トルクロッドの強度の計算を終え、それに基づいたトルクロッドの制作も終わったので、話は改造車検の申請に戻る。
改造車検の申請はどこへ行うのか? 制動装置の改造車検の申請は、地方検査部というところにするらしい。湘南の検査事務所で済むかと思ったら横浜か、と思ったが、それも間違いで、検査部があるのは品川だった。
品川かぁ、遠いなぁ
というのも、先人によると改造車検の申請は、申請先に行って必要な書類や計算書の書き方などを相談するらしい。品川だと自宅から50キロある。
さて、色々と調べた結果、今回の改造車検で揃えるべき書類は、次のものになるだろうとわかった。
- 改造自動車届出書・・・第1号様式
- 改造概要等説明書・・・第2号様式
- 保安基準適合検討書・・・第3号様式
- 車両を特定する資料
- 技術基準適合検討書
- 外観図
- 改造部分詳細図
- 制動能力検討書
- 制動装置強度検討書
この他に流用したパーツの元車両とWを比較するためのそれぞれの諸元表や流用したパーツのパーツリストのコピーが必要になる。
それぞれの書類が完成し、中身は次のようになった。
改造自動車届出書
この書類は定型の様式でダウンロードが可能。該当する箇所に丸をするだけの簡単なもの。ダウンロードは独立行政法人自動車技術総合機構から。
改造概要等説明書
これも同じく定型の様式でダウンロード可能。標準車の項目は車検証に書かれたデータを書き写して、改造車の項目は実測して記入。ポイントは、型式が「EJ650A改」とするところ。
裏面の目的は、「制動能力の向上のため」として、制動装置の欄に「リヤブレーキを標準の機械式ドラムブレーキから油圧式ディスクブレーキに変更する。」と記入する。
保安基準適合検討書
これも同じく定型の様式でダウンロード可能。ただこれがなかなか難しい。なぜなら、ネットで検索してみると、みんな様々な書き方をしている。結構悩んだが結論としてはこうなった。
基準条項に「第12条1項」、項目に「制動装置」とし、検討結果に、「本改造に使われているリヤブレーキ装置の、ブレーキキャリパー、キャリパーサポート、ブレーキディスクは、改造車より重量・出力ともに大きい車両が純正使用しているもので、制動力・強度ともに問題はない。トルクロッドは、本改造のために新造した部品である。添付資料強度検討書にある通り、強度に問題はない。したがって、走行中の自動車が確実かつ安全に減速及び停止を行うことができ、かつ、平坦な舗装路面等で確実に当該自動車を停止状態に保持できるものとして、制動性能に係わる保安基準に適合している。」とした。
車両を特定する資料
これはフレームを買ったときについてきた、一時抹消の書類と、譲渡証明書の写し。
技術基準適合検討書
これは決まった書式はないらしい。流用したそれぞれの部品が、他の車両が純正使用しているものであり、その車両は改造車の標準車の重量および出力を超えているものであるので、技術基準に適合している旨を、表を交えて書いた。
外観図
これは前後左右の写真にとって、幅、高さ(マスターシリンダートップ)、長さ、軸距(ホイールベース)寸法を書き込めば完成。気を付けたのは実際に車検を受ける時の状態で写真を撮ること。まあ、これは気にしすぎかもしれないけれども。
改造部分詳細図
改造前後の比較写真をのせ、なにを改造したのかわかりやすいものにする。わかりやすくするためにサイレンサーをはずした写真にしたため、一見すると直管(笑) こんな中年暴走族は車検に通さん! となったら怖いので、念のため、はずしている旨を書く。
それぞれの部品の近影をのせ、その部品のパーツリストの写しものせる。
制動能力検討書
流用したパーツの元車両の重量および出力が、W650の標準車の重量を超えているので、制動能力に問題がない旨を書く。直筆で署名捺印という情報もあるが、住所氏名をプリンターで印字、そこに捺印とした。書類のハンコレスが進んでいる今、この捺印も、もはや意味がないかもしれない。
強度検討書
ブレーキキャリパー、キャリパーサポート、ブレーキディスクは、W650よりも高出力・大重量の車両が純正使用している部品であることを示す。トルクロッドは新造だったので、前記事/の、トルクロッドの強度検討書をつけた。この書類にも住所氏名で捺印とする。
以上書類の中で、何度も出てくる諸元表などは別添として、都度参照とした。それらは下記の通り。
改造車の標準車W650の主要諸元
カタログをヤフオクで落札し、主要諸元をスキャン、出力と重量を赤囲みしたもの。
改造車に使用した部品が純正使用されている車両ZX-10の主要諸元
使用した部品がついていたZX-10は国内販売がなかったので、入手できるか不安があったが、あきらめずに検索すると出てくるものだ。パーツリストは、カワサキUSAで見ることができる。
改造車に使用した部品が純正使用されている車両ボンネビルT120の主要諸元
これはサービスマニュアルや、カタログを発見することができなかったので、トライアンフのHPのスクリーンショットで対応した。
ここまで出来上がってみると、割とよくできた気がするし、特に疑問な点もない。これは、独立行政法人自動車技術総合機構に相談に行く必要は無いのではないか?
ということで、関東検査部へ書類一式郵送したのであった。