シリンダーヘッドをリフレッシュする -W650のボアアップ-

Wを810にボアアップしようとしている話の続き。一番はじめの話はこちら。

ベベルギアケースユニットのベアリングの交換を無事に終え、W650のカムシャフトとW400のシリンダーヘッドの相性を確認のために、プラスチゲージでカムシャフトのクリアランスを測定する。

3箇所あるジャーナルの内、1箇所がプラスチゲージのゲージを超える幅まで潰れていた。ここで測定範囲の違うプラスチゲージに変えるべきだったがまあこれぐらいは大丈夫だろうと判断した。これがとんでもない間違いだった。

燃焼室、ポートのカーボンを落としてきれいにする。下の写真の右側が清掃前、左側が清掃後だ。

外部は古い塗料と汚れを落として再塗装に備えた。バルブガイドのがたをノギスを使ってチェックする。

アストロプロダクツで買ったタコ棒とコンパウンドでバルブのすり合わせを行う。

光明丹を使って、バルブとシートの当たり幅を確認する。

ベベルギアの刃当たり調整も行った。

字で書くとあっという間だが、この作業にはかなりの時間がかかった。

最後に念のためカムシャフトの動きを確認しようと、カムシャフトキャップを本締めした時にそれはわかった。

カムシャフトが動かない・・・

ボルトを締める工程において、作業途中でかかる中間トルクも、前後のボルトで同一になるように注意して締め付けてあげると、なんとか動くぐらいになった。いやでもこれって

あっという間に焼き付くってよ!

何度も締め直して確認すると、最後に閉める一番外側のボルトを規定トルクで締め付けた瞬間にカムシャフトが動かなくなることが分かった。その場所はプラスチゲージで測定した時に、一番クリアランスが狭かった場所だ。

プラスチゲージでもう一度測定してみると、カムシャフトクリアランスの許容範囲より小さなクリアランスしかなかった。

ダメもとでサンドペーパーで削ってみる。しばらく頑張ってみたが変化はない。今までの作業は全くもって無駄になるのか? 結構たいへんだったぞ 何かいいものないかな? と、ホームセンターに行ってみる。

あった

こんなおあつらえ向きのものが存在するのかっていうほどのステンレス製のシム。

だが、買って帰ってきたものの、加工がめんどくさくて使うのをやめた。結局、家にあったバーベキュー用の厚めのアルミ箔をシリンダーヘッドとカムシャフトキャップの合わせ目に貼ることにした。

4点あるジャーナルのうち右側2点にだけ同じ厚さのシムを入れているのでカムシャフトキャップに微小な歪みが生じている気もするがそこは目をつぶる。やっていることはすでに破綻している。

プラスチゲージでクリアランスを確認すると目論見通りカムシャフトクリアランスの許容範囲内に入ってきた。

よしよしこれでカムシャフトは軽く回るはずと気を良くしながらカムシャフトキャップを組み立てた。カムシャフトを手で回してみる。

おっ 重い(^_^;)

そりゃそうだ。シムを入れた鉛直方向にクリアランスはできたが、水平方向は一切広がっていない。

ち〜ん

これでW400のシリンダーヘッドを使う作戦は終了した。

全ての作業をW650のシリンダーヘッドでやりなおした(;^_^A

W400のシリンダーヘッドでの作業でも思ったことだが、ちょっと解せないことがある。それはベベルギアの当たり調整をする際、0.15ミリのシムを一度外して調整し調整後そのシムを戻すというところだ。

いい当たり具合に調整したのに最後に0.15mm足す意味がわからない。まあ、愚か者には想像もつかない、立派な理由があるのだろう。

ところで、こんな作業の中、カムシャフトキャップを締め付ける6ミリのボルトが何本も伸びてだめになった。過去に経験したことなので驚きはしなかったが、手持ちのボルトでも足りなくなってしまった。仕方ない注文しよう。カワサキオンラインショップへいく。検索すると、なんと欠品中ではないか。

まったく カワサキは・・・

仕方がないのでミスミにいく。六角穴付きフランジボルトにした。大事な強度区分は10.9だ。これでシリンダー戻ってくるのを待つばかりだ。

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