異音と燃調の関係 -エンジンから異音-

MotoDXプラグ

ツーリングへ向かう高速でエンジンがおかしくなり、翌日ファイバースコープを使って燃焼室内を観察していたら、ピストンに挟まれてファイバースコープが抜けなくなった話の続き。始めの話はこちら

ファイバースコープの救出

ファイバースコープが潰れて、これ以上キックペダルが動かなくなった。まじでヤバい( ̄▽ ̄;)

待て こんな時は落ち着くんだ。慌てて動くと良くない方向にしか行かない。

この状況から抜け出すには、クランクを逆転するしかない。どうやったらクランクを逆転出来るか考えろ

そうだ ギヤを入れて、タイヤを逆転だ

ローに入れて、リヤタイヤを両手でつかみ逆転させた。ファイバースコープのコードを引っ張ってみるも、ビクともしない。

ローじゃダメだ

シフトペダルをガチャガチャさせて5速に入れた。タイヤを逆転させてみる。しかし、ファイバースコープはがっちりと動かない。

もう一度

タイヤを地面に叩きつけるように逆転させると、ファイバースコープのコードが動いた。引っ張りあげてみる。

ちぶれてるぢゃん(´;ω;`)

今朝手に入れたファイバースコープは、登板早々にひしゃげてしまった。レンズの保護板がもげかけている。エンジンの中に落とすとやばいのでむしり取った。

幸い画像には問題なかったので、観察を続ける。ピストンヘッドにさっきまでなかった丸い傷があった。ファイバースコープの先端によるものだろう。

結局わかったことは、カーボンは想像していたより、堆積していなかったことだけだった。

プラグの交換

新しいプラグを買いにナップスにやってきた。W650用はCR8Eだ。見つけた。安いな。ここでふと思いついた。なんかいいプラグ無いのか?

イリジウムとMotoDXという2種類があった。イリジウムは1度入れたことがあったので、MotoDXとやらにしてみるか。ただ、普通のプラグより2000円近く高い。しばし逡巡するも、ツーリングに行っていたらそれぐらい消費していたことを考えれば、まったく問題ないなとふたつ手に取りレジに向かった。

帰宅して箱から出てきたMotoDXプラグは、それほど変わった見た目ではなかった。イリジウムみたいに中心電極が細い。早速交換して試運転に出てみた。

エンジンは特になんの支障もなく始動した。アイドリングの音にも異常は感じられない。走り出した。

エンジンブレーキがかかるぐらいの2500回転ぐらいのアクセルオフの時に、カラカラと小さく聞こえる音が気になる。今までには無かった。ただ、それもエンジンが暖まってくると聞こえなくなった。

異音との闘いの始まり

Wで通勤してみることにした。プラグが湿っぽかったので、スロージェットだけ1番手下げた。セッテイングは下記の通り。

ASSJJNC段数MJ
15851784135

長く走るのはまだ不安が残るが、途中の横浜新道で高速のテストもできる。しかしそれは、横浜新道を待たずに現れた。

カンカンカンカン

3000回転ぐらいで、ものすごい打撃音がする。なんだこれは? とてもじゃないけど、この回転は維持できない。

横浜新道に入ると、そのカンカンな回転数がちょうどいい速度域となった。非常に煩わしい上に、それ以上回転が上がらない。これでは走れない! 走行車線に潜り込んで、だましだまし走った。

家の近くの川沿いの道で、カンカン音を維持させながら走り、帰宅してすぐにプラグチェックする。周りは黒く中心電極は白い。カンカン音は1/4開度の3000回転だ。そこが薄くなったか? スロージェットを60に戻してみた。

ASSJJNC段数MJ
16051784135

翌日も通勤セッティング。冷間時のエンジンブレーキの際のカタカタ音は無くなった。ただ、あまり変化は無いので、戸塚パーキングでジェットニードルのクリップを2段下げてみる。ちょっといいかなと思いつつ会社に着いた。

ASSJJNC段数MJ
16051786135

帰りの横浜新道下りの上り坂で、1/8~1/4のパーシャルでの脈動がひどく、かぶりそうになる。戸塚パーキングでジェットニードルのクリップを4段上げて、薄方向に振ってみた。

ASSJJNC段数MJ
16051782135

カンカン音がやんだ。

結局、燃調が濃かったという結末だった。

ところが、やんだと思ったが、まだかすかに音は聞こえていた。小さくなっただけだった。更に謎な音が増えた。フロントフォークに少し大きめなショックが伝わると、3000回転でなくてもカンカン音と同質の音が、カカカカカンと響くようになった。

ジェットニードルを1段太くして、更に薄方向にしてみた。

ASSJJNC段数MJ
16051792135

1/4パーシャルの不安定感が若干ながら薄らいだ。小さいカンカン音は変わらない。ちなみに51シリーズのジェットニードルは太さを細くすると、クリップ段数1段分も同時に薄方向になる構造になっている。さらにクリップ段数を変えてみた。

ASSJJNC段数MJ
16051791135

あまり変化は感じられない。プラグは中心はきつね色で周辺は黒い状態。スロージェットを一段薄くしてみた。

ASSJJNC段数MJ
15851791135

1/4パーシャルの不安定さは少し改善した 3000回転のカンカンはまだかすかにある。よーし こうなったら

ASSJJNC段数MJ
15551802120

禁断の全替えで薄方向へ動いた。低回転域からアクセルオープンのパワー感が無くなった。Mノズルで無くなったような感覚だった。これは間違いなく失敗だ。ファイバースコープで両シリンダー内を観察してみると、明らかに1番は湿っていた。これはもしかして点火系の問題なのでは?

今になって思えば単なる思いこみだが、この時は正解を発見した気分だった。イグニッションコイルかイグナイター。我がWは電装系はW400のものが多く残っている。いつかはイグナイターをW650にしたいと思っていた。意味があるかはわからないけど。

調べてみたが、もう廃番だった。そうなるとあれだ。ウオタニだ。

会社の二輪部員がBMWに入れて、いいと言っていた。最近インスタでDMすることがある、W乗りも入れていたので、劇的にいいのですかと訊いてみると、劇的までは言わないけどいいとのこと。よしウオタニ買おう。これでカンカンともオサラバよ。

次回はウオタニ導入の話

パワーフィルター化する4 -ZRX400のタンクを取りつける-

パワーフィルター化完成

パワーフィルター化する話の続き。最初から読みたい方はこちら。

フィルターカバーの製作

ウレタンゴムのダクトの製作に並行して、サイレンサーを利用したフィルターカバーの加工も進めていた。まずはフロントピースの分解の簡易化のため、リベット止めからボルト止めとする。

リベットで使われていた穴をポップナット用の穴に広げて、ポップナットを取り付けるわけだが、そのままやると、ポップナットのフランジ部分の厚みによって、センターピース=パイプがはまらなくなってしまう。なので、フランジの厚み分、フロントピースの穴部が沈むように加工した。さらに、スモールフランジタイプのポップナットも用意しておいた。

取付部をへこませた上でポップナットを固定

このポップナットのサイズはM5とした。ボルトの頭のサイズ感が、元々のリベットの頭のサイズと違和感がなかったからだ。

次にパワーフィルターを装着するパイプ。フロントピースの内径が60ミリ。パワーフィルターの取付径が55ミリなので、それに近いパイプを探したが適当なものが無かった。最終的に採用したのが、VU50のジョイント。外径が55ミリなので、パワーフィルター側は問題無し。ヒートガンで炙って、転がっていたマフラーのアダプターを突っ込んで広げて外径58ミリぐらいにした。それをフロントピースにコーキングで固定。

パワーフィルター取付パイプをコーキングで接着

構成パーツはこいつらで

フロントピースに取りつく、パワーフィルター取付パイプとパワーフィルター

組み上げるとこんな感じ。

サイレンサー型エアクリーナーの中はパワーフィルター

フィルターカバーの固定

当初上部2点、下部1点で支えようと考えていたが、下にいろいろ見えると、ごちゃごちゃ感が出て嫌なので、上部2点だけで固定することにした。外力がかかって動くとしても、電装ボックスにあたって、それ以上動かなくなるから問題無しとみた。

アルミのフラットバーを曲げて作った取付金物で、フレームからぶら下げる感じ。あまりかっこよくは無いが、今回のメインテーマ=ZRX400のタンク流用が完成するころには、シートカウルによって見えなくなるはずだ。

フィルターカバー側の取付金物は、アルミのフラットバーを、センターピースのRに合わせて曲げたもので、内外で挟むようにしている。

センターピースの曲面にあわせて曲げた取付金具
センターピースの曲面にあわせて曲げた裏板

センターピースのプライ数が3ぐらいだが、こうすれば安心。

ブローバイガスと吸気温度センサー

純正エアクリーナーボックスをなくして、パワーフィルター化する際の懸念事項のひとつ、ブローバイガスをどうするかだろう。今回は、下記のように吸気へ戻した。

  • ブローバイガスのチューブに三又管をつけて左右に分ける
  • フィルターカバーにニップルをつけてチューブをつなげる

当初は、三又管の代わりにオイルキャッチタンクをつけるつもりだったのだが、スペース的に苦しかったので今回は見送った。吸気温度センサーもきちんとつけた。

吸気温度センサーとブローバイガスの取り入れ口

ウレタンゴム製のダクト

今回いちばん手をかけたダクト。1個目が薄かったので2個目から厚くしたのだが、これが失敗だった。厚くし過ぎて、まったくと言っていいほど伸びないものになってしまった。

外側の型はそのままに、内側の型を変えて厚みを出しているので、内径が小さくなる。伸びない上に、径が小さい。もう、諦めようかと思うぐらい入らなかった。キャブレターの脱着を簡単になる というのも今回のカスタムのメリットだったのに、腹筋がつるぐらいダクトの装着が大変だった。

ムリムリ伸ばしてつけた話をしたら、嫁でさえ「それじゃあ寿命短いね」って見抜いていた。そのうち作り直そう。

キャブセッティング

パワーフィルター化したことによって、キャブセッティングを替える必要があるが、ベースはファクトリーまめしばさんの提案とし、フィルターカバーがついている分、少々薄めにしてみた。

セット名ASSJJNC段数MJ
改造前15551791115
まめしばさん提案15851786142
改造後16051784135

薄めにしたと言いながら、スロージェットは濃くしている。これは、パワーフィルターのみで試しにエンジンを始動させたときに、チョークを使わないとアイドリングしなかったから。

走らせてみると、これがまったく普通に走る。アイドリングも低開度も中開度も問題を感じない。それ以上はテストできていないが、たぶんそれほど悪くないはずだ。もう少し調整したい気もするが、どっちに振ればいいのかわからない。試しに1段階ずつ薄めてみてもいいかも。

今までとの違いは吸気音。いい感じでぼぼぼぼ聞こえる。

完成して

これでサイレンサー型エアクリーナー式のパワーフィルター化は完成した。

パワーフィルター化完成

見た目は正直、100点とは言い難い。後ろに向かって広がっているために、横から見ると後ろ下がりに見えてしまうからだ。フレームからの取付金具が、想定より下方向に伸びてしまったのが、その印象を助長している。直すことも考えたが、メインテーマはZRX400のタンクに換装なので、とりあえずはこのままとする。

これで春ツーリング行けるぜって思ったのに、フロントフォークからオイルが漏れているのを発見してしまった(-_-;) 速攻部品注文だ!