヒートのアルミ裏地

口コミで防風性能の高さが評価されていた。その防風性能に貢献しているのがこのインナーカフ。

TSDesignメガヒートのインナーカフの長さ
TSDesignメガヒートのインナーカフ

この構造は素晴らしい。ジジイになって、手首の冷えがことさらこたえるようになっているのでありがたい。このインナーカフとベルクロできっちりしまる袖口によって、ほぼ風が入ってこない。

TSDesignメガヒートの袖口をしぼった状態

「ほぼ」と断っているのは、インナーカフが薄いせいで、風は入ってきていないのだろうが、少々手首が冷えるから。これには、リストバンドで対応している。

インナーカフにリストバンドで保温

耐水圧は5,000mmなので、急な雨でも心配なし。基本的に雨の日にはWが濡れるから乗らないけど。


続いてこのジャケットの下に着るのが電熱ベスト。ここに電熱を持ってくるのは、朝の寒さは電熱ON、帰りの夕方は電熱OFFで、着る枚数を抑えた上に枚数の変更なく気温の変化に対応したいから。数ある電熱ベストから選んだのがこれ。

電熱ベスト
電熱ベストのアルミ裏地

選んだポイントは、「腹」「肩」「腰」の3カ所の温度を、個別に3段階でコントロールできるところ。細やかなコントロールができるのと、できないとでは大きな違い。さらに大容量のモバイルバッテリーが付属して、約7000円は安いんじゃないか?!

電熱ベスト 3エリアを3段階で温度調整可能
付属のモバイルバッテリー

口コミに、「体に密着させると温かい」みたいな前向きなんだか後ろ向きなんだかな意見があったのだが、実際使ってみると、フリース越しでも十分に伝わる温かさ。これはいい♪


体幹の温かさが確保されたところで、冬のバイクでいちばん冷える部分=手の寒さ対策。

一昨年ごろからか見た目のダサさに目をつむり、ハンドルカバーを装着したところ、「こりゃ バイク界のコタツだね♪」とすっかりハンドルカバーのとりこなった。だがバーエンドミラーにせざるを得ない状況になりハンドルカバーは使えない。

ならどうする?

ということで今シーズンに購入したのが、電熱グローブめちゃヒート。

めちゃヒート
めちゃヒート
めちゃヒート 手のひら側

もともと、バチバチのウインターグローブは操作感がダルになるのでいやだったので(以前買ったウィンターグローブはそのせいで息子にあげた)、この電熱グローブは薄いインナータイプ。これに春秋用の革のグローブを重ねて装着する。

めちゃヒートに革グローブの重ね着

この革のグローブは、親指のつっぱりが絶対無いように選んだ大きめのものなので、インナーグローブとの重ね着でもなんとかなる。手にはめてスイッチを入れてみる。

あたたかい・・・かも?

実走に期待しよう(汗)


最後はグリップヒーター。以前つけていたキジマGH08は、左右の温度差が大きい、最低温度でも熱い、と不満が多かったので今回はグレードアップしてGH07を購入。というか、会社の二輪部のSR乗りからの中古購入だけど(笑) さて、GH08との大きな違いはふたつ。

スイッチがグリップと一体 これでハンドル周りがすっきり

設定温度の幅が広い メーカーのHPにある設定温度のグラフを見たら笑ってしまうぐらいの違い。いや、ぜひ見て欲しい。

キジマのグリップヒーターのページ

グリップヒーター キジマGH-07

実走

冬の午前6時 まだ空に輝く星の下を出発、気温は2度

3分後に、グリップヒーターの熱が発揮される頃には、指に感じる冷たさはなくなった。電熱ベストの方はすでに熱すぎるので、設定温度を最低にする。

通勤時間は1時間。その中で10分間ほど有料道路を走る。さすがにその時は、仲間外れの親指がかじかんだ。

信号待ちの度に親指をエンジンで炙りながら会社に到着。電熱ベストは問題なし。グリップヒーターは左右の温度差もなく、設定温度の違いも明確なので大満足。電熱グローブだけがやや期待はずれ。

そう思いながらグローブを外しかけて気づく。電熱グローブの設定温度が最高温度から一段階下がっている。出発時は最高温度だったのに。おかしい・・・

その日帰宅してから、あらためて取説を読んでみてわかった。スイッチを入れたときは最高温度なのだが、設定温度変更をしないと自動的に中温度に下がるらしい。なるほど。

翌日からはスイッチオンのあとに設定温度をじゅんぐりさせて最高温度に設定。すると、0度ぐらいまで下がらない限り、かじかむこともなくなった。

取扱説明書はよく読みましょう!




W400エンジンをばらす1

W400エンジンの解体開始

今回のリア足回りの大改造とあわせてやりたいことが、エンジンの腰上のオーバーホールだ。650のエンジンを載せるときに気づいたのだが、排気ポートにカーボンが厚く堆積していた。おそらくシリンダーヘッドもピストンも同様だろう。

実はノッキング音がかすかだが常に感じられて気になるのだ。心にささったとげのようにアクセルを開ける際にノッキング音を探してしまう。これはきっとカーボンのせいだと思っている。

その腰上オーバーホールのエクセサイズもかねて、庭に放置されているW400のエンジンをばらすことにする。

W400エンジンの解体開始

シリンダーヘッドカバーは、650に載せ替える際に状態のいい400のカバーと替えたので、この400には650のカバーがついている。ボルトは仮締めなので、あっさりはずれる。

問題はここからだ。カムシャフトを外すためにベベルタワーをいじるのだが、マニュアルをチラッと読んだぐらいでは、まったく理解できない。

最後までばらせば分かるのだが、ベベルタワーの上下のパイプは、単なる保護パイプであって、ベベルギアそのものをどうこうする機構は全くもっていないのだ。この保護パイプは上下ともOリングを用いてはまっていて、中央のスナップリングで固定されているだけなのである。

ベベルギアの当りの調整は、ベベルタワー上下にある六角ナットとロックナットで行う。カムシャフトをばらす際は、上部の六角ナットを1回転ゆるませて、カムシャフト側のベベルギアからベベルタワー側のベベルギアを離してから作業する。この作業で、ベベルタワーのパイプはまったく関係ないことを理解していないと、いっしょにまわって「えっ えっ」ってことになるので注意。

ベベルタワー

このあたりを理解しておいて進めれば、無駄な時間はかからない。

ベベルケースのロックナットを緩めるために、今回は新たにフックレンチを購入した。ナップスに行ってどれにするか迷ったのだが、買うときにはきづかなかった機能を作業時に発見。ハンドルの途中に9.5ミリの差し込み角の穴があいている。ここにスピナーハンドルを差し込んで全長を延長できるのだ。 これは便利! きちんと計算すればトルクレンチで締付けトルクも管理できる。

フックレンチにスピナーハンドルを延長

上部ベベルギアを下にずしたら、カムシャフトをばらす。バルブの頭部に収められているシムは、今後650のエンジンを分解組み立てする時に使えるだろうから、大切にとっておく。

カムシャフト

続いてシリンダーヘッドのボルトを緩める。

固い・・・

エンジン単体、ごろっとした状態でバラしているので、大トルクで締められているシリンダーヘッドボルトを緩めるのは大変だ。クランクケースを足で押さえて、エンジンが回らないように、さらに倒れないように・・・

っつ!

腹筋つった。このボルトはフレームに載った状態か、専用の台を作って固定させないと無理だな。

露わになったカムシャフト

と思いつつも作業を進める。

しかしなんと。1本のボルトが緩める途中で動かなくなってしまった。Wのシリンダーヘッドボルトは、ヘッドだけでなくシリンダーまで一緒に固定していて、8本のボルトで締結されている。その8本の内側の4本は、シリンダー下方で露出しているのだ。しかもそのネジ穴は、前輪が巻き上げた砂粒をもろに受ける場所だ。なんでこんな構造に?!

パーツクリーナーのノズルをそのネジ穴に突っ込んで噴射する。砂粒が吐き出される。初めから、しっかりきれいにしてからやれば良かった・・・ 後の祭りだ

ねじ穴から出てくる砂粒

まったく動かなくなったボルトの頭を、ベビーサンダーで切り落とす。カムシャフトの受けが入り組んでいて切りづらい。

うわっ!

その受けを切ってしまった・・・ まあ、このヘッドは使わないからいいけど・・・

650のエンジンをばらす時は、入念にネジ穴を清掃してからやった方がいいな。

頭を失った長いボルト1本が間抜けに残った状態で、シリンダーヘッドとシリンダーがはずれた。うなだれるように並んだふたつのピストンがオーナーの気持ちを表しているかのようだった。

うなだれるピストン

フレームを塗装

天井からぶら下げて塗装中

サビ止めが塗り終わっていたフレームの上塗りを刷毛塗りで始める。

ところがさび止めを適当に塗ったおかげで、刷毛目がバッチリ出てしまい、仕上がりが酷い事になってしまった。つや消しだから、そんなに目立たないんじゃないかと思ったが、実際はそんなことはなかった。仕方ないので、フレーム全部を1度ヤスリ掛けして平坦にすることに。

こんなことなら初めからきちんと塗っておけばよかったと思うが、後の祭。

刷毛目のでこぼこが削られて平坦になっていくにつれ、錆止めの白が木目のように浮かび上がってきた。これはこれでおもしろい。ただ目指しているものではない。

ZX-10のブレーキでいけることが決定したので、まだ残していたドラムブレーキ用のブレーキペダルのマウントを切断する。もう後には戻れない。

結局フレーム塗装はスプレーでやることにした。はじめにカー用品コーナーで売ってるスプレー。これを一缶吹きまくった。

続いて、ガソリンやオイルから塗膜を守るために、二液性のウレタンスプレーを吹いた。これは自家塗装のサーフボードにも使っているが、水性ペンキの上に二液性ウレタンスプレーのクリアを吹いているのだが、全くはげることがない。

天井からぶら下げてスプレーする。二液性ウレタンスプレーはその日にしか使えないので、これまた一缶、時間をかけて使い切る。

天井からぶら下げて塗装中

つや消しブラックのフレームは、いい感じに完成した。

ヘッドチューブ

ノーマルフレーム(右)との比較

ノーマルとの比較

タンデムステップを受けるパイプの長さの違いが一目瞭然。サス取付ピンの根元のビートは、金属パテでつくったフェイク(苦笑)

ノーマルとの比較 タンデムステップ

今回のフレーム改造でいちばん目指していたのが美しいシートレール。満足できるものができた。

目指していた美しいシートレール

ボンネビルT120のホイール  -WにZRXのスイングアーム-

ZRX100スイングアームにボンネビルT120ホイール

フレームの加工を始める直前、ヤフオクでトライアンフボンネビルT120の新車取り外しホイールを発見した。リム幅は4.25で希望通り。本当は18インチが欲しいのだが18インチにはあまり幅の広いものがないんで17インチでも仕方ないだろう。

既にエストレアのハブを入手しているが、これからスポークとリムを購入していくことを考えると、このホイールはかなりお買い得だ。

ただ問題がある。理想の丁数のスプロケットが売っているのかがわからない? リアタイヤのワイド化に伴って、フロントスプロケットもオフセットしたものを手に入れなければならない。あわせて捜索のネット検索を夜な夜な行う。

結局わかったのは、ボンネビルT120のスプロケットは、どこにも売っていないということ。その代わりというのも変だがザムがスプロケットの特注製作をやっているということだ。

ザム 神・・・

対してフロントスプロケットはW用でオフセットの付いているものは一つしかないことがわかった。残念ながら、望んでいるオフセット量の7ミリに対して5ミリなのと、チェーンサイズが520コンバートになってしまうなのが気にかからなくもない。

W用でなくても、スプラインが同じものがあるとの情報を「続…Z1000J」という、Wの改造に非常に参考になるブログに書いてあったが、現在は流通していないようで見つけることができなかった。ということは、現存するフロントスプロケットを使い、チェーンラインは5ミリオフセットで520にコンバートするの一択だ。(フロントもザムで特注という選択肢もあるが)


となるとリアスプロケットはザムに特注するのも決定。なので丁数は理想のものを得られるので、ボンネビルT120のホイールで問題ないということだ。ただ、トライアンフは左がブレーキディスク、右がチェーンと、日本車の逆。トライアンフのホイールの流用が許されたとしても、回転方向が逆って、車検で突っ込まれたりしないのだろうかちょっと不安。

でもそこは目をそむけて入札からの落札

到着したホイールを持つ。 重い・・・ 

幅が広いとは、こんなにも重くなるのか?

でもきれい いい買い物をしたね。

フレームにスイングアーム、ホイールを仮組みしてみる。

ZRX1100スイングアームにボンネビルT120のホイール

やべ かっこいい

ワイドなリム

ワイド感半端ねー

後日、ふと思い当たることがあって、ホイールに磁石をつけてみた。

ピタッ!

うわっ てっちんかよ・・・

まあ、アルミリムの車検問題から解放されるからいっか・・・

このホイールにつく純正のブレーキディスクの直径は255ミリらしい。手持ちのリアブレーキキャリパーは、ZRX1100用で、ディスク径は250ミリだ。5ミリって干渉するよね? 適合する250ミリのディスクを探す。

PCDと内径に合うもの。夜な夜な検索するが無い。あるかもしれないが見つけられない。となると、純正ディスクを手に入れて、外周を5ミリ、いや半径的に言えば2.5ミリ削るしかない。

ということでこれもヤフオクで落札。ホイールを買ったのと同じ出品者さんからだ。

届いたディスクをホイールにつけてみる。おそるおそるZRX1100のブレーキキャリパーをあてがってみる。

ムリ

早々にスポークにぶちあたっている。スポークホイールに対向ピストンキャリパーは無理か。ていうかスポークのハブ側が外すぎる! かっこいいけど

ここからキャリパー探しが始まる。条件は下記の通り

  1. 255ミリのディスク径
  2. キャリパーはスイングアームの下
  3. 片押しキャリパー
  4. リアアクスル径20ミリ

ディスク255ミリより大きいと、ゼファーの270ミリというのがある。半径的には5ミリぐらいの違いだから、なんとかなるんじゃね? とも思うが、キャリパーがスイングアームの上になるからダメ。この、スイングアームの下の片押しという条件をクリアするのはなかなか無い。どれもキャリパーはスイングアームの上なのだ。

スイングアームの下にあった方がやりそうでかっこいいじゃんと思う。この条件に限りなく近かったのがZX-10だった。もうこれしか見つけられなかった。ディスク径は250ミリだが、そこはなんとかするしかない。

ということでこれもヤフオクで落札。

届いたキャリパーをおそるおそるあてがってみる。

早々ではないけれど、スポークと干渉する。ただしちょっと削ればなんとかなりそう(笑)

フレームを加工 -WにZRXのスイングアーム-

サス取付ピンをワイド化

ZRX1100のスイングアームが取りついたので、フレームの加工に入る。大きな加工は、スイングアームの幅が広くなったことで、フレーム側のサスペンションの取付幅があわなくなったので、それを解消すること。それと、シートレールをスッキリさせたいので、ウィンカーステーなどをカットすることだ。

問題はサスの取付部。これに対して先人たちは、サス取付ピンを延長して対応している。まあこれも書くと簡単だが、その方法を見出すのにそこそこ時間はかかっている。

ただ、昔と違うのはミスミがあることだ。延長するピン(片持ち支持ピンというのが正式らしい)も、レディメイドで、希望のものが簡単に作ってもらえる。流用チューンには欠かせないぜミスミ!

フレームの加工を始める。加工と言っても主に切断。ウィンカーステー、メットホルダーステー、荷掛けフックなど、実用的なものは、潔く切っていく。目指すはスッキリしたシートレール。

と書いてはみたが、本当はドラムブレーキ用のステーを念の為残していた。ディスク化が、なんらかの理由で頓挫した時のためだ。

これが切断前で

フレーム後端につく、いろいろなステーたちカット前

こっちが加工後

いろいろステーをカットしてすっきり

不要なものの切断が終わったら、続いて構成のちょっとした変更。まずはタンデムステップのステーを短くした上で、上に移動する。これは今のままだとZRXのスイングアームが、サスが縮むと当たってしまうのと、かちあげたマフラーから逃げるため。

タンデムステップステーを移動
タンデムステップステーを溶接

続いて左右のシートレールを結ぶ、シートの固定金具が取りつけられているビームの高さを低くする。こいつが高いとシートデザインのの自由度が低くてかなわない。元の位置からずれないように溶接。シート固定金具をスペーサーで持ち上げることで、今使っているシートを使えるようにする。

シート固定用ビームの高さを低くする

最後にサス取付部のピンの加工。純正のピンを10ミリほど残して切断。残った部分にミスミに作ってもらった片持ち支持ピンを差し込み溶接する。 下手だ・・・ ビートがキレイに出せない。

純正支持ピンをカット
サス取付ピンをワイド化

ちなみにピボット部の幅詰めが、構造上右より左が小さかったので、スイングアームは右に2ミリオフセットしている。そのため、片持ち支持ピンの長さも、右が2ミリ長い。左右間違えたら一巻の終わりなので、何度も確認して作業した。

特注のサス取付用片持ち支持ピン 左右の長さが違う

切断溶接加工が終了したら、錆止めを塗装。

溶接切断加工後に錆止め塗装

忘れていたチェーンラインの確保のためのビートの削りも行う。これが削り前

チェーンラインを確保するための削り前

これが削り後。

チェーンライン確保のための削り後

3ミリはスペースを確保できた。




Yoast SEO

スイングアームの加工 -WにZRXのスイングアーム-

フレームに仮組み

取り付けるスイングアームは、ZRX1100のものに決まった。そこでスイングアームのピボット部の構造と寸法を観察してみよう。

スイングアームのピボット部の内部は、短い右カラー、ボールベアリングの内輪、長い左カラーの3点がピボットシャフトによって、左右のフレームに挟まれるように固定されている。左のカラーの両端に、ニードルベアリングがあり、ラジアル方向(ピボットシャフトに垂直な方向)の荷重を担当している。

カラーの間に挟まれているボールベアリングもラジアル荷重を受けているが、こいつは主にアキシャル方向(ピボットシャフトに平行な方向 昔はスラスト方向って言ってたよな)の荷重を担当している。このボールベアリングのおかげで、スイングアームが左右に動かないようになっているわけだ。

このボールベアリングは、はめあいの摩擦で固定されているのではなく、片方は突き当り、もう片方はスナップリングで移動を規制されている。

この3点の長さの合計が237.5ミリで、W650のフレームのピボット部の内寸が、214ミリだ。つまり3点の長さの合計を、23.5ミリ詰めなければならない。当初考えていたものより1.5ミリ詰めるサイズが大きい・・・

スイングアームを詰めるのに、外側の条件はこうなっている。ピボット部は肉厚のチューブで、そいつに左右のアームが突き当てて溶接されている。その突き当てた外側の長さ=詰められる長さが、右と比べて左が短い。とてもじゃないが詰めるべきサイズの半分である約12ミリは詰められない。

ピボットチューブ切り詰め前

右のカラーを12.5ミリから1ミリにして11.5ミリ詰められる。左はニードルベアリングの左端までが左カラー左端から8ミリもないので、ベアリングをこのままでいくと、左右あわせても19.5ミリしか詰められないことになる。しかもスイングアームは左にずれ放題だ。

左のニードルベアリングは長さが24ミリなのだが、これを長さ17ミリのものに替えればカラー左端から15ミリ程度確保されるので、問題ないだろう。右はボールベアリングの厚みが12ミリだが、同じ外径・内径で厚みが8ミリのものがあるのでそれに替えよう。

すると右側で15.5ミリ詰められる。残りは8ミリ。ニードルベアリングの左端まで7ミリほど余裕がある。その7ミリを利用してスイングアームの左ずれを防止するために、ピボット部のチューブの左側面にスラストベアリングを入れればいいのではないか? ベアリングメーカーのHPを探し回る。

ちょうどよさそうなのが見つかった。ベアリングレースの厚さが1ミリで、ベアリング本体の厚さが2ミリ。合計4ミリで済むのでピボットチューブを詰めるのも、許容範囲内だ。ベアリングのシールが難しそうだが、そこは後で考えよう。

W650のピボットシャフトは17ミリでZRX1100のピボットシャフトは20ミリだ。この調整はアルミパイプでやればいいだろう。いろいろなものを注文して、スイングアームの加工に入る。

まずはピボット部右側から作業開始。オイルシールをマイナスドライバーで取り外す。続いてボールベアリングをベアリングリムーバーで取り外す。 はずだったがビクともしない。どうせ使わないからと、反対側から適当な棒を突っ込んでベアリング内輪にあて、ハンマーで引っぱたく。

しかし動かない・・・

そんなにがっちりついてるのか?

いきなり参ったな

とそこで思い出す。 そうだ、スナップリングでとまってるんだ(汗)

スナップリングをはずしたら、リムーバーであっさり外れた。

ベアリングリムーバーで外す

あわてずいこ~

ボールベアリングの先のニードルベアリングは使うのでそのままに。続いて左側。

オイルシールを外して、奥のニードルベアリングにベアリングリムーバーをセットする。シャフトを回す度に、ズルズル引き出されてくるニードルベアリング。これで外すものは全て外れた。次はピボットチューブを切り詰める。

できあがりより少し大きめに切断ラインをけがき、スイングアームをシャコ万で作業台にしっかりと固定し、バンドソーで切る。

その後、スコヤで直角を確認しながら、大きな金やすりで所定の寸法に削っていく。完全なる手工業!

ピボットチューブ切り詰め後

カラーも同様の方法で切り詰め、作業は完了。新しいベアリングを装着してフレームに仮組みしてみる。

新しいボールベアリング

ん? ちょっとスラストベアリングに偏ったガタがあるぞ(画像でわかるラジアル方向のすき間ではない)

スラストベアリング

ピボットチューブの切断面の直角度がよくなかったことと、カラーがじゃっかん長い。ばらして修正加工。書くと簡単だけど、実際の作業時間はそこそこかかった。修正が終わって取りつけてみると今度はいい感じ。

フレームにスイングアームを取りつけ、オイル漏れして使わなくなっていたWPのショックを仮付けしてみた写真がこれ

フレームに仮組み

かっこいい! かっこいいよ!

もちろんわかっていたけど、ショックのフレーム側取付部の幅が合っていない。今後は、この解決を含めたフレームの加工を始める。

取付幅の違いが大きい

ハブを探す -WにZRXのスイングアーム-

書付きフレームをゲット

WにZRXのスイングアームをつけようと、ZRX400のスイングアームを手に入れた話の続き。

スイングアームをZRXのものにするのだから、リアブレーキはやっぱりディスクにしたいし、タイヤは太い方がかっこいいっていうのが人情。ところがスポークホイールでリアがディスク、しかも太いタイヤがはけるホイールなんて純正ではなかなかない。ハブだけ利用するとして、スポークという意味で選べる数が増えるオフロードモデルはハブダンパーが無く、それはやめた方がいいとのことだ。

新型W800用を使えば一番問題ないのだろうが、まだ中古部品は出回ってない。新品ハブを部品で購入すると、そこそこな値段になってしまう。

なにかいい方法は無いかと悩んでいる中、エンジンの載せ替えとドラムブレーキからディスクブレーキの改造・・・ 改造申請を二つ同時にやるのは大変か? なんて、じゃっかん弱気になったところでいいことを思いついた。650の書付きフレームをゲットして、エンジン載せ替えは申請を不要にしてしまえばいい。

さらに簡単に、スイングアームはZRXにするが、とりあえずドラムブレーキのままにして車検を受け、ゆっくりリアディスク化を進めていくというのはどうだ? これなら注力するのはスイングアームをつけるということだけで済むから、作業期間は短くできそうだ。

ただ、ドラムブレーキのままで行く場合、トルクロッドの固定部分がZRX400のスイングアームには無い。ZRX400はトルクロッドがスイングアームの上部なのだ。ZRX1100だったら、トルクロッドがスイングアームの下部だからいいのになぁ

そんなことを考えていたら、お安いZRX1100のスイングアームと、W650の書付きフレームをヤフオクでゲットした。フレームは排ガス規制前のものだ。

書付きフレームをゲット

スイングアームをZRXのものに替えると、おそらく車検公認のマフラーで取りつけられるものはなくなるだろう。というか、車検公認マフラーで、理想の形のものが無い。そういう意味では、この排ガス規制前のフレームというのは、必需だったのかもしれない。

ただ、排ガス規制前なら音量さえクリアすればいいと思っているのだが、果たしてそうなのだろうか? いずれわかるだろう。

W400とW650のフレーム

いろいろ変わってきたが、ハブ捜索を再度始める。

ここで見つけたのがエストレヤ用のハブだ。エストレヤはリアディスクモデルがあり、そのハブが流用できそうだ。W800とエストレヤのパーツリストを調べてみると、ハブそのものの部品番号は違うが、中のカラーやベアリングは同じなので、おそらくほとんど同じものだろう。

ということでエストレヤのハブをヤフオクでゲット。

リムはエキセルのアルミリムにしようと思っている。エキセルのリムは注文を受けてからつくるらしい。結構高い。SRなどのカスタムすることがメジャーなバイク用なら、ヤフオクとかでも出回っているが、他のバイク用はほとんど無い。エキセルに注文するしかないようだ。

部品がいろいろ集まって、部屋にあふれかえってるよ・・・

部品であふれる部屋

リムの注文は、とりあえず置いておいて、スイングアームの加工を始めよう。スイングアームはZRX1100で決定。さて、ZRX1100のスイングアームはW650のフレームにうまくつくのだろうか?