スロットルポジションセンサー装着 -W650化計画-

スロットルポジションセンサーon CR

半完成したスロットルポジションセンサーブラケットに、スロットルポジションセンサーを取りつけていく。

考慮すべき点はふたつ

1.スロットルバルブの開度とスロットルポジションセンサーの開度の適正化

2.スロットルバルブシャフトの先端をスロットルポジションセンサーへ連結できるように加工する

開度の考察

スロットルポジションセンサーの開度を調べてみると、全閉から全開まで128度だった。スロットルポジションセンサーは可変抵抗なので、その抵抗値をテスターで調べてみる。

黄黒間 全閉0.248kΩ 全開5.33kΩ

黄青間 全閉5.11kΩ 全開0.381kΩ

これをふたつの抵抗の分圧の計算式

Vout=R2×(R1+R2)×Vcc

で作ったエクセルファイルがtps_kaido.xlsx

いちばん右の列は、スロットルポジションセンサーの黄色黒の端子間の電圧を表していて、これはサービスマニュアルで調整すべき電圧になっている。その数値は

全閉 0.9~1.1V

全開 4.06~4.26V

先ほどのエクセルファイルを見ていただくとわかるが、上記数値になる黄黒間電圧の背景を黄色にしてある。この電圧の範囲のスロットルポジションセンサー開度は、

全閉 19~23度

全開 110~115度

この範囲になるようにスロットルポジションセンサーとスロットルバルブシャフトを連結すればよいということだ。Minで87度 Maxで96度だ。

ここで、CRのスロットルバルブシャフトの回転角を調べてみる。残念ながらMinの87度よりも小さい83度だった。しかたないので、全開側をサービスマニュアルの指定した数値にあわせることにしよう。つまり、アクセル全開時にスロットルポジションセンサーは110度になるようにすればいい。そうなると全閉時は110-83=27度となる。

スロットルポジションセンサーを内側から見ると、スロットルポジションセンサーの全閉は水平を0度として、反時計まわりに83度の位置となっている。ここから27度いった110度が今回調整すべき全閉時のスロットルポジションセンサーのポジションだ。(偶然だが数値が全開時の設定をすべき数値と同じでまぎわらしい)

これでよしと加工を始めると大変なことになる。スロットルポジションセンサーとスロットルバルブシャフトは、小さな連結パーツで連結されていて、そのパーツの表裏の突起が90度ねじれている。よって、スロットルバルブシャフトの先端に加工すべきキー溝は、水平から時計回りに20度とすればよい。

連結部の加工

まず、スロットルバルブシャフトの長さを決める。純正キャブレターのスロットルバルブシャフトは、スロットルポジションセンサーの座面から0.8ミリ出ているので、これと同じようにスロットルバルブシャフトを切断する。

続いて先端にキー溝を加工していく。分度器を使って水平から20度の線をけがく。スロットルバルブシャフトをキャブレターから取り外して、サンダーで荒加工してから、ルーターで仕上げる。完全な家内制手工業。

分度器でけがく

キー溝ができたら、スロットルバルブシャフトの先端を直径6ミリになるようにグラインダーで削る。旋盤なんて無い。

加工が完成したスロットルバルブシャフトをキャブレターに組みつけた。スロットルポジションセンサーの取付部の近影。

キー溝完成

連結パーツを取りつけたところ。

連結パーツ取りつけ

スロットルポジションセンサーを取りつけたところ。

スロットルポジションセンサー装着

問題なく取りついたので、ブラケットを仕上げる。軽いバフ仕上げ。

スロットルポジションセンサーブラケット

本組みする際は、スロットルバルブシャフトの外部露出部にあるオイルシールとブラケットの当たり面に耐熱パッキンを塗布。

耐熱シール塗布

本装着されたスロットルポジションセンサー。ブラケットもいい感じ。

スロットルポジションセンサー装着完了

取りつけられた状態で抵抗値を確認。

TPS装着後 抵抗測定

この数値はおそらく黄青間の抵抗値を測っている。全閉時の値で、当初の予定通りの値となっている。スロットルポジションセンサーの取付穴が長穴になっているので、微調整はそれで行っている。

スロットルポジションセンサーの話はこれでおしまい。次からはCRキャブレターをWにのせていく。

スロットルバルブシャフトの加工 -W650化計画-

スロットルシャフトを仮組みしてみる

スロットルポジションセンサーを取りつけようとしている話の続き。

丸棒の加工

ミスミに注文していた12Φの2017丸棒が届いた。まずは一緒に頼んだM4.5のタップが本当に合っているかを確認しよう。CRキャブレターのスロットルシャフトに切られているネジ穴に、届いたタップをねじ込んでみる。

進まない・・・

あぁ 違うのかぁ だとしたらこれはミリ系じゃないなぁ

インチ系の規格を調べてみると、それらしいサイズを発見。しかしそのサイズには2種類のピッチが存在する。 どっちだ? わからんぞ

ノギスで10ピッチ分の長さを測り10で割ってみると、2種類のピッチの片方とほぼ符号。ミスミに注文だ。(前回の記事でこの写真をのせていたけど、これを使ってピッチを割り出した)

CRキャブのスロットルリンク固定ビス

数日後

届いたタップを試してみるも、やはり入らない。 あぁぁ もう一方か おかしいなぁ 使えないタップばかり増えていく中、みたびタップを注文する。

数日後

届いたタップを試してみる。 あぁぁぁ 入んないじゃん! すっげぇ特別なネジを使っているのか? 普通の使ってくれよ! 途方に暮れながら、Webでネジの規格を検索する。しかし、それらしいものは見つからない。

ここで頭を切り替えて、スロットルリンクの固定ビスを新しく作ることにする。このビスは頭のでっぱりが無く、マイナスドライバー用の溝が切られている。今まで入手したタップの中で、UNC No8 の32山でいくことにした。既製のネジで、この状態に削り出せそうなビスを探して注文する。

ネジが届く前にスロットルシャフトの加工を始めよう。物としては大したことない。丸棒に穴を4つあけて、その内3つにタップを切り、さらにその内2つに皿穴加工するだけだ。穴位置はそれぞれの役割で決定する。

精度が必要なのは、左ボディのスロットルリンク用の穴だ。これはスロットルワイヤーレバーと対になって、スロットルシャフトのスラスト方向の移動を抑制している。この構造は、スロットルの重さに直結してこないか?

( ̄▽ ̄;) スラストベアリング入れた方がいいんじゃん?

JWCADで図面を書いた。これを元に加工を始めよう!

JWCADで描いた図面を下敷きに、加工前の丸棒と純正スロットルバルブシャフト 

まずは丸棒を適当な長さに切断。続いて治具の作成。20mmの角パイプを2本、丸棒を挟むようにしてフラットバーで連結。金属のホットドッグみたいな状態。このホットドッグごと加工していけば、穴は一直線になるという手筈。

CRキャブレターのスロットルシャフト

しかし1個目の穴から思いっきり芯ずれ^^; 丸棒は1m買ったので、あと2回はチャンスあり。気を取り直して2本目を切り出す。

直径12mmの丸棒に穴をあける

思ったより難しい。ドリルのキリが細くてしなるから、どうしても材から逃げてしまう。キリが逃げないように強制しながら穴あけ作業。すでに精度という言葉から遠く離れて・・・

なんとか穴あけとタップ立てを終了。終わってみれば、まあそこそこの出来。スロットルワイヤーレバーのピンを、万力を使って圧入する。(簡単に書いてるけど、ピンを圧入する穴のサイズは、徐々に広げて適正サイズを見出した)

CRキャブ スロットルレバーのピンを圧入

新スロットルシャフトを仮組み

シャフトの加工が終わって数日後に、頼んでいたネジが届いたので加工。下が完成したネジの写真で、一番左のやつがオリジナルのネジ。それ以外が今回の製作品だが、長さが違ってできた。自分の適当さに嫌気を感じつつも大した問題では無し。

左=オリジナルネジ 中=新造ネジ(長) 右=新造ネジ(短)

スロットルポジションセンサーとの接続部はまだ加工できていないが、半完成のスロットルシャフトを使って仮組みしてみた。まったく問題は無し。

スロットルシャフトを仮組みしてみる

スロットルポジションセンサーブラケットの製作

キャブレターボディ右側面に、スロットルポジションセンサーを取りつけるのに使えるのは、スロットルワイヤーブラケットを固定するビスが考えられる。というか、新造しないかぎりこれしかない。スロットルワイヤーブラケットは、キャブレターボディ後部にM6のボルト1本と、回り止めの突起によって固定されている。

このボルト1本でスロットルポジションセンサーのブラケットを固定するには、少々スロットルバルブシャフトからボルトまでが遠い感は否めないが、いたしかたない。

このボルトの座面と、スロットルバルブシャフトの右端(オイルシール)までの段差が6mmなので、6mm厚のアルミ板をベースとし、さらにもう一枚のアルミ板を重ねて、スロットルバルブシャフトまで延ばし、スロットルポジションセンサーを取りつけることにする。

やはりミスミで注文した6mm厚の2017を加工して作ったブラケットがこれ。仕上げはまだ。通しているスロットルバルブシャフトは、純正のものを仮にいれている。

スロットルバルブシャフト出口端面にあわせるように、スロットルポジションセンサーブラケットを製作

これから、スロットルバルブシャフトと、スロットルポジションセンサーの連結部分の加工をする。

つづく

CRにスロットルポジションセンサーをつけたい -W650化計画-

CRキャブレターをオーバーホール

この記事から、ベベルギアがうなるぜ on Lap 2 独自の記事の始まりです。

マフラーの他にもうひとつあるそのまま戻せないもの。それはキャブレター。

キャブレターはエンジンと合わせて手に入れたCRを使用する。ただし大きな問題がふたつ。そのひとつがスロットルポジションセンサーだ。

スロットルポジションセンサーとは、スロットルの開度を検出するもので、その開度に合わせて点火時期を調整するらしい。開側で固定しておけばいいという情報もあるが、スロットル開度による点火時期の調整効果は絶大だという情報もある。

どうせだったらつけよう。しかし、CRにはスロットルポジションセンサーを取りつけることなど考えられていない。CRキャブレターのセッティング情報が豊富なファクトリー豆しばさんは、キャブボディを加工してスロットルポジションセンサーを取りつけている。しかし目の前にあるCRは、その部分がスロットルレバー(ワイヤーをかけるところ)なのだ。

W400純正キャブレターのスロットルポジションセンサーは、スロットルバルブのシャフトの右側に取りつけられている。シャフト端部は頭部がマイナスのねじの頭にあるような溝が掘られていて、スロットルポジションセンサーも同様な形状になっている。両者をつなぐのは、両面を凸状としたジョイントパーツだ。

スロットルポジションセンサーは上下2点で固定されており、取付穴は長穴になっていて、抵抗値を調整できるようになっている。そして、スロットルシャフトの端部にしかつかず、左側だと逆転してしまうため右側にしかつかない。中身は可変抵抗なので、逆回転ではだめなのだ。

CRの右側にスロットルポジションセンサーをつけるためには、スロットルレバーを移動する必要がある。CRは右ボディも左ボディも、基本的には同じもののようで、左のボディにワイヤーブラケットを移動することができる。スロットルレバーを左ボディの右側に移動できればよいのでは? スロットルレバーが4連ボディーと同様にキャブレターの中央にあるということだ。

CRキャブレターをオーバーホール

実際に左ボディにワイヤーブラケットを移動して、キャブレターをエンジンに取付けてみた。ワイヤーの取り回し的な問題は無い。ノーマルキャブレターのワイヤーブラケットと比較してみると、アウターワイヤーを受け止める部分の角度が立っているので、ノーマルワイヤーでは無理が出てくるのかもしれない。ワイヤーはスロットルごと交換とすることにしよう。

ここでじっくりとCRを観察。

スロットルレバーは、スロットルシャフトに圧入されたピンで固定されている。右ボディからピンの相対的な位置を左ボディ側に移してあげればいいはずだ。そう考えて測ってみると、そこにはすでに別の穴が。しかも、あけたい穴に半分かかるぐらい。

CRキャブのスロットルレバーはピンで固定されている

この穴を使うとワイヤーブラケットとスロットルレバーに3ミリぐらいのオフセットができてしまう。それはまずいだろ

スロットルシャフトをひっくり返したらどうだろうとやってみる。そんなの普通絶対できないと思うだろうが、このスロットルシャフトには、なんだかいっぱい固定用のネジ穴加工がされていて、なんとかなりそうに思えるのだ。

ちなみにスロットルシャフトに取りつけられるものは、左から、左ボディのスロットルバルブレバー、リターンスプリングレバー、右ボディのスロットルバルブレバー、スロットルレバーだ。スロットルレバーはピンの圧入で、他はM4ぐらいのネジが切られている。

残念ながら、ひっくり返してもだめだった。

作ろう

ざっくばらんに言ってしまえば、アルミの棒に穴加工するだけだ。スロットルバルブのリンクを固定する部分の穴は、皿加工をする必要があるが、アジャストスクリューとロックナットで調整するから、それほどの精度は必要ないだろう。

それぞれの穴の角度のずれだけを注意すればいいはずだ。それはなんらかの治具を作ればいいだろう。

ということでアルミの棒を買うことに。

昔は近くのアルミ屋さんを探して買っていたけど、今はネットで簡単に買える。個人の取引も簡単なミスミで直径12mmの2017の丸棒を注文。いっしょにスロットルバルブリンクのアジャストスクリューのタップも注文。 これはなんだか特別なサイズらしく、ノギスで測ってM4.5を注文した。(これは間違いなのでご注意を)

CRキャブのスロットルリンク固定ビス

つづく