ボーリング作業依頼とシリンダーヘッド -W650のボアアップ-

5回続いたエンジントラブルの話から、W650ボアアップの話が始まります。今回が1回目。

ボーリング作業依頼

アップガレージで見つけたビトーR&DのW650ボアアップキット。CP CARRILOの鍛造ピストンが、まるで宝石のように美しい。

シリンダーライナーを交換するボアアップになるのだが、この作業をどこかでやってもらう必要がある。ちなみに今までにこのような作業を依頼した経験は無い。ネットで検索して、2~3の候補を見つけた。

ところが、キット付属の説明書に、「信頼できる内燃機関専門工場または当社までご依頼ください」とあったのだ。どう考えても、ビトーR&Dさんにやってもらうのが間違いない。ということで問い合わせフォームから連絡してみた。

数日後回答をいただく。作業についての疑問点を営業さんに丁寧に対応いただき、作業を依頼することになった。ボアアップキットは日本の各地を巡ったあと、親元に帰るわけだ。

ここで、ボアアップしてもらうシリンダーだが、W400のものにすることにした。本ブログの熱烈読者ならご存知の通り、我が家にはW400のエンジンがバラバラながら1機ある。そしてW400とW650のボアは等しく、72ミリだ。今のシリンダーはBEETのボアアップキットが組まれているので、これを温存しておくという訳だ。ピストンが無いから意味はないのだが。

W400シリンダーのフレッシュアップ

W400のシリンダーを観察する。黒い塗装がはがれかかっており、腐食もしている。両気筒の間の通路に、ゴミも付着している。こんな汚いシリンダーを送ることはできないので、きれいにしなければならない。

ひどい付着はスパチュラでこそぎ落とす。腐食はワイヤーブラシタイプの先端パーツを使い、ルーターで削り落した。今回はじめて、ブラシが軸と平行に先端に出ている竹ぼうきみたいな形のものを使ったのだが、フィンの間を削るにはもってこいのものだった。

きれいになったシリンダーと、ボアアップキットのピストン、シリンダーライナー、Oリングを箱に詰めて、ビトーR&Dに送った。作業は3週間ほどかかるとのことだ。

ベベルギアの破損

シリンダーの加工の間に、シリンダーヘッドのフレッシュアップをすることにした。バルブをはずし、燃焼室内のカーボンを落とす。エアジェットを嚙みこんでできた傷や凹みを、ルーターで削りすぎないように平らにする。

続いて少々気になっていたベベルギアを観察する。ドライブ側のベベルギアの歯に、1点欠けているような所があったのだ。老眼鏡に、拡大鏡を装着して見てみる。やはりそこは欠けていた。それどころか、ギア全体がガタガタになっているではないか。

これは完全にやばいやつだ。

試しにカムシャフトを仮組みして手で回してみる。カムシャフト1回転ごとでも、ベベルシャフト1回転ごとでもない、ある周期でゴリゴリッという音がする。これはエアジェットとは関係ない。前回の組立の際の、ベベルギアの当たり調整ミスだろう。焼けたように黒かったのも、これが理由なんだろう。せっかくW810になるのに、このベベルギアに目をつむるわけにはいかない。

そんな時はやはりW400の部品だ。ロフトから段ボールに入ったシリンダーヘッドをおろして、中身を確認する。

ベベルギアは、傷も無く、焼けたりもしていない。そこで思いつく。このシリンダーヘッドごと使えばいいんじゃないの?

ということで、このシリンダーヘッドの現状を確認しよう。

W400のシリンダーヘッドまわりの確認

まずはカムシャフト。W400だったころに、W800のカムシャフトに交換するという流用チューンを読んだことがあった。W800の方がハイカムになっているとのことだ。じゃあW650のカムシャフトとは違うのかということで、カム山の高さを確認してみた。

上がW650で、下がW400。W650は36.7ミリ、W400は35.2ミリと、W650の方が1.5ミリ高かった。ということは、カムシャフトはW650を使うことにしよう。次にドライブベベルギアを確認してみる。シリンダーヘッドに装着された状態で指で回してみると、ちょっと重い感じがする。これはエンジンをばらすときに、シリンダーヘッドボルトが噛んでしまい、サンダーで頭を落としたということがあったのだが、その時の切削粉が流れ込んでいるからだろう。ということでパーツクリーナーでじゃぶじゃぶ洗浄してみる。

変化はない。ドライブベベルギヤケースユニットをシリンダーヘッドから外してみた。

W650のドライブベベルギアケースユニットも外して比較してみる。明らかにW400のものは重い。どうしたものか? エンジンオイルを注入して、電気ドリルでぐるぐる回してみたが、変わることはなかった。これは使えない。ベアリングを交換する必要がある。

サービスマニュアルで調べると、4つの特殊工具が必要だった。

  • ベアリングハウジングからギアケースを押さえる【ベアリングハウジング治具M45×1.0】
  • ベベルギア取付ナット用【ソケットレンチ】
  • ベベルギアを押さえる【ベベルギヤホルダ】
  • ベベルギアを回転させる【ベベルギヤドライブビット】

これらを買いそろえると、なんと4万円近くするではないか・・・

数日考える

考えた結果、重いベベルギアも、ガタガタのベベルギアも使えないので、特殊工具を買うことにした。ただし、ベベルギヤホルダとベベルギヤドライブビットは、手持ちのベベルシャフトをぶった切って作ることにしたので、予算は半分の2万円で済む。早速買おう!

勢い込んで注文しようとしたが、なんと廃番になっていた・・・

おいおいカワサキ W800は現行車種だろ

どうなる?

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